公爵家で使用された秘薬『花嫁の毒薬』。元々は略奪してきた花嫁の身も心も夫に服従させるために、調合された門外不出の品だ。略奪してきた花嫁は魔力が強いため、その花嫁に使用される目的で作られた。一番最近に使用されたエルウィンは魔力がそれほど高くないために、記憶が飛んでしまったほどだ。
その精神をも絡め取るために本来は記憶を残しておかなければならない。エルウィンにはその薬はきつ過ぎたため、改良版を作成させたと聞いていたが、私に使用されたほうは改良版ではない、キツイほうの秘薬だろう。
あいにく私はある一定の魔力量があるため、残念ながらどんなに乱れたとしてもその記憶は消えてなくならないだろう。

私は私の先祖を恨みたい気持ちで一杯だった。よくもこんな薬を作りやがってと。

「はっ……やめっ」

ギルフォードが私の肌を撫でる度に、震える吐息を止められない。どこに触れられても、有り得ないほど感じてしまうのだ。
私の家の所持している薬だ。当然効能は知っている。このままギルフォードに緩慢に触れられていてもこの熱は収まらない。
男をこの身に何度も受け入れて精を吐き出してもらわなければ、ずっと苦しむことになる。

「ねえ、エミリオ。僕が欲しい?欲しいって言って?」

全身にギルフォードの唇が降りてくる。私の性器にさえその美しい顔の唇が降ってきたが、決定的なものはくれなかった。さっきまで勝手に人を犯していたくせに、今度は薬の力を利用して決して言いたくないことを言わせようとしてきている。

「僕に抱かれたいでしょう?僕の赤ちゃんを産みたいって言って?」

ギルフォードの巨大な肉塊の先端のほんの少しだけを、私の中に入れて、もっと入れて欲しいのだろうと出し入れする。
もどかしさに喘ぐ私に、ギルフォードも限界だろうが、それでも私が何も言わなければそれ以上入れる気はないのかもしれない。

「早漏のっ…貴様のほうが、入れたくて仕方がないんだろう!……エルウィンとルカを人質に取られている身だっ……好きにすればいい」

「っ……エミリオ、この薬を摂取すると男が欲しくて仕方がなくなって、前後不覚になるって聞いていたのに、流石の精神力だね……あんあん喘いで、僕が欲しいって言うはずだったのに……もう少し薬の量増やそうか?」

「止めろ!」

これ以上増やされたら、もう男なしでいられない身体にされてしまうかもしれない。勿論それがギルフォードの目的だろうが、数回の使用なら問題ないが、乱用されたり継続的に使用されたりすると、46時中、男と交わることしか考えられなくなる恐ろしい薬でもある。

「エミリオっ?!」

これ以上薬を使われることに耐え切れなかった私は、ギルフォードを押し返すと、ギルフォードの上に座り、実力行使に出た。
どうやってもギルフォードを受け入れない限りこの薬の効用は収まらない。しかしギルフォードの良い様にはされたくない。だったら、することは一つだけだ。
ギルフォードに跨り、身体が欲しがって仕方がなかったその男根を咥え込む。痛みはなくただやっと欲しい物を与えられたという愉悦だけだった。
この体位はギルフォードに好きにされたいた時にさせられた内の一つだった。勿論、私はその時はマグロだったが、今度は私がまともに戻るまでギルフォードの身体を使用させてもらう。そうではないと、やってやれない。

「うるさいっ!……お前なんかただの解毒剤だ!黙ってその汚い性器を貸せ!」

「……僕って、なんかただの棒扱いな気がするんだけど。もっとこう情熱的愛し合いたかったんだけど!」

「さっさと動いて出せ!貴様は早漏なのが特技のはずだろう!私は動き方は分からん!」

男を含んでいるだけでは、この熱さは解消されない。その精を何度も受け入れない限り。

「嫌だ……エミリオにもっと欲しがって欲しいのに」

「だったら、他の男とやってくるぞ!私は貴様しかここにいないから、仕方がなく貴様で我慢してやっているんだ!もうこの身体から薬を抜いてくれるなら、貴様じゃなくても誰でも良い!」

いいわけないが、ギルフォードには分からないだろう。男なら誰でも同じだが、汚されるとしたら二人よりもまだ一人のほうがましだ。

「僕以外の男に指一本エミリオを触れさすわけないだろ?……なのに僕以外の男とやっても良いなんて、口だけでも許せない。この部屋から出す時は、僕の子どもを妊娠してからじゃないと出してあげれないからね?」

私の理性が持ったのは、この時までだった。それからは、思い出したくもないが、ギルフォードが欲しくてたまらないと何度もその精を強請り、妊娠したいと懇願させられた。
どのくらいギルフォードと交わったか分からなかった。

だが、段々と意識が明瞭となっていき、薬の効果が切れて来たことに気がついた。しかしまだギルフォードは私の身体を離してはくれなかった。

今はギルフォードに後ろから座る形で抱きしめられ、挿入されたままだった。

「エミリオ……隊長のパイパン令で、ここエミリオも剃ったんだよね?僕も見たいな」

「……何をっ」

「僕、その話を聞いたとき、物凄く興奮したよ。エミリオの毛が全くないのってどんなふうなのかなって……その日はエミリオのパイパンを思って自慰をしたんだ。ねえ、見せて?」

「断わる!」

隊長から変な指令が出た時に、緘口令を敷いたというのに、どこからあんなくだらない指令があったことを知ったのだろうか。

「どうせ、お風呂とかで他の男にパイパンを見せたんだろう!?夫の僕が知らないなんて有り得ない!」

「誰にも見せてはいない!架空の人間に嫉妬するのはよせ!」

パイパンにされた隊員たちは、しばらく風呂に入るときにはタオルで隠すようになった。隊長のように、全裸でどうどうとパイパンを見せる度胸のある隊員たちは誰もいなかった。

「夫の僕が見たいって言っているんだ!妻の全てを見たいと思うのは当然だろう?!」

「貴様は私の夫ではない!」

「エミリオ、覚えているだろう?さっきずっと愛し会った時に、僕の赤ちゃんを産みたいって。僕を夫にしてくれるとも誓った!」


*次回、パイパン?(笑)



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