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卵を採取っと!
この島、俺がいた島よりも小さいけど、コテージはあるし、ソーラーパネルで自家発電もしているし、食料も果物がたくさんなっていて鶏もいて卵もあるし、ヤギも飼っているのでミルクも取れる。
野菜も栽培していて自給自足が出来る生活をしているみたい。
「世話をしているのって俺なんて、結構大変だったんですよ。亜季斗さんが来てくれて助かります」
「そういってくれると居候な身には助かるよ! 俺、チーズ作れるし、醤油とかもマイスターの資格持っているから、恵君の邪魔にならないように働くから!」
「良いんですよ。ホモに目をつけられるなんて、逃げ出したくなるの当然ですよね。こんな世の中でも女性は細々と生きているだろうに、なんで男が良いのか不思議です」
そうなんだよね!
あの島は正親がホモばっかり集めたから男しかいないけど、本土とか四国とか北海道とかだったら女性も生き残っている人少数とはいえいるだろう。
確かに、こんな世の中では女の子が生きていくのは難しいだろうけど、結構女の人のほうが生存率高いって聞くけどな。精神的に男は弱いんだって。まあ、女の子とエッチなことしてこんな世界で妊娠したら致命的だろうけど。出産も命がけだろうし、何よりも赤ん坊がこんな世界で生きていけるのかな?
予防接種もできないし、ろくな医療用品もなければ切り傷だけで感染症で死んでしまう危険性もあるだろうし。
「正親って、あ、正親から俺逃げてきたんだけど。昔から女嫌いで、頭も良いし、顔も綺麗だし、孤児だったんだけど金儲けして金もあったから、凄いもてたんだよな。でも、女嫌いみたいで、近寄るのすら嫌がっていたし。俺がAV持っているだけで嫌な顔するんだよな〜……おもえば、ホモの兆候は小学生の頃からあったのかもしれないなあ」
「レイプされたんですか?」
「いやいや! まだだから! される前に逃げてきたんだよ! 正親、綺麗な顔してちんこでかいんだっ! 怖いよ! あんなの入れられるなんて絶対無理だし嫌!!!!!」
「………良いんですよ。ずっとここにいて下さいね」
「ありがとう! そういえば、一緒に住んでいる人ってどんな人なの?」
「俺のクラスメイトで……始めはもっとたくさんいたんですが、皆ゾンビに食われて、今では俺とガ、須藤という男だけです。体力だけはあるので、本土に戻ってゾンビの群れの間をかいくぐって、物資を取りに行ってくれています」
そうとうガチムチっぽいな。
あのゾンビに対抗できるなんて、そうとうの戦闘力があるに違いない。
と、恵くんとしゃべっているとモーターの音が聞こえてきた。
浜辺のほうを見ると、マッチョで凄い長身の男がいた。
「恵、お前の好きな甘味をたくさん取ってきたぞ」
「そう……」
「こいつは?」
「隣の島から逃げてきたんだって。しばらくいさせてあげて。俺だけじゃあ、動物の世話が大変だし」
「恵が良いんだったら構わないが。どう見てもそういう趣味は無いだろうし」
ガッチムチの須藤くんは、ちょっと傭兵のマリオと似ているなあって思った。これくらいガッチムッチじゃないとゾンビと戦えないよな〜。
「須藤くん、ゾンビ怖くないの?」
俺はゾンビを生で見たことないから、映像で見たら怖いけど、実際に戦っていないし本物みたことないし。
いま、正親たちが調査に行っているけど、正親たちも安全を考慮して、ヘリから降りないようにサンプルを取ったり、全身アーマーで行動するみたいだし、この須藤くんみたいに直接戦ったりしないんだろうし。
「まあ、数が多いと脅威だが、数体ならさほど問題はない。音を立てなければ、見つからないように物資を取ってくるのは難しくないしな。恵の仕事が減るからいても良いが、俺たちの住んでいるコテージには来ないでくれ」
「分かりました……」
妙に威圧感があるよな。須藤くん。
まあ、一人で寝るもが怖いわけでもないので問題ないけど。あ!恵くんに貸していたIPADを置いてきてしまった。
娯楽に飢えているみたいで、漫画とか映画とかが見れるIPADを見せたら凄く喜んだんだよな、恵くん。
明日でも良いといえば良いけど、昨日は脱出した緊張感があってなんとも思っていなかったけど、せっかく正親がいなくなったのでAVでも見て一人エッチしたいなあと思ってIPADを返してもらおうと恵くんたちのコテージに向った。
貸していたものを返してもらうだけなので問題ないよね?
