浮気したい男と束縛したい男


「頼むから浮気しないでくれよ!」

俺にそう縋りついて泣いてくる男を見て、俺はせせら笑った。元々俺たちは恋人同士でもなんでもなく、ハッテン場で出会ったただのセックスフレンドだった。
もともと俺はタチ専で、男らしい男を抱くのが好きだった。だからコイツに出会ったときも抱くつもりだったが、どうしても入れたいと泣いて頼まれたため、一回くらいは経験も良いかと思って、こいつにバックバージンをやった。
それから、趣向は変えることはなかったが、たまに性欲は吐き出したいがセックスで奉仕したくない時は、こいつを呼んで奉仕をさせていたが、少なくても恋人になったつもりはこれっぽっちもなかった。

しかしコイツは勝手に俺の事を恋人と思ったのか、段々と束縛するようになり、浮気をするなと言い出し始めた。
うっとうしいことこの上なく、そろそろ切ろうかと思ったが、まあセックスは上手いのでなんとなく切れないでそのままにしてある。たまに抱かれるのは悪くないからだ。

「うっせえな。そんなに束縛すると、お前をきって他の男に抱かれてくるぞ」

「!そ、それだけは止めてくれ!……どんなにたくさんの男を抱いてもいいけど、抱かれるのは俺だけにしておいてくれ!」

こうやって脅せば言う事を聞くからチョロイな。

さて今夜はどんな男を抱こうか。


「……最悪だ」

俺は確かに複数の男と、しかも不特定多数と関係を持ってきた。一夜だけの付き合いも入れたら、30人以上は楽に越える。
しかしハッテン場での出会いだ。当然性病を心配し、俺は必ずゴムをつけていた。

しかしあまり気にしていなかったが、オーラルセックスも性病感染の原因の1つらしく、俺はこれには無頓着だった。
生まれて初めて性病にかかってしまった。しかも2つもだ。今は抗生物質で治療は出来るが、これがHIVだったらと思うと。
俺はもう怖くてハッテン場なんかにいけない。

「あんなにたくさんの男と浮気するからだよ」

とコイツはさも当然みたいな顔で説教するが。

「お前はないのかよ!性病は!」

「あるわけないじゃんか。だって優貴としかセックスしたことないもん」

ん?俺は性病なのだから、俺としかセックスしたことがなくても性病にかかっている可能性はある。

というか。

「え?お前童貞だったのか?マジかよ」

かなり上手かったけど、とてもあれが初めてだったとは思えなかった。

「たくさん勉強したから。優貴とできるように」

俺と?ハッテン場で偶然会っただけだろ?

「まあ、それはいいや。けど、お前も検査受けて来いよ。可能性あるからな」

「良いけど……性病予防は、コンドームだけじゃないんだからな。一番は一対一のパートナーを持つことなんだ。これにこりたら、浮気しないで俺だけにしてくれよな」

「分かった分かった。お前が性病なかったらな」

俺だってダブル性病には流石に懲りた。毛虱までうつされて、今下の毛剃っているんだぞ。
もう二度とハッテン場には行かないようにしたい。信頼できるセックスパートナーとセーフティセックスが一番という理屈は、まあ分かる。本当はセックスしないのが最も安全なのは言うまでもないが、幾分セックス依存症気味の俺には無理な要求だろう。

「じゃあ、俺の恋人になってくれるよね?」

「う、うん。まあ、良いんじゃないか?」

こいつなら浮気しなさそうだし。まあ、当分の恋人にはちょうどいいかもな。なかなかハッテン場や出会い系サイトで浮気しないような男を見つけるのは難しい。ゲイなんてそんなところで、パートナー探すくらいしかなかなかできないからな。
こいつは意外と貴重な存在なのかもしれない。

そしてこいつに検査受けさせたが、すべて陰性だった。

それからは浮気は俺もせずにけっこうこいつと上手くやっていたと思う。


「うん。やったよ。恋人になってくれた。流石に良い人を紹介してくれたよね〜」

俺はハッテン場のマスターにお礼の電話をしていた。ハッテン場なんて店開いているだけあって、まあ金のためなら何でもやる人も多い。
イケメンで、かつ性病をたくさん持っている人を紹介して欲しいとお願いした。もちろん優貴の相手をお願いするためだ。
優貴は顔がイケメンならほとんど誘われても断ることはない。たいていは喜んで抱く。一人だけじゃ不安だったので、何人も斡旋してもらって、優貴に性病がうつるまで頑張って貰った。
あ、勿論致命的な性病じゃない。毛虱とか梅毒とかクラミジアとか。まあ、抗生物質があれば現在の医学なら充分治せる性病持ちだけに限定した。
あの浮気虫な優貴でも、性病にかかれば少しは自重するだろうと思ったから。
思っていた以上に効果があって嬉しい。
まあ、後遺症が少なめな性病を選んでみたけど、男性不妊症とかそういうリスクはあるらしいけど。でも、優貴には子どもなんか作る必要ないからいいよね。俺さえいればそれで良いよね?

「あとDVDもありがとうね。これ見たあとだと嫉妬に駆られて、余計セックスが熱くなるんだ」

俺の特選DVD集。
優貴とセックスする前に、勉強と思って集めてきた優貴と他の男のセックス動画。たぶんほとんど集めてある。優貴は俺のセックスは上手いといったが、全部優貴を真似て勉強したんだ。はじめてみた時から優貴が好きだった。優貴のことを全部知りたかった。

優貴、優貴、優貴。こんなたくさんの男を抱いて。どんなに俺が嫉妬していたか、分かるだろうか。俺が優貴を抱いてきた数々は、全て優貴が男を抱いた数をいまだ上回っていない。
優貴が浮気をするたびにそれを見て、俺は自慰をして、あとで同じように抱いてやろうと心に決めていた。

こんなにたくさんのDVDが集まってしまったが、もう増えることはないよね?優貴

もしこれ以上増えたら、次は何をするか俺分からないよ。



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