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ゾンビの世界になってから数日経った。
衛星画像から送られてくる様子を見ていると、人類終わったなという感じだった。

とにかくゾンビの行動力は半端じゃなかった。数の暴力で、一軒家は平気で押しつぶしていくし、マンションでも窓を物量作戦で津波の様になって高層階でも平気で襲っていく。

衛星画像ではもはや生きている人間は屋外では全く見かけない。

「凄い繁殖力?だな……自衛隊や警察なんて出る暇もなかったな」

「その分、アメリカなんかは結構頑張っていますけどね。自国に核とばしたり。まあ、あっちは一般市民でも銃持っていますからね」

でも、自分の国に核ぶつけてどうするんだろう。ゾンビがいるのそこだけじゃないだろうに。

俺は映像を見ていても、気持ちが暗くなるだけなので、外に出ることにした。
この無人島は元々要塞で、しかも自給自足が出来るように設計されているらしい。

すでに雇われた100人はそれぞれの役目を始めていた。

傭兵さんたちは、ゾンビが流れ着いてきたり、人間が助けを求めてこの島を侵略してこないか、見張っているし、畜産関係の人は動物のお世話とかチーズを作ってくれたり、牛乳とか搾ってくれて食卓に並んでいる。
畑のお世話をしたり、果物の木もあるし、食糧も物凄い備蓄があるし、当分生きていくのに困る感じは無いみたいだ。

正親は始めはゾンビが流れ着いて切ると危ないから、要塞の巨大壁から出てはいけないっていったけど、どうやらゾンビは水が嫌いみたいで、映像でも川を渡ろうとしなかったし、海に入ろうともしていなかった。
ウイルス学者さんが、ゾンビウイルスは狂犬病に似ているかもしれないって言っていた。水を怖がるんだって。
だから正親も俺が海に遊びに行ってもいいって許可をしてくれた。勿論傭兵さんが見張っているんだけど。

みんな、夜勤や昼勤で時間制でちゃんと働いてくれている。まあ、この島で好き勝手な事を始められたら、治安は維持できないし、生存者やゾンビという脅威があるので、働くのを放棄するような馬鹿は採用していないそうだ。

それもこれも皆愛する恋人さん(男同士だけど……)のためらしく。恋人を大切にする男はよく働くんだと正親は言っていた。

ただ、正親は愛する恋人同士で連れて来たって言っていたけど……そういう人たちもいるけど、明らかにそうじゃない人たちもいるような?
今、俺が海で遊んでいるのを見張っていてくれるマッチョな傭兵さんの恋人はドクターなんだけど、夜になると泣きながらドアにしがみ付いているんだけど、この傭兵さんが無理矢理部屋に連れ込んでいるみたいなんだけど……壁が分厚いから声は聞こえてこないんだけど、翌朝腰が痛いと涙目で出勤してくる人が、他にもたくさんいたりする。

傭兵さんのちんこ物凄く大きそうで可哀想だと思って、そのドクターに傭兵さんにちんこ入れないように俺から言ってあげようかと思ったけど、正親に止められた。可哀想なのに、と思ったけど、ここで働く意欲は、ちんこを入れるためだけのものだから、止めたら働いてくれなくなると言われると……この要塞の管理をしている正親の邪魔になっては悪いと思って、言わなかった。

「傭兵さんって、ドクターを救い出した英雄ですよね。二人の馴れ初めって、やっぱ救出が切欠だったんですか?」

ドクターさんは、国境無き医師団に参加している時に過激組織に誘拐され行方不明になっていたんだよね。連日、医師誘拐とニュースで流れていたし。で、助け出したのがこの傭兵さんで、傭兵さんは外人部隊にいた時、別の誘拐された人を救出した際に偶然ドクターも発見し一緒に助け出してくれたんだよね。ニュースで放送されていた。

「いや……そもそも、アフガンで誘拐したのは俺だ」

「え……」

「一目惚れしてな。誘拐して、大事に大事に抱いていたんだが、日本で余りにも重大事件として首相会談までされていたから、流石に世界中連れまわしても、いずれ発見される危険があると思っていったんは返した。俺は外人部隊を辞めて、あいつと一緒に日本で暮らし始めた」

「そ、そうなんですか」

「始めは、ストックホルム症候群だったのが大人しく俺に抱かれていたのに、帰国してから数ヶ月経つと急にこんなにおかしいとは騒ぎ始め、逃亡しようとするから、今回のこのゾンビのお陰であいつはどこにも逃げる場所を失ったから好都合だった」

もしかしたらここに連れられてきた人たちって、みんなこんじゃあ、ないよね?

しかし俺も遊んでばかりじゃなくなんか仕事をしたいんだけど、味噌でも作っておけと言われて……大豆を収穫しようと植えたけど、また芽も出てきてないし……。

他の人が仕事をしているのに俺だけ何もしないで良いのかなって思うんだけど。

正親に相談しようと思って正親の部屋に行ったけど、いない(俺は指紋認証で正親の部屋への出入りは自由だった)
正親が帰ってくるのを待っていようと、正親のベッドに横になった。そして半分寝ている状態で夢を見た。
あ、これは正夢だなってなんとなく分かった。そしてたぶん、正親が出てくる夢だと思う。こうやって他人のベッドで正夢見るときって、その人に関わる正夢を見るんだよな。

『亜季斗、もうどこにも行けないだろう? やっと俺だけのものに出来る』
『ずっとこうしたかった』
『もうこんなことしないって言ったじゃないかっ!』
『逃げ場も無いんだ。もう逃げられないだろう。俺の物になるしかないはずだ』

と、俺は正親に服を脱がされ、正親のちんこを入れられて泣いている夢を見た。

「はあはあっ……な、なんでまたこの夢!? 諦めてくれたんじゃないの?」

高校生になった時、俺は正親に強姦される正夢を見た。俺が男同士のエッチの仕方でちんこを入れられるって知っていたのは、正親のちんこを入れられる夢を何回も見たからだ。
でも、俺は正親の親友だったし、正夢じゃないと信じたかった。だけど、何度も同じ夢を見て……家出をした。
家出をしたけど、すぐに連れ戻されて、何で家出したんだと問い詰められて……正親に何度もお尻にちんこを入れられる夢を見たからと答えたら……

受け入れるのは無理かと聞かれ……ちんこを入れられるのなんて絶対に無理だと思ったから、無理と答えたらもうしないって言ってくれた。もう考えないようにするから家出しないでくれと言われ、正夢もみなくなったので、俺はあの時のことを忘れていた。

でも、さっき、あの頃よりも身体が大きくなったからか、二回りくらい大きくなった正親のちんこを、嫌だ裂けるって泣いている俺の尻に無理矢理入れてきた夢は、絶対に予知夢だ。


「どうしよう……俺、ホモじゃないのに。ちんこ、嫌だ」

でも、この島から逃げられないよ。だって本土はゾンビの世界だし。

「俺、ちんこから逃げ出せないの?」


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