「もしもし恵くん〜IPAD返して〜」
チャイムもないので、そう声をかけたけど返事はない。もう寝ちゃったかな?
「恵くん?」
窓からのぞいて見ると………はい、ホモがいました!
イケメンな恵くんがガッチムチに犯されています!
須藤くん、ちんこでかい………恵くんも平均よりは高い身長のはずだけど、ガチ須藤くんと比べるととても華奢な感じがして、そんな酷い目にあっているのが可哀想……あ?でも?合意?
でも、かなり嫌そうにしているし、須藤くんもゾンビの世界になったので、ホモにならざる得なかったのかな?
どうしてどこに行ってもホモしかいないんだろう?
まあでも、AV見れないんだったらホモみたいとか思わないし、ホモのエッチ見ていても哀れとか思うけど、興奮しないし帰ろう。
と自分のコテージに向っていると、轟音が響いてきた。何かと思って上空を見あげるとヘリがいた。
まさか正親?
何でここが分かったんだろう!と思っているうちに、上陸して正親がやっぱりいた!
「亜季斗………こんな所までお散歩か? 俺が帰る前要塞から出ないように言ってあっただろう?」
「だって!」
「ほら、帰ろう」
「……や、やだっ!」
「亜季斗!」
こ、怖い。正親怒っているよ。
「何が気に入らないんだ!」
「だってだって! 正親、俺のこともうそういう目で見ないって約束したのに!考えているだろっ!……俺分かるんだもんっ!」
「………お前は馬鹿だけど、鋭いから嫌になるな。ああ、俺は相変わらずお前を抱きたいし、こんな世界になったんだ。もうお前も逃げれないだろう? 逃げれてもせいぜい隣の島までだ。だいたいこの島に逃げたのだって分かっていたんだよ。お前に見張りがいないとでも思ったか? だが、隣島だったので安全だから好きに行動させていただけだ。逃げても無駄だって分からせるためにな」
「俺はホモやだよ!」
「今まで手を出さずにいておいてやったんだ。もう、俺も我慢はしない。亜季斗、大人しく俺の者になってくれ……大事にするから」
「無理だよ! 俺、女の子が好きなんだもん! エッチするんだったら女の子のほうが良いから!」
今まで女の子と付き合ったことなかったけど。だって正親が怒るんだもん。正親は女の子嫌いだから、寄ってくるだけで追い払うし、バイトもしていないから出会いもないし合コンも禁止されるし。自分が女の子嫌いだからって俺にも強要するし!
「残念だったな。もうこの世界に女はいない。いてもゾンビだけだな」
「……え? だって、生存者、まだいるよね?」
数が少ないとはいえ、まだ何万という単位で生存者がいるってドクターたちも言っていた。逆に言えば、ゾンビが一億以上日本にいるって絶望的な計算なんだけど。
「いるが、生きているのは男だけだ。このゾンビウイルスは簡易調査で分かった結果だが、接触感染(唾液血液など)で噛み付かれると数秒から数分でゾンビ化するが、その他にも空気感染する事がわかった。ただし空気感染するのは女だけだ。空気感染すると、数時間から遅くても3日ほどで発症する。そうでもなければここまで感染が広まらなかっただろうな」
正親が行ったサンプル採取の前から、研究者達が映像解析などをしていて分かった事。
接触感染をすると男女どちらとも感染するが、女性だけ空気感染しゾンビ化すること。そうでもなければ、屋外にいた人たちの感染速度はともかく、屋内にいて感染者を入れなければかなりの生存者がいたはずだ。よく考えて見れば、屋内にいる数と屋外にいる数だったらたぶん、屋内にいる人のほうが多いんじゃないだろうか。なのに、わずか数時間であっという間にゾンビだらけになったことを考えると、空気感染も考えなければおかしいということ。
生存者を追跡調査してみると、誰一人として性別女性が見当たらない事。
サンプルを簡易解析した結果、ウイルス学者が出した答えは、もう女性はこの世界には存在していないという事だ。
「そ、そんな……」
「だからな、亜季斗。男同士がおかしいとか、そういう旧世界の常識はもうないんだ。男しかもういないから、男同士で愛し合って当たり前なんだ。俺はお前を愛しているよ。分かっていただろう? 亜季斗」
知っていたけど、知っていたけど!
「けど! 世界にゾンビと男しかいなくなったって、ホモにはなりたくないんだっ! ホモになるくらいだったらっ!」
ゾンビになりた………くないけど。