【はいてすてるほど】の何か 彼女が嬉しそうに愛しそうに摘みあげる、その感情が僕には到底理解ができない。 花は花だ。そして、僕にとってそれはただの雑草だ。育てていた目当てのモノじゃないのに。 届かなければ全てが雑音に返る。それを僕は知っていたから。世の中は全て必要な何かと不必要な何かに分けてしまえばいいのだ。不必要なものに与える愛情は僕は持ち得ない。 プランターに咲く花の横、彼女は丁寧に摘んで鉢に植え替えた。僕はそれを尻目に絶対に再起しないよう丁寧に抜き取り指で磨り潰して殺した。 抜く過程は同じなのに。後腐れがないようきっちり排除するところまでは同じなのに。 雑草は所詮甘い汁を吸おうとする害虫と同じもの。僕は“手掛けたものの邪魔になる”と拒み、彼女は“手掛けたものが愛された証だ”と喜ぶ。 きっとそれが僕と彼女の最大の違いなんだろう。 2013.07.18 |