『愛』 (王道→会長×一般生徒) 2
「みいくん……なんてことを」
俺の取りまきたちが、真っ青になって、俺を見ている。
俺は何もしていないのに。
「俺は関係ない!あんなこと言ったくらいで、なんで自殺しようとするんだ?もともと頭おかしいんだろっ!俺は悪くない!」
だって、あれくらいのこと、死ぬようなことか?
「高村には、高村の事情があるんだよ……みいくん、会長に何されるか。高村をあんな目にあわせて」
「事情ってなんだよ!」
「編入生の美咲は知らないだろうし、誰も言わなかったから仕方ないだろうけど。あんな酷いこと、事情知らなくても言っちゃあ駄目なことだろ?」
「だって、あいつは会長に相応しくないだろ!?恋人があんなやつで、会長は恥ずかしくないのか?」
彼の恋人はもっともっと素晴らしい人じゃないとダメなはずだ。何で俺がみんなに責められないといけないのか分からない。
「高村は……会長の恋人じゃないんだよ、みいくん」
会計である取りまきの1人が、ため息をついてそう言った。
「じゃあ!やっぱり、セフレなのか!?」
「そうじゃないんだ。大事な人だって言っただろ?会長にとっては、高村は大事な宝物で、でも恋人じゃない」
訳が分からない。
「高村も、前から『ああ』だったわけじゃないんだ。本当はもっと……信じられないかもしれないけど、高村、入学式新入生代表をしたんだよ。どういうことか分かる?主席入学だったってわけ」
「そんなわけないだろ!だって、今じゃ、授業もまともに受けれてない、最下位の成績だって聞いたぞ!」
「だから……昔の話だって。会長と同じくらい頭良くて、スポーツも万能で、カリスマ性もあって。会長と双璧をなすくらい完璧な男だったよ。たった、1つの違いがあったとしたら、生まれた立場だけ。会長の家は大企業、高村は孤児院育ち。でも、そんなことで高村のことを差別するやつはいなかったんだよ。この階級社会の学園で、だよ?それがどのくらい凄いことか分かる?みいくん」
家柄や育ちが、すべてを支配しているって、俺だって知っている。この学園は選ばれたエリートだけが入学できる。
「高村はそれくらい凄いやつだったよ。会長も認めてたよ……会長のライバルで……それだけで終われればよかったんだけどね。会長は、高村を好きになった。でも高村はそうじゃなかった。悲劇の始まりはそれだったんだ」