裁判シリーズ | ナノ

冤罪 3


「俺は泥酔した会長を、俺の部屋に泊めた。酔っていたし、介抱しないといけないという親切心からだったのに、会長は」

「ちょっと待てよ!あの日のこといってんのか?俺は記憶ないし……」

確かに俺たち朝起きたら全裸だったけど、腰が痛かったのも、尻から精液出てたのも俺のほうじゃないか?どう考えても、あのときのことを思い出すと、掘られていたのは俺。

俺は委員長が起きる前に服をかき集め、部屋に戻って、何もなかったことに記憶を改ざんした。

それから委員長を避け続け、忘れた振りをし続けた。


「記憶がなければ、罪を免れるというものではない。酔った勢いで許されるものか?俺がどんなに傷ついたか、会長には分かるのか?」

だから掘られたのは俺だろう。

だが俺は口が裂けても委員長に掘られたなんて言いたくない。

「何度も言うように、俺にはその日の記憶がないし。それとも何だ?委員長は性行為を強要されたって証拠でもあるのか?」

証拠なんかあるはずがない。何度も言うように掘られたのは俺のほう。

もし委員長が掘られたのなら、俺のDNAが体内にあったり、裂傷を負った患部とか、証拠があるだろうけど。

それ全部俺だから。委員長のDNAが体内にあったのも俺。尻が裂けていたのも俺。こんなふうに訴えられるんだったら、俺のほうこそ医者にかかっておけば良かった。

そしたら強姦されたのはこっちだって言い返せたのに。でも、俺が誰にも知られたくねえから、忘れた振りしていたんだって。


「証拠ならある。このメモリーカードに当日の映像がすべて入っている」

「なんかおかしくないか?なんで、都合よくお前が主張する強姦シーンが撮れるんだ?おかしいだろ!お前、俺をはめようしてんじゃないのか?!」

「最近俺の部屋のものがなくなるので、防犯ビデオを設置しておいたんだ。よって偶然会長に性行為を強要された動画が撮れたというわけだ」

酔って記憶のなかった、たぶんネコをさせられた夜のデータなんか見たいわけがない。しかも俺だけじゃなく、同じ生徒会の仲間も風紀もやつらも陪審員も判事もいる中で見せられるなんて、どんな拷問だ。


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