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次の日以降は、特にやることもなく、ダラダラした日々を過ごしていた。2階窓から見張りを交代でやるが、それ以外なにもすることがなかった。本や漫画やテレビもゲームもなんもないしな。スマフォはあるが、充電器がないので、情報収集のため以外には使えない。基本電源を切って、緊急時のために取って置いてある。

ちなみに働いていてくれたのはガチホモ君だけであった。いや、俺も見張りとか掃除とかそういうことはやったけど、それだけ。ガチホモ君は危険を省みずに、安全な体育館を出て、物資を回収に回ってくれていた。ガチホモ君様様で、俺たちは頭が上がらなかった。

でもいくらガチホモ君でもゾンビ天国を動き回って大丈夫なのかな?と思うけど、ガチホモ君曰く、ゾンビたちは目が見えていないようで、人間が立てる音や悲鳴に反応して襲ってくるそうで、音を立てないように行動すれば大丈夫だそうです。でも一般人は、靴の音や呼吸にすら反応されるそうで、ガチホモ君の類稀なる運動神経(音を立てなかったり、呼吸すら支配下における)じゃないと無理なそうで、俺たちが外の世界にいったら簡単にゾンビの仲間入りになるだろう。だから、俺は外に出ない。

ゾンビたちは発生から8日目の今日も元気に動き回っていた。こりゃしばらく人間様は歩き回るのは無理っぽいな。ガチホモ君は強いから大丈夫かもしれないけど。本当に腐敗してくれるだろうか?
窓から見るゾンビさんたちは食料(人間)がほとんどいなくなって、食べていないだろうに元気一杯動き回っているぞ。

「俺は夢があった……」

ああ、プロ野球選手になるってやつか。
今は見張りを除いて晩御飯の最中です。備蓄のご飯なので、毎日同じ物ばかり食べていて飽きてくるが、贅沢は言うまい。
乾パンは美味しくないけど、ガチホモ君が何故か俺にだけ外の世界で取ってきてくれた甘味とかお肉の缶詰とかくれるから、まあ他のクラスメイトよりも食糧事情は充実している。勿論、あげたりしないで独り占めをしている。

「いずれは大リーグに行って、100億位稼ぐつもりだった」

ガチホモ君なら夢ではなかったでしょう。日本人選手で5年間100億以上の契約も珍しくないからね。

「で、好きなやつに100億自由にして良いからとプロポーズして、アメリカで同性結婚をしてもらうつもりだった」

「え?金でプロポーズ?」

「好きな人は……ノンケだったからな。100億あったらゲイじゃなくても結婚してくれるかもしれないと夢を見ていたんだ……それもまあ、こんな世界になったら無理だろうけどな」

ノンケでも100億あったら男と結婚するかな??
俺だったらしないけどな。まあ、金目当てで結婚するやつもいるかもしれない。
けど、せっかくそんな野望があっても、もう無理でしょ。ゾンビが壊滅しても、まず復興からだろうから、野球に金かけている場合じゃないしな。その前に人間が壊滅する可能性のほうが高いけど。

「俺たちは明日も生きていられるか分からない状況だ」

うん、それはそうですね。今のところは大丈夫そうだけど。何時まで持つか分かりません。
けど、ここにいるみんなは割と冷静だったりする。ガチホモ君がいれば、何となく生き延びれるような気がするからだ。

「だから、俺は今日を生きることにした。もう我慢するのやめにすることにした。欲望のままに生き抜くことを決めた」

「欲望って?」

鈴木君がガチホモ君にクエッション。

「俺はずっと好きなやつがいた……そいつとやる前に死にたくはない。こんな世界になったんだ。そいつと毎日セックスしまくって、本望を晴らしたい」

「で、でも、ここには俺らたち6人しかいないし……い、いくら須藤君がホモだからって、手近かな所で済まそうとはしないでしょ?」

鈴木のやつはビビリながら言ったが、俺たちも充分ビビッている。まさかガチホモ君はゾンビワールドになったから、俺たちを性奴隷にしてゲイハーレムを築く気なのか??
今まで、ホモを我慢してきたから、何でも良いからやりまくろうってことだろうか?
今日はこっちの尻。明日はこっちの尻と、俺たちを尻奴隷にするつもりだったらどうしよう!

「まさか、男なら何でも良い訳じゃない。俺はあくまで好きなヤツとやりたいだけだ」

鈴木も俺たちもホッとした。ゲイハーレムを築きたいわけじゃないのね。

「俺が好きなのは恵(けい)だ。恵とセックスしたい」

俺の名前は皆瀬恵介(みなせけいすけ)だ。みんなの視線が俺に集まった。俺は多田のほう目線をやった。多田恵斗(ただけいと)、同じ恵(けい)だ。

「「「「み、皆瀬」」」」

「え?恵って多田のことだろ?」

「「「どう考えたって、皆瀬のほうだろ!?須藤がいの一番に助けに行ったのも皆瀬だし、だいたい多田はキモブタだぞ!?」」」

確かに、ガチホモ君は何故か俺を助けてくれた。
多田は太ったアニオタだ。しかし偏見は良くない。デブが好きなホモだって当然いるだろう。むしろホモの世界ってクマさんが人気とか小耳に挟んだこともあったな。

「「「だいたい、須藤がいつも気にかけているのは皆瀬だし、夜も抱きしめて寝てやるなんて、どう考えたって須藤が好きなのは皆瀬のほうだろ!クラスで一番のイケメンな皆瀬と多田を比べれば誰でも分かる。それに、恵って呼ばれているのは皆瀬のほうだろ?」」」

確かにアレはおかしいと思った。だけど、ホモだから男を抱きしめたいのかと、そう思っただけだった。俺もガチホモ君に抱きしめられて寝るのはアレと思わないでもなかったが、外はゾンビワールドなので、ガチホモ君と一緒にいると安心できたのであえて拒否しなかったのだ。

俺は縋るようにガチホモ君を見た。好きなのは多田のほうで、俺じゃないって言ってって。

「察し通り、俺が好きなのは皆瀬恵介のほうだ。だから、いの一番に恵を助けた。他の誰が犠牲になってもお前だけ助けたかった。俺の物になってくれ……いや、なるんだ。拒否権は恵にはない」

ガーン。やっぱり俺だったの?しかもなってくれという懇願から一瞬で、強制に変化しましたよ。


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