愚かな僕は淘汰されてしまえ ふと顔をあげると、見知らぬ生命体が好き勝手に行動していた。 いや、正しくは我々の形状に似た体型を持つ生命体だ。 それらは僕に酷似していて、けれどそれらに似ているなんて真っ平ごめん被りたい。 僕は僕なりにやつらに呑まれず生きて、生き抜いて、仲間を見つけ出す。 「おやぢくしあ でぃ」 「あわいせる、うおたぎら」 「おやづう わい にそっつ ずぃー、いたちさた だぶる」 「お わい いあなりがるいあって ずぃー」 イビツに歪んでつるりとした無機質な顔が並ぶ。口は動かない。口は無い。 やつらには目も耳も鼻さえも存在しないから。 とっとと滅べ、化け物どもめ。 見渡しても振り払っても駆け出しても、いるのはやつらだけ。 似たような格好をしたグループがそこかしこに散らばっていた。 「うらがえし」 「いせあがる?」 だから僕はこのくそったれたやつらを全滅してやるために拡声器で呪いの言葉を吐いた。 ああ、気持ちが悪い。 「あらぬおや えす」 あれ、僕の、声は、どこだ。 2012.08.30 |