冤罪 4
「分かった!認める!委員長と性交渉があったことは、認める……でも、合意のうえだろ?」
「合意の上なら何故、朝逃げた?逃げたということはやましいからということだろう?」
くっそう。この傲慢鬼畜タラシ目野郎。
「よく考えてみろよ!判事、陪審員の皆……酔っていた俺と、空手有段者の委員長。どっちが強いかは明白だろ?!いいたかねえが、酔ってなくても委員長に勝つ自信はない。そんな委員長相手に俺が強姦するなんて、物理的に不可能なのは分かるだろう?」
俺がネコしたって言わずに、勝つためには、委員長が安易に強姦されるような男ではないと示さないといけない。
俺もそこらの不良相手だったら3〜4人のせる自信はあるが、委員長相手には無理だろうことは、誰にでも分かる理屈だ。
陪審員の何人かは俺の言葉に耳を傾け、無罪のほうに心が動かされていることがわかった。6人中3人の票をこっちのものにすれば、審理無効になる。
「俺がいつも無敵でいられるとは限らないからな。どんなふうに会長に襲われて、俺の貞操を奪われたか、これを見れば、何も言わなくてもわかるはず」
メモリーカードをぶらぶらと手にとって、不敵に微笑む委員長。どう考えても被害者の顔じゃない。
「判事!不正の証拠である可能性が高いので、委員長の証拠は却下してください」
「とりあえず見て、証拠に採用するか決めましょう。委員長メモリカードをこちらへ」
やばい。何が映っているか記憶にない分だけ、不安すぎる。ろくな映像は残っていまい。
俺が委員長相手にネコをやっているところを見られるなんて。
でもこれを見たら、俺が無罪だって分かるんじゃないか?委員長が掘られているほうじゃないし。
でも委員長から証拠を出してくるってことは、絶対の自信があってのことだろう。
認めるか?ここで、俺が委員長を強姦したって、認めればビデオは見なくてすむかも。
でもやっていない罪で裁かれることになる。
見たら、無罪が勝ち取れるかも。
罪を認めたら、見なくてすむかもしれないが、どんな判決が下るか分からない。冤罪なのに。
俺はジレンマに陥っている間に、無情にも映像がスクリーンに映し出されてしまう。
やばい、音声付なのか。さらに嫌だ。
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