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僕が誘拐されたのは、紛争地帯で難民キャンプでいた時だった。
僕がいた地域は中立地帯だったけれど、治安は悪く、難民たちが毎日死んでいた。中には親を失って誘拐同然で売られていったりする子たちもいたらしい。

でも、まさか自分が誘拐されるなんて思ってもいなかった。紛争地帯にいても、国境無き医師団の一員として一介の医師として働く身であり、平和な日本で暮らしてきたのだ。
まさか、自分がと思わないのは当然だろう。
人を救って、そしていずれは日本に帰る。そう疑いも無く思っていた。命の危険があるなんて思ってもいなかった。そういう危険な地域にいたわけではないからだ。

「や、やめて……」

泣いて懇願しても無駄だった。
僕は見知らぬ外人にレイプされた。外人に見えたが男は日本語は話せるようで、日系ブラジル人だと言っていた。
浅黒い、ブラジル系の血が入っているせいか、ひ弱な日本人である僕とは比べ物にならないほど背が高く鍛えられた肉体をしていて、初めて男に犯されたときは死んでしまうかと思った。
男はフランス外人部隊に所属している兵士で、誘拐されたフランス人を救出するためにここに来ているそうだ。日中は任務でいなくて、夜には僕を犯しに戻ってくる。
男の仲間もいたが、仲間たちは、男が外国人である僕を誘拐して夜中犯しても気にしている様子はなかった。

僕にとって幸いだったのは、男は何故か僕を気に入っていて、他の男たちには一切手を出させなかった。
男の相手だけでも辛いのに、男の仲間たちに輪姦されたら死んでしまっただろう。誘拐されていたが、男に大事にはされていた。大事に僕を監禁し、大事に僕を犯していた。

僕は始めは逃げようとしたが、男たちは熟練の兵士で、僕が逃げる隙を与えなかった。
だんだん僕は逃げる気力をなくして、男が僕に飽きたら、きっと殺されるか、他の仲間たちに与えるか。どのみち、いい未来は想像できなかった。だから僕は、男しか頼る人はいなくて、男に気に入られるために何でもした。

男との性交は辛かったが、段々慣れてくるものだった。
始めは泣いてばかりいたけれど、男に抱かれると気持ちが良くなって、男の男根だけでいけたときには、男は凄く喜んでいた。だから僕はセックスで気持ちよくなろうと努力した。男が任務から戻ってくると、自分から男に跨って奉仕すらした。
逃げようとは思わないようにした。男はそういう僕の気持ちを敏感に察知したからだ。僕は逃げない、嫌がらない、男を愛している、そう思い込むように努力をした。

「ユズキ、お前が誘拐されたと日本では大騒ぎになっているようだ」

「……どうでも良いよ」

「そうだ、確かにどうでも良い。だが、もうここでの任務が終わるんだ。ユズキをフランスに連れて行きたいが、パスポートの問題もあるし、偽造もできなくはないが。これだけ大騒ぎになっているとな」

すでに問題は国家首相レヴェルになっているらしい。男は僕を連れていきたいようだが、これだけ目立つ僕を連れていっては、いずればれてしまうと考えたらしい。

僕は、男の部隊に偶然助けられた事になって、日本に戻ることが出来た。男もついてきた。男は外人部隊を除隊し、日系人でもあったため、日本国籍もあり、問題なく滞在できた。僕は仕事に復帰するまで、今までと同じように男にほぼ監禁され、毎日男に抱かれて過ごしていた。僕が従順であったため、男は僕が医師として復帰することを許可してくれた。

だけど、だんだん僕は日常に戻っていくと、何で男から逃げられないのだろうか。僕を誘拐してレイプし続けた男と、何故まだ一緒に暮らし抱かれているのだろうかと疑問に思うようになっていった。
だが、男にそんな事を言っても無駄だろう。理屈が通るとも思えない。だがどうやって逃げようか。逃げたりしたら、またあの監禁レイプの日々に戻るだけだ。

僕が男からのマインドコントロール下から抜け出したのを感じたのか、男は僕の監視を深めていった。
そして、バカンスに出かけようと言われ、無人島に連れられていき……世界は、ゾンビだけになった。



「逃げたい?」

「うんっ! ドクターもあの傭兵さんから逃げたいんでしょう? 一緒に逃げよう!」

美人なドクターさんは、最初は帰りたいと泣いて傭兵さんを拒絶していたようだけど、最近では大人しく傭兵さんの部屋に自分から戻っているようだった。でも、その顔は決して嬉しそうではなく、仕方がなく言う事を聞いているという感じだった。

「逃げるってどこに逃げるんだい? ゾンビだらけの世界になってしまって、ここ以外に安住の地は無いよ」

「でも、ここにいたらホモの餌食に……」

俺はあれから何度も正親に犯される夢を見た。何度も見るって事は、正親は絶対に実行しようと考えているんだ。ここは正親の島だし(統率しているのは正親)だから、俺が嫌がって逃げても誰も助けてくれないと思う。このドクターを誰も助けないのと同じように。

「確かに餌食にはなっているけど、外の世界ではゾンビの餌食になっているんだよ。ゾンビに食われるのと男に食われるのと、どっちがマシかな?」

「比べられないよ……」

「僕はね……まだ命が惜しいんだ。この島から出て生き残れるとは思えない。衛星画像みただろう? 世界中どこに行っても逃げ場所は無いよ」

「正親と暮らしていたビルだったら、たぶん平気だと思う。あそこは要塞みたいになっているし、食料も物資も山ほどあるから!」

「どうやって要塞まで行くの? ヘリは操縦できないし、船くらいだったら何とかなるかもしれないけど、港からビルまでゾンビがいる中たどり着けるかな? それに、要塞に閉じこもっていてもすぐにマリオと正親さんに見つかって捕獲されるよ。今は島を好きに動けるけど、窓のない部屋から一歩も出られない生活はしたくないんだ。ゾンビの世界で怯えながら追手が何時来るかびくびくする生活よりも、ここでマリオに犯されながらつかの間の楽園でも平和に暮らしたいんだ。黙っていてあげるから、亜季斗くんも逃げようなんて馬鹿馬鹿しい考えは止めたほうが良いよ」

せっかく仲間になってくれるかもしれないドクターは諦めきっていた。
もう、数え切れないくらいちんこを挿入されているから、今さら逃げようと思わないんだろう。100回挿入されたらそれが105回になろうが、200回になろうがあまり変わりないからかな?

でも俺は違うもん。まだ正夢でしかされてないから。頑張って逃げようと思うんだ。

「じゃあ、協力してとは言わないから、逃げる方法だけでも一緒に考えてよ。お医者様だから頭良いでしょう? 俺、馬鹿だから、たぶん正親に勝てるような方法思いつかないと思う」

馬鹿だからドクターだったら、いい戦力になるかと思ったんだ。

「じゃあ、まず、どうやって逃げるか足を考えてみようか」

「ヘリは運転できないし……クルーザーも無理だと思う」

「ボートくらいだったらできる?」

「それなら」

エンジンがついているボートだったら傭兵さんに、いざと言うときのために習った。

「じゃあ、脱出したとしたらボートだね。ただ、本土に行って……ゾンビがいるのに、どうやって暮らすのかな? 物資の調達とか、ゾンビから身を守る手段はあるの?」

映像を見ながらゾンビの世界を見る……うん、駄目だ。すぐに死んじゃうよ。

「無理だと思う………」

「じゃあ、脱出は止めようか。正親さんとちゃんと話し合って、合意の上でセックスをしなよ。たぶん、優しくしてくれるよ。強姦されるよりも、合意の上で抱かれたほうが苦じゃないよ。僕の経験から言っているから、ゾンビの世界で生きようとするよりも、ホモの世界で生きようと考え直したほうが良いよ」

