「ママ……僕もママのおっぱい欲しい」

「ルカはもうおにいちゃんだろ?」

もうだいぶ前に卒乳したはずのルカが、突然赤ちゃん返りをしたかのようで、サラに授乳をしていたら自分もと言い出した。

「だめ?」

弟が生まれたせいで、甘えん坊になったのかもしれない。この時期って赤ちゃん返りをやすいって聞くし。

「良いよ、ルカ」

それを憎憎しいと言うか、羨ましげな目で見ていた夫がいたことは勿論、俺は知らない。



次男であるサラが生まれた。
どうやら私の一族の血が濃いのか、サラは母上に良く似ているようだ。
私に似るよりは良いかもしれないが、エルウィンに似た子が欲しかった。ちゃんと約束もしてくれたのに、まだエルウィンに似の子ができていないのにも関わらず、エルウィンはもう二度と私と子作りをしてくれないと言う。

跡継ぎがという理由は次男が生まれた時点で、もう尽きた。

正直、エルウィン似の子は欲しいが、欲しいが、それよりも私はエッチがしたくてしょうがないのだ!
確かに私はエルウィンを騙した。騙したが、誰も傷つかない穏便なやり方で、エルウィンを私に惚れさせ、円満な夫婦生活を築こうとしたのだ。(エミリオを傷つけたが、隊長の頭の中ではノーカウント)

エルウィンだってカッコいい私に抱かれて嫌がってはいなかったのに。
だいたい何故夫たる私がエルウィンを抱こうとして悪いのだ?

私は国王になるというのに、妻を抱く事さえ禁止なのか?
何故だ?

私は弟に言わせると、サード童貞の時期にきているらしい。
ハネムーンではエルウィンをたくさん味わえて……あの時、どれほど幸せだったか。もう一度あの頃に戻りたい。

「ママ……僕もママのおっぱい欲しい」

何だと! 息子のくせに! 私だってエルウィンのおっぱいを味わいたいというのに!!
もうお前におっぱいは必要ない! 私のほうがよほど必要だ!
だが優しいエルウィンはもう2歳にもなった息子にミルクをやると言い出したのに! だったら私だってくれても良い筈なのに。

私はエルウィンの夫であり、子どもを二人も儲けた仲だというのに、何故ミルクも貰えない関係なのだ???!!!

ユーリから聞いた、妻との仲睦ましいミルクプレイを私は決して羨ましく思っているわけ……いるに決まっているだろう!!

何故兄の私が弟が出来ることを、できないと言うのだ?
私は国王になるというのに、何故弟にも劣るというのだ?

寝室をそっと覗くとエルウィンはベッドで息子たちに授乳をしていた。
疲れたのか眠っているようで、長男と次男がそれぞれ仲良くエルウィンの乳を半分づつ分け合っていた。

昔はルカは私に半分よこしてくれたというのに、今はもう全部ふさがってしまっている!!

いや! 私専用のミルクがあるではないか!!
さすがの息子たちもそこのミルクは飲めまい!!

エルウィンが起きないようにそっと着衣を脱がしていく。
するとそこには、神々しいまでの美しい物が!!!

ハネムーンの間、何度も味わったミルクが……あの頃が夢のようだ。もう一年も経ってしまっている。
あの頃の幸せがずっと続けば良かったのに。私は一年以上も禁欲を強いられている。

同じ作戦に参加したギルフォード王子はエミリオと上手くやっているようなのに、どうして私だけが迫害を受けるのか!!!???
しかも何故かあの作戦のせいでエミリオとエルウィンが仲良くなってしまい、子供同士を結婚させようとまで言っているのだ!!
許すまじ、エミリオめ!!!
私が婿を探してやり、結婚させてやり、跡継ぎまでできたというのに、恩を仇で返すように私の悪口をエルウィンと話しているなんて!!!

だが、私も今からミルクを飲む。嫌な事を思い出すのはやめよう。

エルウィンは私が舐めてやると、処女のように恥らって飲まないで下さいと懇願してきたものだった。勿論私は美味しく飲んでやった。

エルウィンのそこは相変わらず無地で、ツルツルとしていて二人も子どもを産んだようには見えない。処女のようだ。
戴冠式では各国の要人がやってくるが、エルウィンのような美しい王妃がいる私を皆が羨むだろう。

そっと舌を這わせると、エルウィンも今まで禁欲していたのか、すぐにミルクが出てくる。
親子三人でエルウィンのミルクを仲良く味わう様は、きっとほのぼのとして見えるだろう。

「ん……た、隊長! 何をっ!」

「何をやっているのか聞きたいのだろう!!! エルウィンの言いたいことは分かっている。私は夫の権利としてミルクを飲んでいるだけだ!! 息子に許されて、ユーリだって妻にしている事を私が出来ないのはおかしいだろう!!! 私も強気に行くぞ!! あの作戦のことは円満に夫婦生活を送るためにやっただけのことで、悪気はなかったのだ!! もう一年もたったんだ。そろそろ私に許して受け入れるべきだ!!」

