bookmark



こんにちは、絶望よ。

ってマジです!
今日のお昼まで、俺の生活は平凡そのものでした。普通の高校生で、普通に授業を受けていました。
それがそろそろ放課後という時間に、悲鳴から俺の日常生活は変わってしまいました。
いいえ、おそらく日本中が……いえ、世界中かもしれません。

「はあ、はあ……ぞ、ゾンビ来ていないか!?」

なんとゾンビが地上を歩き回っているんですよ!
し、しかも、ノロノロ歩くタイプじゃなくて、バイオハザードみたいな全速力で走ってくるゾンビで、校内に一匹のゾンビが入り込んだ途端、一人が一匹に、一匹が24匹に、あっという間にゾンビ天国になってしまったのだ。
それは俺の高校だけじゃなくって、町中もそんな感じなのか、最早生きている人間よりもゾンビの方が圧倒的に多い有様なのだ。

で、俺のスペックなんですが……174センチ、17歳、喧嘩もしたことがない、超一般男子生徒です。俺は自分がまだゾンビになってないほうが不思議なスペックなんです。全然強くありません。足だけはそれなりに速いですが、全速力で走ってくるゾンビには負けそうなスペックであります。

何で生き残れたかって言うと、クラスメートのガチホモ君のお陰です。

ガチホモ君は本名須藤君といい、スペックは野球部で、投げて良し打って良しの将来ウン億円プレイヤーになることが約束されているような、マッチョなイケメンです。しかしもてません。普通だったら将来玉の輿希望の女性とかから、モテてモテて仕方がないと思うのですが、ホモだとカミングアウトしているせいで、モテません。

で、クラスメイトたちは須藤くんのことをガチホモ君と呼んでいます。と言っても、ガチホモ君はホモなんでしょうが、俺たちには色目を使ったり言い寄ったりするようなことはなかったので、ただのホモだと思って遠目で見ているだけでした。

でも、今回はこのガチホモ君のお陰で、助かったのですよ。金属バッドを持ったガチホモ君は最強でした。野球部のエースがゾンビの脳天をぶちのめし、何故かそばにいた俺の手を引っ張って、ここまでつれて来てくれました。
ガチホモ君にくっついて難を逃れた他4名のクラスメイトと計6人です。

「ゾンビは入ってきていないようだが……念のため確認したほうが良いな。鈴木と中村は戸締りの確認をしろ。誰も入って来れないように……で、多田は武器を探せ。加賀は窓からゾンビの様子を見ておかしなことがないか報告しろ。で、恵(けい)は俺と一緒にゾンビがいないか、確認にまわる」

ガチホモ君が勝手にリーダーになって命令をしていますが、ここで空気を読まないで反対するようなアホはいません。だってガチホモのおかげで助かったんだしね。ガチホモがいないとこれからも助からないだろうしね。
ちなみにガチホモ君は逃げる際には、他の生徒のように闇雲に外に出ようとせずに体育館に逃げ込みました。

「何の状況も分からないまま、外に逃げたところで死にに行くようなものだ。閉じこもっていれば死なずに済んだやつもいだたろうに、われ先に外に逃げたせいでゾンビの仲間入りしていただろ?」

「まあ、そうだけど……普通行き成りゾンビが現れて、次々に食い殺されていけば、何も考えずに逃げちゃうと思うけど。俺もガじゃなくて須藤に助けて貰わなければ、同じように逃げ惑って今頃ゾンビだったと思うなあ」

「俺が守ってやるから安心しろ」

「ありがとう……ほんと、俺たち須藤がいないと生きていけないよな。でも、どうして体育館に逃げたんだ?」

「まず、体育館は天災が起こったときの避難場所だろ?学校内で一番篭城しやすい作りになっている。頑丈な扉だからな。教室に閉じこもっても、木の扉ではゾンビが数十匹も体当たりしてきたら持ちこたえ切れない。それに災害用に備蓄が大量にあるはずだ。水や食料、毛布、医薬品など、俺たち6人程度だったら数ヶ月〜数年は楽に持つだろう」

そうか……さすがガチホモ君だ。色々考えて逃げてくれたわけだな。この状況まず最も大切なのは、篭城先を見つけること。次に大切なのは食料だ。食料がなければ決死の覚悟で外に出て食料を奪ってこないといけないだろ。ここは大量に食料があって、頑丈なつくりだ。まさに一石二鳥だった。

俺たち6人は戸締り、食料の捜索などを済ますと、情報収集を始めた。スマフォが充電のあるうちに、動かさないとな。

結果……やはりゾンビ帝国と成り果てているようだった。どういうわけが世界中にゾンビが現れ、警戒することもできないまま一瞬でゾンビが大繁殖してしまったため、警察や自衛隊は機能するどころではなかったようだ。今も体育館の2階から外を見回すと生きている人間は全くおらずゾンビが大量に蠢いているだけだ。
元々日本の警察とか自衛隊って、命令がないと動けないしね。ゾンビが発生して僅か数時間もしないうちに死者の方が圧倒的に多くなったら、アウトだよね。対策本部とか立てる前に、壊滅しているだろう。
警察や自衛隊に救出されるという甘い考えは捨てたほうがいいな。

「生きている人間はあの混乱を生き延びれた極少数しかいないだろうし、閉じこもっているだろうからここからは見えないだろう。こうやってしばらく閉じこもって、ゾンビがそのうちに餓死か腐敗していなくなってもらうのを期待して待つしかないな」

消極的だが、ゾンビ天国の外に出るわけにもいかないので、それが一番賢いかもしれない。食料は全く問題がないほどあるし、6人なら余裕だろう。ゾンビが餓死するか腐敗するかは不明だが、ガチホモの案が最も現実的だろう。
どうやってもあんなゾンビ集団に勝てそうもない。


  back  




[TOPへ]


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -