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行方も知らず微笑みかけた、


 時計の針が重たげに6度揺れる。それと同時に大広間に低い地響きのような鐘の音が三度響き渡った。
 シャンデリアの灯りが大広間を照らす。その長テーブルに一人座るは茶色いワンピースの少女。少女は愛らしい白い顔で真っ赤な唇を引き上げ美しく微笑んで、両手に純銀のナイフとフォークを握っている。

「まあ、今日のおやつは××の××がけね」

 少女は酷く嬉しそうに頬を上気させて言った。そして上品に、優雅に、まずは××をぐちゅりとフォークで突き刺す。くるりと回してくりぬけば、少女はそれをしげしげと見つめてからぱくりとくわえた。そっと口からフォークが抜かれる様は実に魅力的で。
 ゆっくりと味わって飲み込むと、今度はむき出しにされた×××をナイフとフォークで崩していく。

「あら、料理長はどこかしら。この××の持ち主を知りたいのに。……ああ、分かったわ」

 少女は、ほぅ、と熱っぽい溜め息を吐いてその××の×を器用に切り落とすと自らの顔の前に掲げる。

「今までで最高の出来よ。誉めてさしあげるわ」

 そう言うと、×に小さく口付けた。

「そうね……でも、少し寂しいわ」

 夜の静けさが屋敷を包み込んでいる。午前三時のお茶会は、一人ぼっちになった少女を薄目で哀れみを込めて嘲笑っていた。

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2012.11.15



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