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04


「ここが客室だよ。
バスルームもあるから好きに使ってよ。」

「助かるわ、ありがとう」

「タオルとかはその棚に、服はここにはローブしか無いな....着替え、サイズが合う子がいなそうなんだよなぁ」

「あなたのをお借りできないの?ハンジ」

「身長は大丈夫だけど胸がそんなに大きいとキツイと思うよ?
急いで街で買ってくるからシャワーしたらローブで待っててくれるかな?」

「そんな、悪いわ」

「気にしないでよ!
下着とかも必要でしょ?じゃあちょっと行ってくる!」



颯爽と部屋を出て行ったハンジ。
客室はベッドどソファ、テーブルにクローゼット。
シンプルだが品が良く清潔な部屋。

ナマエはタオルを持ちバスルームへと向かった。







汚れを綺麗に洗い落とし、クローゼットに入っていた深緑のローブを羽織る。胸元にゴールドの刺繍が施されていて生地も肌触りがよく質のいいものだとわかる。

小さなキッチンでお湯を沸かし、紅茶を入れる。
ティーカップをテーブルに運んでいればドアがノックされた。


「どうぞ」


声をかければ入って来たのはハンジでは無くリヴァイだった。
リヴァイはナマエの格好を見て一瞬動きを止めるがそのまま部屋に足を踏み入れた。


「エルヴィンが何か足りないものは無いかと言ってたが、」

「服なら今ハンジが買いに行ってくれてるわ。
あと、スキンケア用品があれば助かるかしら」

「...よくわからねえから明日街に買い出しに行け」

「そうね、でも、」

「金ならエルヴィンが出すと言っていた。
じき夕飯だがその後また団長室で話がしたいそうだ」

「ええ 、わかったわ
ねえ、あなたの声って....」

「...何だ」

「いいえ、...ちょっと知り合いの声にそっくりで。
服が届いたら食堂へ向かうわ。ありがとう」





リヴァイが出て行き少しすると
大きな買い物袋を手にしたハンジが帰ってきた。



「ごめん遅くなった!
とりあえずワンピースと下着、あとちょっとした化粧品を買って来たよ!こんなので大丈夫かい?」

「あら、可愛いワンピースね。
センスがいいわ。ありがとう」

「よかった。
着替えたら食堂に案内するよ。
お腹空いたでしょ?」





モスグリーンのワンピースを着て長い髪を纏め上げ、
ハンジと共に食堂へ向かった。
食堂は既に隊員で溢れ皆それぞれ食事をしていた。
勿論いきなり現れた明らかに異質な女を見て一同がざわつく。

ナマエは団長達のテーブルに案内され
エルヴィンの隣に座った。



「簡単に君のことを隊員達に話したんだが、
まだ全てではない。暫く此処にいるとは言ったから気にしないでくれ」

「ええ、わかったわ」

「そのドレス、とてもよく似合っている」

「ありがとう。団長さん」

「エルヴィンと呼んでほしいな」

「エルヴィン、」

「リヴァイから聞いたかもしれないが、食事の後もう一度部屋で話をしたい」

「聞いたわ」

「詳しく知りたいんだ、君がいた世界を」



パンと蒸した芋、コーンチャウダー。
質素だが暖かく美味しい食事を終えナマエはそのままエルヴィンとリヴァイと団長室へ戻った。



「君は酒は飲めるのか?」

「ええ。大好物よ」

「よかった。私達の世界の一般的な葡萄酒だ」

「....いい香り」


「いい酒を随分と溜め込んでるな、エルヴィン」

「そう言うな、お前にも飲ませてるだろう」

「あなた達は仲が良いのね」

「....付き合いが長いだけだ」

「いいわね。
今朝はどうなることかと思ったけど、
あなた達がいい人でよかったわ」

「....君の世界は、巨人は人を食わないと言ったな」

「そうよ。私達と同じように言葉を話し、普通に生活してる。」

「なら君達は、一体何と戦うんだ?」

「.....」

「そうね....皆それぞれ違うわ。
他の海賊だったり、海軍だったり、全く別の敵だったり。
私の場合は 私の島を支配している闇のエルフね」

「皆あんな力を使えるわけでは無いんだろう?」

「ええ。だけど不思議な力は沢山あるわ。
あの世界には悪魔の実という摩訶不思議な果実があって、」



ナマエは悪魔の実の話を二人にした。
二人は信じられないというように目を開きその話に夢中になる。


「そんな、あり得ない...」

「おまえはその実を食ってるのか」

「いいえ、私は食べてないわ。
泳げなくなるのも嫌だから」

「...エルフの力は、他にどんな事が出来る?」

「主に天候を操ったり、自然を操るの。
大地だったり、海だったり、雪だったり」

「...おれ達は海を知らない」

「そうだったわね。
後は...これが一番使える能力かも」



ナマエはソファを立ち、
向かいに座るエルヴィンの前に立った。
怪訝そうにする二人。
ナマエはエルヴィンの顎を指で持ち上げ、
その唇に自らのそれを深く重ねた。


「っ!?」

「オイ、何考えてんだ....」

「いきなりごめんなさい。
でもどう?治ったでしょう」

「!!、これは」


エルヴィンの唇の内側は今日の壁外調査の時に1センチほどの切り傷ができていた。
だがそれは今のキスで跡形もなく消えていた。


「ある程度の傷は癒す事が出来るの」

「信じられない....こんな事が、本当に」

「だとしたら、何にも勝る戦力になる。
....オイ、エルヴィン」

「ナマエ、此処にいる間だけでもいい。
私達の力になってくれないか...?
報酬は勿論不自由ない生活を約束する。」

「.....そうね、嫌よ」

「なっ、」

「私は自由が好きなの。専属とか契約とか好きじゃないの。気が向いたらお手伝い、でよければ構わないわよ」

「下手に出ればお前...
寝床も飯も与えただろうが」

「感謝してるわ。
でも此処じゃなくてもそれは手に入るのよ。いくらでも。
私の顔が、身体が、目に入らないの?」

「いきなり本性出して来やがったな、この女...」

「文句があるなら今すぐ出て行くわよ、"兵士長さん"」

「リヴァイ、よせ。
わかった。君の言う通りにしよう。
君の気が向いた時だけで構わない、よろしく頼む」

「よかったわ。あなたは話のわかる人ね。
そうだ。明日街に買い出しに行きたいのよ...」

「ああ、そうだな。これを使ってくれ」


引き出しの中から重い音を立て出された金貨袋。
そのずっしりとした見た目からでもそれなりの大金だという事がわかる。


「やり過ぎだろ...!
兵団は今金がねぇってのに、」

「これは私のポケットマネーだ。
問題ないだろ?」

「...勝手にしろ.....」






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