【DC夢】終身嘘つき | ナノ


▼ これは流石に初めてかな

打ち合わせの帰り道でのこと、ふと見上げたビルが爆発した。
、、、爆発した。

「えええええ、、、、」

最近爆発系多くない?巻き込まれすぎちゃうん自分、、、とりあえず警察かなと携帯をカバンから取り出していたら、視界の端で何かが落ちた。音的には重たいもの。コンクリートとかではない、どさっていうか、べしょっていうか。
見に行きたくないけれど百万が一人間だったら目覚めが悪いし、一応確認するだけするかと見に行った先で、まさかの百万が一を発見し。わりとまずい状態だったので、取り出した携帯は警察ではなく別の人物にかけることにしたのだった。


「、、、ぁ」
「目が覚めた?」
「!?」
「あ、急に動いたら傷が開くからやめてください。もうファウスト先生のマッド話はしばらく聞きたくないんで」

あの先生、医者の癖にいちいちグロイんだよね、、いや医者だからグロイのか、、、?ぶつぶつ呟きながら、読んでいた本を閉じ今し方起きた彼の状態を軽く見る。痛そうにしてるのでとりあえず問題はないようだ。そうしている間も、私の家唯一のベッドを先日からずっと占拠している拾い"者"は、起きて呆けることもなくじっと鋭い視線を私に向けている。

「、、、お前は」

お、素敵な声だこと。だがしかし今まで世話してきたのは自分なのでなんだかそういう目と雰囲気で見られるのは困る。
悲しいというか、切ないというか。まあ、にこにこしてありがとうとはならないのはわかってたけど。まずビル爆破の時点でアウトです。

「私?私は工藤初穂。つい先日仕事帰りにビルの爆発事件(未解決)に巻き込まれ、その現場であなたを拾った女子中学生です」
「、、、、、、は」

目が点、て初めて見たかもしれない。自分はきっとよくしているけれど。

「まあ、聞きたいことはいっぱいあると思います。私自身に対しても、突っ込みどころが多いのは自覚してますし。それはとりあえずあとで。お腹はすいてます?」
「あ、ああ、、、」
「よかった。なら先にご飯かな。おかゆ作ってあるから持ってきます。
あと、この部屋高層階だから窓から外出ようなんて思っちゃだめですよ。ノンストップ地獄行です。また、今あなたのお腹には風穴が空いてるんで、起き上がるのも後で。そうですね、帰ってくるまでに私に聞きたいことを、ある程度ご自分のなかでまとめておいてください」

では少々お待ちください。相手に返事もさせないよう勢いで言いたいことを言いきって足早にキッチンへ向かう。コンロの火をつけて、やっと詰めていた息を吐き出した。

、、お兄さん気迫すごいわ。視線ちょっと怖かった。イケメンだし。美人が怒ると怖いってこういうことか。さてこのあとどうしよう。お兄さん拾ったわけだし、持ち主にお返しするまで面倒見る気ではあるけど。
お腹に穴開いてるとはいえ、あの気迫。雰囲気で負けちゃう、、、だけど口で何とか丸め込めないかなあ、、、顔のイメージでなんとなくお兄さん口うまそうだったし、難しいかなあ。
だけどなあ、お兄さんの身元分かってたりするんだよな、、ファウスト先生怖い。
でも本人あれだけ警戒してるのに、案外あっさりわかったみたいだったな。私も軽い気持ちで名前検索したらヒットしちゃったし。もしかしてファウスト先生の技術だけではない、のか?持ち主の情報管理どうなってるんだ。、、内部に漏らしてるやつが、、、やっぱりいるんだろうなあやだなあ面倒だなあ。

ぐつぐつ、と鍋からいい音と匂いがしてきたことで思考の海から上がることにする。かろうじて家に装備していた一人用土鍋におかゆをうつして、レンゲなんて素敵なものはないので木のスプーンを鍋に突っ込み、水、、、は開けてないペットボトルを用意したのでグラスと一緒に持っていく。

「大人しくしていましたか、お兄さん」
「、、、動けないからな」
「といいながら短時間で軽く物色しましたね、ご苦労様です。生活感あんまりないのはここが私の仕事場だからですよ」

無理しましたーって顔したらわかります。ポーカーフェイスのつもりだろうけど、ちょっと冷や汗かいてるもの。ホント無理しやがって。言うてベッドと机と本棚しかこの部屋にはないので、物色しても傷に響くだけで無駄なのに。
とりあえず起きましょうかね、と持ってきた土鍋やらを机に置いて、側に落ちているクッションを拾って手渡す。

さて、何からお話ししましょうか。

prev / next

[back]
[ back to top ]