『愛』   (王道→会長×一般生徒)   1


*救いはないと思う暗い話です。作者はうつや病気に対して偏見を持っているわけではありません。

登場人物
王道主人公・・・美咲(みいちゃん、みいくん)
あいつ・・・高村
彼・・・会長
会計



俺は今まで愛され続けてきた。どこにいっても、誰にでも、好かれなかったことはなった。

だから、はじめて真剣に好きになって彼も、当然俺のことを好きになってくれると思った。

なのに、彼は俺のことを虫けらでも見るかのような目でみてくる。

俺を拒否する目の彼の隣には当然のように居座る、あいつがいつもいた。



あいつが憎い。へらへらといつも笑って、彼の隣を独占している、あいつが。

「みいちゃん。会長のことはあきらめなよ。会長には大事な人がいるから、みいちゃんでも無理だよ」

「あいつだろ?!でも、なんであいつなんだよ!顔だけ綺麗で、あとは頭が可笑しそうに笑ってばっかの、あんなやつが会長の恋人なんだよ!」

聞くところによると、あいつは頭もよくなくて運動神経も壊滅的で、日常生活も危ういような、なんでこの学園に入れたか分かんないようなやつらしい。裏口入学に違いない。

顔だけは人形みたいに整っているけど、表情も作りものみたいで、気味が悪い。

彼も、あいつの何がよくってそばに置いているんだろうか。



俺はずっと我慢してみていたが、どうしても我慢の限界が来てあいつのところに行った。

いつもは彼が一緒にいて、食堂でもあいつの世話をしてやっていたけど、今日は会議であいつが1人だった。でも正式には1人ではなくて、彼の親衛隊と呼ばれる人が代わりに世話をしていた。

1人で満足に食事もとれないなんてどれだけ無能で馬鹿なんだろうか。



「なあ、なんでだよ!お前みたいなバカなやつが会長の恋人なんだよ?!俺の方がずっと頭も良いし、会長の役にだって立てる。お前みたいに世話ばっかりかけさせてヘラヘラしているやつなんか、会長にふさわしくない!どっかに消えろよ」


思わず罵倒してやった。このくらい言えば傷つくかと思ったけれど、変わらず頭が可笑しそうな笑みを浮かべていた。

何を言われているのかも理解できないのかもしれない。


「お前なんかどうせ、その顔だけで会長の性欲処理にでも使われているだけだろ!その笑顔も気持ち悪いんだよ!」


何故か俺の取りまきたちが、慌てふためいて俺の口を閉じようとする。

あいつの周りの親衛隊たちも、あいつを気遣って、おろおろしていた。

あいつに傷つくような心があるわけないだろ。


そう思ったけど、俺を初めてまっすぐ見た目は、いつものヘラヘラした笑い顔じゃなかった。どこかおかしい目をした、暗い表情をしていた。

「そうだよね。俺、頭おかしいんだ。毎日消えたいと思っているんだけど、どうしてできないのかなぁ」

と言いながら、食器を床にたたきつけると、破片を拾って首に突き刺そうとした。

「手押えて!」

周りの世話係がそれを止める。

手は血だらけになっていたが、あいつの首は無事だった。


「会長様がいない時に、こんなっ」

「薬の量を増やそう、早く薬渡して!」

「でも、これ以上は」
「そんなこと言っている場合じゃないだろ!」


無理矢理、親衛隊の連中があいつに薬を飲ませている。

これ以上けがをさせないように抑え込みながら。


いったい何なんだ。

目の前で起きていることが理解できない。

突然、自殺しようとしたようにしか見えなかった。


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