そりゃあ、ドクターはもう数え切れないくらいちんこを突っ込まれているからそういう達観した考えが出来るんであって、俺は親友のちんこは無理だと思う。

早くしないと、いつ正親のちんこを突っ込まれるか分からない。それほど正夢がリアルになってきている。ここまでリアルになってくると、もはや実行日が近くなってきている証拠だ。一刻も早く逃げないといけない。

「亜季斗、今日は俺たち、本土に戻って調査をしてこようと思う」

「調査って何? 衛星から何でも見れるのに、何で危険なことをするの?」

「ウイルス学者が、ゾンビウイルスを分析してみたいって言うんだ。できればワクチンの開発をしたいと言うし、確かに今はこの島でなんとかやっているが、いずれ本土に戻らなければいけないときがやってくるかもしれない。ワクチンはあるに越した事はないので、検体の採取と物資の補給に行きたい」

「でも……ゾンビに噛まれたら」

「大丈夫だ。基本はヘリから降りないし、充分武器は持っていく。それに、全身噛まれても平気な特殊繊維の服を着ていくから」

確かにゾンビ映画を見ていて思うんだよね。中世の鉄鎧を着ていれば、ゾンビがいても噛み付かれないし、せめて噛まれないように全身服を着るとかしないのかな〜とか。噛まれて感染する馬鹿、半そでで活動しているし。あれで長袖の革ジャンでも着ていれば感染しないのにな〜とか思ったりしていたんだ。

「しばらく手薄になるから、念のため要塞から出ないでくれ。海で遊ぶのも俺が帰ってきてからな?」

「分かった」

正親は俺が正夢を見ているのは知らない。だから俺が逃げようと考えているのも知らない。だったら今がチャンスだ!

とにかく! とにかく! この島から出たいっ!
ここが無人島なら他にも無人島があるかもしれないし!

物資を一か月分くらいボートに乗せれるだけ乗せて、島を出た。

しばらくボートを適当に運転していると、島が見えてきた! ほら、やっぱり他にも島がある! 肉眼でも島があるように見えたんだ。島だって自信はなかったけど、だいたい20キロくらいボートを進ませると着いた。

「ん? 無人島じゃないのかな? コテージみたいなのがあるし、鶏もたくさんいる」

少し進んでいくと、鶏の世話をしている人がいた。高校生くらいかな?

「だ、誰?」

「怪しい者じゃないんだ! ホモに狙われて、ホモから逃れるためにあっちにある島から逃げてきたんだっ!」

こっちの島のほうが小さいから、あっちからは見えにくかったけど、俺がいた島が大きいのでこっちの島からはよく見える。

「亜季斗っていうんだ。その、良ければ匿って欲しいんだけど、駄目かな?」

「俺は皆瀬恵介です。一緒に暮らしている同居人がいるんですけど、今、東京のほうに戻っていて物資の調達に行っています。二人っきりなので、歓迎しますよ。亜季斗さん」

イケメン高校生、恵君は俺を歓迎してくれた。ずっといても良いって言ってくれた。物資は同居人がたくさん持ってきてくれるので心配しなくて良いと。
一緒に鶏とヤギの世話をすることと、野菜の栽培とかをして欲しいと言われたけど、そのくらいなら全然OKだ!ありがとう恵君!

コテージが何軒かあったので、使っていないコテージを俺にくれて、久しぶりに気分良く眠れた。ホモに襲われない夢を見るって良い気分だよね!

俺が隣のコテージで恵君が何をしているか知らないまま眠りに着いた。

『もしもし? もしもし? あっちの島の方ですか? 亜季斗さんっていう方が、ホモから逃げてきたって来ているんですけど……はい、はい、そうです。ホモから自分だけ逃げるなんてズルイですよね。早く捕獲しに来てください』

と無線で通信しているのを知りようが無かった。




恵くん、登場でさっそく・・売った。


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