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致死量のアムール




ナマエはもうここ2日、キッドとは口を聞いていない。
話しかけられても無視をして、食事の時間をずらし
いつも彼の部屋で寝る所を自室に戻り、しっかりと施錠している。


「一体何したんだ、キッド」

「知るか、身に覚えがねェ」

「かなりご立腹だぞ。
部屋に酒をたらふく持ち込んでるとワイヤーが言ってた」

「ったく、何だってんだよ」

「新入りのクルー達が怯えている。
なんとかしてくれ」

「おれにあの女を何とかできると思うか?」

「....やってみる価値はある」

「無駄だ、諦めろ」



さして気にも留めないキッドに余計怒りが湧く。
何故こんなに不機嫌オーラを出してもご機嫌を取りに来ないの?
ふつふつと湧き上がる怒りに持っているボトルの中身を一気に流し込み目の前に散らばる酒瓶の山に投げ捨てた。



「おれだ.....入っていいか?」

「.....何の用かしら」


恐る恐るドアを開けて部屋に踏み入れるキラー。
真っ赤なソファに腰掛ける彼女からは隠す気もない怒りのオーラが溢れ出ていて思わず扉を閉めそうになった。



「だいぶ荒れてるな....一体何があった」

「...あなたもその場にいたわよ、キラー」

「.....済まない、何の話だ?」

「この前の島よ。酒場」

「....」

「呆れた....本当にわからないの?
彼隣についた娼婦と抜け出したでしょう!」

「....!ああ、あの女か」

「私が酒場に来るとは思わなかったのかしらね。
下品な赤毛の女の胸触って、キスされて、その上ホテルに行ったんでしょう?
信じられないわ!」

「おれは一部始終しか見てないが、」

「私には普段クルーと仲良くするだけでもグチグチうるさいのに、あんなこと許されると思うの?!」


おれじゃない...
と言いたげなキラーに更にナマエは捲し立てる。


「大体あの日私には船で待ってろって言ってたのよ?折角の島で私だって飲みに行きたかったのに!!
大人しく船番と晩酌する程度で我慢してたのに!
絶対に許さないわ!」

「...でも結局抜け出したんだろう」

「そうだけど!適当なバーでちょっと飲んですぐあの酒場に行ったわよ!!
本当に信じられないわ....
だからもう彼の言う事を聞いてあげるのはやめた。
次の島に着いたらある人と待ち合わせをしているの。
そこで私も久しぶりに楽しむわ」

「待て、でもキッドはあの日....」



キラーの言葉を遮るようにして部屋の扉が開いた。
そこには勿論、赤毛を逆立てたキッド。
すべて話を聞いていたのだろうか、
キラーに目で合図して部屋を出て行かせた。


「いくつか言いてえ事はあるがまず一つ。
おれはあの日あの娼婦を抱いてねえ」

「....」

「ヤろうと思ってホテルまで行ったんだがよ、
話はくだらねえわ香水臭ェわ、おまえとのあまりの違いに萎えちまった」

「だから何なの?萎えなきゃ抱いたんでしょう?
同じことよ」

「結果的にテメーじゃなきゃ駄目だっつー事が分かったんだからいいだろうがよ」

「ちっとも良くないわ!
どうせならその女とヤって私の代わりにこの船に乗せてあげたらよかったんじゃない?」

「ハハハ...そんなに妬いてんのか?
安心しろ、テメェ以外におれのは勃たねえ」

「もう顔も見たくないわ、出て行って!」

「そうはいくか、おれも聞きてえことがあるからな」



キッドはドカリとナマエの隣に腰掛け腰に手を回し引き寄せた。
小さな顎を無遠慮に掴み無理矢理目を合わせる。

「次の島で待ち合わせしてるクソ野郎はどこのどいつだ?」

「......あなたに関係ない」

「大いにあるな。言わねえと二度と船から降ろさねェ」

「....」

「冗談だと思うか?ならこの船のクルー全員に宣言してやってもいいぜ」

「ハァ....ドフラミンゴよ。これで満足?」

「!
七武海のドンキホーテ・ドフラミンゴか...?
頭イカれてんじゃねえのかテメェは!!」

「煩い!耳元で怒鳴らないでちょうだい!!」

「アイツに会って何するつもりだったんだよ!あァ?!」

「そんなのセックスに決まってるじゃないあなたこそ頭イカれてんじゃないの?!」

「っ!!!
ふざけんな、そんな事聞いておれが黙ってるとでも思ったか...?!」

「なんでこうなるのよ!
あなたが浮気した話だったでしょう!!」

「だからおれはしてねえっつってんだろ。
もういい...残念だがお前は暫く陽の目を見る事は出来ねえと思え」

「!!
最低!どきなさいよ!キラー!!助けて!!」

「この船中にてめえの悲鳴が響き渡ろうと助けは来ねえ、諦めろ」


毟り取られていくワンピースにナマエは本気で抵抗するもなんの意味も為さない。
あっという間に裸にひん剥かれ、天蓋付きの豪奢なベッドに放り投げられた。


「二度と馬鹿みてえなこと考ねえようにおれの刺青を身体中に彫ってやろうか」

「...そんなことされたら死んでやるわ」



コートを脱いで覆い被さってくる大きな影、
両手首をシーツに縫い付けられて、獣のような鋭い眼に捉われる。



「娼婦とキスしたのはよくねェな、悪かったよ」

「...」

「だがテメェはもっと悪ィ、
...しっかりと仕置を受けやがれ」





勢いよく塞がれる唇、
横暴な態度とは反対に優しく触れられる髪、
悔し紛れに燃えるように熱いその赤い舌に噛み付いた。





致死量のアムール
本当にあなたは狡いひと 。



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致死量のアムール