エルウィンが怒るだろうことは分かっていた。だから、怒られるまえに私の主張を伝える必要があったのだ。

「何も寝込みを襲う事はないでしょう!! し、しかも息子たちの前で!!!」

「まだ子どもだ!」

「ルカはもう2歳です!! 将来隊長のように変態になったらどうしてくれるんですか!!!??」

「仕方がない、こういった嗜好は遺伝する物だ。私もユーリも好きな事から分かるだろう。ルカも将来母乳プレイに憧れることだろう」

「ど、どんな開き直りですか!!!」

「一年も放置されていれば開き直りたくもなる! 私は夫としての権利を放棄するつもりはない!」

どんなに罵倒されようが、今日こそエルウィンと再び合体をしてみせる。
有無を言わせずにエルウィンの優美なそれを再び口に含んだ。

「や、止めて下さいっ!……ルカが見てますっ」

両乳を長男と次男に占領されているせいで起き上がれないエルウィンが弱弱しく拒否の言葉を口にする事しかできない。流石わが息子たちだ。

「ルカが寝ている横で、小屋の中で愛し合っただろう? 起きているから何だと言うのだ!!!」

「今日は、お茶会でっ!」

「だからっ ぐっ」

一瞬だけ後部に猛烈な痛みを感じたが、すぐに体内で勝手に治癒魔法が働き痛みはすぐに治まった。

「隊長……夫婦間とはいえ、許可を得ない行為は、レイプと同じ事ですよ?」

「エ、エミリオ!! また私の邪魔をするのか!」

後ろを振り向くと、そこには弟の嫁と又従兄弟のエミリオが立っていた。どうやら攻撃魔法を二人して放ってきたようだ。だが残念だな。私の強靭さは弟に引けをとらない。
散々弟に好き放題されているクライスと、私より魔力の劣るエミリオで勝てるはずはないだろう。

「隊長、せめて子どもが見ていない場所で、エルウィンの許可を取って襲ってください」

「許可などくれるはずがないことは、お前らが一番よく分かっているだろう!!!

散々私の悪口を言っているのを知らないとでも思っているのか。

「……それは隊長の責任ですよ。ユーリでも子どもの前でやろうとなんかしませんよ……」

「ユーリは好き放題できるから、そんなにがっつかないで済むんだ! 私を見ろ! もう一年も清い身体でいるんだぞ?! 可哀想だとは思わないのか?」

「それは……ちょっと思いますが」

「私も、たまにはエルウィンにやらせてやれとは言っているんですが」

なんだと? まさか私に援護射撃をしていたと言うのか?

「だって、余りに放置しすぎるとまた訳の分からない事を仕出かしかねないですし」

「そうです。今度は俺まで巻き込まれたらたまったものではないですしね。王都を崩壊するどころか、世界中を巻き込みかねませんから」

「皆さん……ちょっと酷くありませんか? 俺に世界平和のために犠牲になれと言っているようにしか聞こえません」

「まあ、そうだな。今日は隊長の相手をしてやれ。ただし、隊長……子どもの見ている前ではいけませんよ。ルカとサラは俺たちが預かりますから、二人きりになってからやってください」

「おお!! 流石私の弟の嫁で副官だ。礼を言う!!!」

こういう時はやはり親戚とはありがたいものだ。エミリオにも今回ばかりは礼を言わなければならないだろう!

「私が王になったら、週に1回、いや3回は夫婦の生活を義務化しようと思う。皆に感謝されるだろう」

「いえ…それは余計なお世話です」


そしてルカとサラを連れて行ってくれて、私はエルウィンと二人きりになり、めくるめく一夜を……過ごせれなかった。

「最低です! あんな場面をエミリオ分隊長とクライス様にまで見られてしまって、死にたい気分です! だいたい隊長が変態なのはよーく知っていましたが、子どもたちの前であんなことをするなんて! 本当にもう死にたい、じゃなくって死んで欲しいです!! あと、隊長が可哀想で言っていなかったけど、隊長でかいだけで、テクがないんですよ! 前儀もねちっこくて鬱陶しいし、下手だし、短いのに絶倫だし。俺毎回早く終わって欲しくて羊の数を数えていたんですよ? 入れて羊6匹目で終わった事もありましたよね。俺は良かったです。早く終わってくれて」


という言葉の攻撃を受けて、繊細な私は役に立たなくなってしまった。

廊下の片隅で泣いていたらギルフォード王子がやってきて、僕もエミリオから散々早漏とか、下手とか言われましたと慰められた。

「でも、どんなに悪口を言われても気にしないで押し倒す強さが必要なんです。悪口を言わす前に、完遂しちゃえば良いんですよ。そうすれば段々諦めて悪口言われなくなりますよ」

「おお! 他にはどんな酷い事を言われたんだ? 私はエルウィンにあんなことを言われて当分立ち直れそうもないんだが……(´・ω・`)」

「そうですね。誰に入れたか分からない汚い性器とか、早漏とか、痛いだけとか、でかいだけで能無しとか、絶倫とか、変態、とかまあ言われましたよ」

「そうか……お互い気の強い嫁で苦労するな」

「でも、そんなところも可愛いので僕は気にしません。有無を言わさずに押し倒していれば、仲良くなれますよ」

ユーリにも同じような事を言われたが、どうして私だけ上手く行かないのだろうか(´・ω・`)

私は甘い一夜を失い、これから先も当分その機会がないように思える。今日得た物は、同じ境遇の友だけだった。



相変わらずな隊長でした★



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