友情 4(完結)
「っていう夢を見たんだよね」
という、春哉。
「夢見たって……今、夕方だろ?いつそんな夢見たんだ?」
先輩に言われて、春哉に恋人ができたって言う前に『ともにこんなことを言われる夢を見た』と言われた俺。
先輩に言われて戻ってきてからすぐ言おうとしていたから、偶然でもそんな夢を見るのは時間的におかしい。
しかも、俺の心情まで事細かに説明してくれ、まるで本当にあった出来事のように語る。
俺と先輩の会話を知らなければ、到底できないつくり話だ。
「なんだろ?白昼夢かな?でも、本当のともがそんな酷いこと言うわけないもんね。夢だよ、夢。ね、とも」
「そ、そうだろうな……夢だよ。夢」
こいつ、俺のことが好きなのか?
あのつくり話はそういうことを言いたかったんだろう。でも拒絶されるかもしれないから告白する勇気がないから、あえてこんなふうに話すのか?
俺がもう身体の関係を止めようって言ったら、そうするよ、って暗に警告しているつもりなのか?
「どうしてそんな夢見ちゃったのかな?ともは俺にこんなに優しいのにね?」
分かんないや?と顔をかしげて笑む顔を見て、俺は春哉に二度と止めようなんて言えないと思った。
「どうしてだろうね……」
もはや、棒読みだった。
「とも、俺エッチしたくなっちゃった。いつもみたいに、お尻使わせてくれる?」
嫌だと言えるはずもない。こうして俺は、いつもと変わらない日常をずっと続けていくことになった。