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07



あの女が現れて一週間。
すっかり馴染んだ奴は見た目とは裏腹、
悪魔のような性格の女だった。
飲んだくれで傲慢で高飛車で誰でも自分の言いなりにできると思っているクソ女。
毎日買い物か酒を飲み皆を手玉に取りいいように操る。
あっという間に服と酒瓶で溢れかえった部屋の掃除も104期の奴等にやらせているのを見た。

全然好みじゃねえ、筈なのに。
やたらと脳裏に過ぎるあの姿に心底ウンザリする。
いや、そんな事はありえない。
はたき の存在すら知らないような女だぞ。






寝酒を飲み過ぎたからか若干痛む頭を抑えながらエルヴィンの部屋の扉を叩く。
朝一といえどあいつはいつも起きている時間、
それなのに一向にない返事に不信感を持つ。

もう一度ドアを叩き返事が無い為 そのまま扉を開けた。
膨らんだままのベッドにずかずかと歩み寄れば




「...オイ、エルヴィン .....」

「....あら、リヴァイ...?
随分早いのね。
彼ならシャワーに行ったわよ」


ベッドにはエルヴィンではなく、
先程まで脳裏にいた女が全裸でシーツにくるまっていた。
乱れた髪、皺だらけのシーツ、よく見たら脱ぎ散らかされている下着。
何があったかなんて聞かずとも分かる。



「...おまえらそんな関係だったのか」

「っていうより...成り行きね。
煽ったら思いの外効いたみたい」


「リヴァイ、来てたのか」

「...次の壁外調査の人員の件で話があった。
だがいい、出直す」

「そうか、悪いな」

「あら、私も行かなきゃ。
私が一人団長の部屋から出てきたら勘違いされるわ」

「勘違いもなにも、ヤることヤっといて何言ってんだ」

「君はシャワーもまだだろう。
それとも私はもう用無しかな?」

「そうね....じゃあシャワーをお借りするわ」

ベッドから起き上がろうとする女に甲斐甲斐しくタオルを用意してやるエルヴィン。
馬鹿らしい、さっさと出て行こう。
そう思って足を進めればシーツを纏いバスルームに向かう女が追い越しざまに耳元で小さく囁いた。


「 本当はあなたの部屋に行くつもりだったのよ 」


「...!」



なんの反応もせず、振り向くこともなく部屋を出た。
少し歩いて側の壁に寄りかかった。



「....ならなんで、コイツの部屋に来たんだ」


まるで来てほしかった、とばかりに自然と溢れた言葉に自分で呆れる。
誰とでも寝ちまう尻軽女だってことが分かって良かったじゃねえか。
あんな女、どうだっていい。





なのに何故、こんなにも心臓が痛えんだ 。





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