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「それにしても男しかいないよな……これで可愛い女の子がいたらまだ花があったのにな」

同感だが。

「鬱陶しい女がいなくて良かった」

ガチホモ君……ほんと、ガチホモだよね。ガチホモ君は俺を助けてくれたけど(他4名は勝手にくっついてきたが、ガチホモ君は文句は言わなかった)が、女の子が縋りついて助けてと悲鳴を上げていても、冷血に無視していたもんな……それどころか邪魔だとか、蹴り倒したりしていたよね。俺はそれを見て、本当にホモなんだなとゾンビ化する女の子たちに怯えながら思ったものだった。
まあ、女の子がいたら守ってあげないといけないし、パニック集団心理で女の子がいたらピーな目にあう可能性もある。そのせいで平和な集団が乱れるくらいなら、女の子はいらないというガチホモ君の言葉に賛成だった。


と、一段落ついて和やか?なムードで団欒をしていると、体育館のドアをドンドンと叩く音が聞こえた。助けて!と悲鳴が聞こえた。『ゾンビが来る!早く開けて!』数人がいるらしく、金属製の頑丈なドアをガンガンと叩いたり蹴ったりして、助けを求めていた。

「え?ど、どうする?助けないとだよね?」

俺たちは腰を上げて、ドアのほうに向かおうとしたがガチムチ君に止められた。

「止めろ、ドアを開けた途端にゾンビも紛れて入ってくる可能性がある。それに、ゾンビにかまれている危険もな。少しの危険も犯したくない」

「で、でもっ」

「それに人数が多くなれば多くなるだけ食料も減るし、争いも起こる。余計な人間は入れたくない。分かったな?」

分かったなと言っている間に、懇願の声は悲鳴にと変わっていった。ゾンビに食べられたのだろう。窓から下を見ると、ゾンビが群がって食事をしている最中のようだった。悲鳴を上げていたせいで多くのゾンビが体育館の周辺に押し寄せてきている。

「あ、あんなに一杯ゾンビが!」

「200〜300体くらいいそう」

大体が元この学校の生徒たちらしく、みな制服を着ているゾンビたちだった。

「大丈夫かな?……」

「そう簡単に扉は破壊されないし、あいつらが食い尽くされればそのうちどこかに散らばるだろう。俺たちがここで騒がなければな」

ガチホモ君だけ冷静だった。

「良いな?俺たちは生き延びるために冷酷にならなければならない。俺はお前たちを助けたから、お前たちだけはできるだけ守るが、他のやつらまでは知ったことじゃない。こんな世界なってしまったのだから、助け合わないといけないとか、見捨てられないとか、そんなこと言っていたら、生きてはいけない。生ぬるいことを言うやつがいたら、窓から捨ててゾンビの餌にするからな?」

いや、分かるよ分かる。ゾンビの世界になると、敵はゾンビよりも人間同士っていうのがパターンだもんね。さっきも助けてあげたとしても、ガチホモ君の言うようにゾンビにかまれている可能性はかなり高いし、助けてあげても牙を向かれるかもしれないし。良い事ないよね。うん、俺は生きたいから、潔く見捨てるよ。


夜になって毛布を出してきて寝ることにしたが、流石にこんなことが起こった夜だ。目が冴えて眠れないし、これからどうなるんだろうとか、ゾンビに食べられた人の内臓とかスプラッターなことを思い出してはなかなか眠れなかった。ガチムチ君が眠れないのか?とか聞いてきて、うん……と答えたら、俺が守ってやると、後ろから抱きしめられて、寝ろと言われた。
え?逆の意味で眠れないですけどね。


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