くっくどぅーどぅるどぅー 「アンタ、バカでしょ」 呆れた声にパチリ、目を開ける。二、三回開閉してから、勢いをつけて起き上がる。風が一際強く吹いて、寒さに体を抱いた。 俺をバカだと宣ってくれやがった女はため息をついて上着を投げてきた。明らかに女物のソレに顔をしかめると、アンタの服の場所なんか知らないし、漁られたくないんならそれで我慢しなさい、なんて偉そうな声。 新しいベッドはかたくて、体がボキボキ鳴る。一日もかかさずにメンテしなきゃいけないのも面倒だし、あんまりよくないかもしれない。 大きなくしゃみを一回、二回。少し開けて、三回目。 今度は勢いよく箱ティッシュで頭をぶん殴られた。角は痛いって! 「だから言ったじゃない、そんなので寝るなんてほんと信じらんない!」 「うるせーなあ、ロマンだロマン!」 「意味わかんないっつの!」 話してる間にも堪えられなくなって、背に腹は変えられないと上着を羽織る。 ほんと、男って、とか、呟きながら遠ざかる背中を追おうとベッドから降りて霜柱を踏み鳴らした。 俺特性、雪でかためたベッド。濡れないように、ビニールで覆われたソレ。 今日中に片付けなきゃなあ、なんて、一晩外で寝ていて冷やされた体を震わせながら、ぼんやり考えた。 2014.02.23 |