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06





『そこの美しいお姉さん、ちょっと目を見せておくれ』

『ああ.....
あんたは近々、信じられないような事に見舞われる』

『この世でも、あの世でもない"何処か"へ行く事になるだろう』

『太陽が沈む時、西の空から降り注ぐ光があんたの体を包みあの場所へと連れて行く...』

『これを持っていなさい、でないと二度と戻れなくなる。
帰り方はーーー、』









「っ!!」


夢、
いや、夢じゃない。
間違いない、あのおばあさんはこの前停泊した島の占い師。
そうだ、私あのおばあさんに言われた、そして貰ったの、


「この、ネックレス..」


なぜ忘れていたんだろう。
そうだ 貰ったんだ、彼女は言っていた。
確か 戻り方はーーー、
.....何故? 思い出せない。






この世界に来て早一週間、
街の店は全て行き尽くしたしこの兵舎も隅から探検した。
隊員の子達とも仲良くなったし、
ハンジの研究を覗いたり
エルヴィンと晩酌を交わしたりしているけど
いまいち メリハリのない毎日。
海が恋しくなって来た。





「って事なの。どう思う?」

「次の壁外調査、一緒に行ったらどう?」

「ってことは、あの巨人達と戦いに行くってこと?」

「そう。君がいたら千人力だし、
多分エルヴィンは連れて行くつもりでいるけどね。
退屈とは程遠いよ」

「そうねえ....
あ、そうだ。
ねえ、今夜街に行きたいんだけどいいかしら?」

「酒でも飲みに行くのかい?
エルヴィンに聞いてみなよ、多分大丈夫だと思うけど」








「....って事なの。いいかしら?エルヴィン」

「...女性が一人で行くのは感心しないな。
誰かをお供に連れて行くなら構わないが、一体何をしに行く?」

「そうね、なんていうか、女性の嗜みよ」

「...?」

「新しい世界での昂りや興奮を抑える術が無くて困ってるの......
ハンジに言われたわ、リヴァイなら私を受け入れてくれるって。だけど近しい人とそうなるのは良くないでしょう?
だから...」

「、セックスの相手を探しに、って事か?」

「そうよ、そんなに驚く事かしら」

「そりゃあ、驚くだろう...
嫌、それはダメだ、許可できない」

「なんでよ!酷いわ!
あなた達だって街に出て女を買うことあるでしょう?」

「それとこれは話が違う...!
君は女性で、誰かも知らない街の男とだなんて 」

「....わかった。
もう頼まないわ」

「...どこへ行く?」

「部屋よ、不能の団長さん」

「、!」




抜け出そうにも門塀や見回りが多い。
仕方ない、この兵舎にいる男を色仕掛けするしかないか...
と思いを巡らせる。
リヴァイにミケ、ゲルガーにモブリット
隊員の中には若いけどステキな子もいたわね、
確かエレン、ベルトルト、ジャン...





ナマエは部屋に戻りドレスを脱ぎ、
買ったばかりの下着に足を通した。
この白金の色がよく映えるシルクの濃紺。
ウェーブした髪と首筋にはセクシーな香りのコロン。
唇に赤いルージュを引けば完成。
あれ。こんなこと いつかもやったことあるわね。





その上にガウンを羽織り、小さな燭台を持ちそっと部屋を出る。
こそこそと周りを警戒しながら人がいないことを確認してゆっくりと歩みを進める。
どこの部屋だったか、なんて思いながら壁を曲がれば
そこにはまるでわかっていたかのようにナマエを見下ろすエルヴィンの姿があった。


「っ、!!エルヴィン!?
ちょっともう、驚かせないでちょうだい....!」


「こんな夜更けに、何処へ行くのかな?」

「ちょ、っと用事で...」

「艶やかなルージュだな。
それにこの香り、とてもいいコロンだ....
そのガウンの下は、きっととてもセクシーな下着を着ているんだろうね」

「...エルヴィン、あなた」

「分かっているよ。
君が今から誰かの部屋に夜這いしに行こうとしていた事をね」

「...この兵舎はセックス禁止令でも出ているの?」

「いや、そんなことはないよ。
ちなみにその"誰か"の候補に私は入ってなかったのか?」

「そうね、入れてなかったわ。
私の気持ちが分からないなんて不能だとしか思えないもの」

「心外だな。
君が思ってるよりずっと私も"男"なんだよ」

「....なら、証明してみせて」





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