×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -
mine







「エースとセックス?したわよ」


何の悪びれもなく言うこの女に、
おれは一瞬言葉を忘れた。

待て、こいつはおれの女だ。
いくらこの女が世間知らずだとしても
"恋人"の概念は知っているはず。
いや、それかおれの女だと思っていたのはおれだけなのか?
混乱する頭はなかなか落ち着きを取り戻せずにいる。


「...おまえはおれの女だよな」

「そうね」

「なら何故他の男と寝た?」

「何故って...そんな雰囲気になったからよ」

「もういいわかった。
一つ先に言っておくが、恋人は基本恋人以外とはヤらねェ」

「.....なぜ?」

「....おまえはおれが他の女とヤっても嫌じゃねェのか?」

「そうね....私が一番なら構わないわ。
安心して?あなたが一番よ、ロー」

「聞け、おれは一番だ二番だはどうでもいい。
おまえがおれ以外とヤるのは絶対に許せねェ」

「...そんな、困るわ」

「は ?」

「だってあなたには恥ずかしくてして貰えないことも、
他の人なら頼めるの。
それに毎日同じだと飽きちゃうでしょう?」



全くもって意味がわからねェ上になぜか顔を赤らめるナマエ。ふざけるな。
こんなに堂々と浮気するやつがどこにいる。
付き合って一月も経ってねえどころかおれ達だってまだ数えるほどしかヤってねえのに 飽きる、だと。


「おまえ、今までもそうだったのか」

「そうよ」

「.....勘弁してくれ」



なんて最悪な女だ。
しかもよりによって火拳屋ときた。
どうすればこの馬鹿女の考えを正せるのか、
別れるぞと脅したところですんなり別れるだろうし
泣きつく様なみっともねェ真似はしたくねェ。


「どうしたら他の奴と寝るのを辞めるんだ」

「どうしたら.....?
あなたはそんなに嫌なの?」

「嫌とかの話じゃない。絶対に許せねェ」

「一番はあなたなのに?」

「関係ねェな」

「....じゃあ私がエースとしたの知って今悲しいの?」

「胸が張り裂けそうだ」


いや、冗談じゃなく本当にだ。
心臓も痛ェし胃もキリキリ痛む。
胃薬があったかと考えていればナマエは眉尻を下げておれの頬に両手を添えた。


「ごめんなさい....
あなたがそんなに悲しむとは思ってなかったわ」

「...」

「もうしないからそんな顔をしないでちょうだい」

「!...もうしねェなら、火拳屋は半殺しで許してやる」

「そもそもエースは私があなたの恋人だと知らなかったのよ。だから許してあげて。
....お仕置きなら私がたっぷり受けるわ」

「.....本当に分かったのか?
二度としねェと誓えるか?」

「....ええ」

「その間は何だ」

「約束するわ、あなただけよ。ロー」





おれの頬を触る手を取り引き寄せ
胸に収めれば小さな頭を擦り付けてくる。

"約束"がどの程度のものかわからない上に
つい先ほどまで当たり前のように他の男に抱かれる気満々だった女に不信感以外なにもないのが本音だが
とりあえずしねェと言っただけマシか、と自分の心を落ち着かせた。


本当に出会った時からいい意味でも悪い意味でも驚かされっぱなしのこの女。
美貌だけではないなにかが魅了して離さない。
ただ一つ、確実なのはこいつを誰にも渡してやる気はないという事だけ。



ゆっくりとコートのジッパーが下げられる。
火拳屋とぶつかる島は大体どの辺か、
を考えながら 白い首筋に噛み付いた。

小さく漏れる恍惚の声も
潤んだ瞳も、紅潮した頬も、
おまえの表情、仕草、香り、全て、






mine
おれだけが知っていればいい .







.