「僕は下手なんかじゃっ」

「ただ上で動いているだけで、私は早く終わってくれないかと数字を数えていた。全然快楽という物を感じなかった。つまり貴様は下手と言うことだ」

「それは、エミリオが僕のことを……好きじゃ、ない……からで」

まあ、そうだ。だが、ギルフォードはそう口に出して認めるのが不本意なのだろう。凄く言いたくなさそうな感じで、しぶしぶ、私がギルフォードを好きではないから、が原因であって、彼が下手ではないのだと言いたいのだろう。

「僕は下手という訳じゃ……普段は」

「普段が何だというのだ?普段は貴様の性技は凄いとでも自慢するのか?……貴様の国では性経験が豊富なのは自慢することかもしれんが、私の国では汚らわしい人間の証明だ」

「その……僕もそんなに、経験豊富って訳では」

「貴様も王子だ。それなりの数を相手にしてきたんだろう?つまり、貴様が下手ではないと言い張ることは、私に余計に相応しくない人間だと証明しているも同然だ。それでよく私の夫になりたいなど言えたものだな」

私は知っている。ギルフォードは私にこう言われると傷つくということを。外国人だから仕方がないだろうが、私の国の風習で私に相応しくない過去を持っていることを、かなり気にしているのだ。

「ごめんなさい……僕、下手です。エミリオのことがあんまり好きだから、早漏だし、独りよがりだし、性欲強いし、でかいだけでエミリオを苦しませるし……でも、僕三年間清い身体でしかも素人童貞です!ある意味、エミリオが初めてなんです!……だから、僕をそんな目で見ないで、できたらちょっとづつでも好きになって欲しい」

「無理だな……貴様に抱かれても、好きになれるどころか、下手な貴様のおかげで余計嫌いになっていく」

正直ギルフォードが真実下手だったとしても、全くギルフォードに向ける嫌悪感の度合いには関係しない。それに今の私には上手い下手の区別はつかない。
ただギルフォードを傷つけたいだけだ。

「だから、私の両親も陛下も貴様との結婚など賛成していなかったんだ。100%ないことだが、万が一結婚できたとしても、両親と私がお前をいびり倒して追い出すだろう。私に相応しくない男としてな」

うちは嫁いびりなどしない平和な家のはずだが、息子がこんな目に会ったとしたら命を賭けてギルフォードをいびり倒してくれるだろう。離婚は出来ない国だが、伴侶が死亡した時に限って再婚は許可される。そういう場合なら当然純潔だとかは考慮されない。まあ、夫なり妻に純潔を誓っていたという条件が必要だが。

もしギルフォードがまだ私と結婚したいのなら、家庭内いじめを繰り返して、自殺するまで追い込んでやると宣言しようとしたら、私の胸に縋って、もう止めてと懇願してきた。

「エミリオ、僕は確かにエミリオには相応しくない男だ。それは認める……でも、エミリオを愛しているこの気持ちだけは誰にも負けない!」

まあ、そうだろう。戦争になりかねない誘拐までして私を閉じ込めているくらいだ。それは否定しない。
しかしただのアホだ。

「だから、他がふさわしくなくてもこの気持ちだけで、他の欠点を補ってエミリオに相応しい男だと僕は思っている!」

「そんなふうに思い込んでいるアホは貴様だけだ」

「ごめんっ……僕が下手だったから、エミリオ怒っているんだよね?本当はこんなもの使いたくなかったんだけど、エミリオ異国に来て緊張しているんだよね?……これエミリオの国で秘蔵されている有名な媚薬なんだ。エミリオのために訳の分からない物を使いたくなかったから、大枚をはたいて手に入れておいたんだ。もし使うことになったら、エミリオもやっぱり自分の家に伝わる薬のほうが安心して身を任せられるでしょう?」

ギルフォードがそう言いながら、怪しげな小瓶を持ってきて私の目の前に見せる。私の家というか、公爵家に伝わる秘薬のことなら勿論知っている。別名『花嫁殺し』と言われる媚薬だ。
勿論殺すわけではない。抵抗をする花嫁の精神を屈服させ、快楽に身を浸させる媚薬なのだ。
最近はそう使われることはないと聞いていたが、何故ギルフォードがこの薬を手に入れれたんだ。余程のことがない限り、他国に流すことは有り得ないのに。

「止めろ!何故、貴様が私に相応しくないという話から、媚薬を飲ませるに話が飛躍するんっ…んっ」

ギルフォードが秘薬を口に含むと、私に無理矢理口付け、飲ませてきた。勿論私は口にしないようにするが、どうしても口に入ってくるのは止められない。

「お前まで飲んでっ……」

「僕はこういう魔法で調合した薬は効果がないから大丈夫だよ。ねえ、ちょとしか飲んでくれなかったね?これって体内に直接入れたほうが効果があるって聞いたけど本当かな?」

ギルフォードは私の足を開かせ、その瞬間彼が何をしようとしているか悟り、逃げる場所もないのに必死で逃げようとした。
秘薬は胎内に直接入れられたほうが効果が高い。しかも、その成分の中身には受精促進剤まで入っているのだ。
効果を良く知っているだけに、どうしても使用されたくない。

仰向けのままでは逃げられなので、起き上がって逃げようとしたところを背後から押し倒され、ギルフォードの体重をかけられ身動きが取れなくなってしまう。
そのまま尻を開かせ、先ほど注ぎ込まされたギルフォードの精液が流れてくるのに逆行するようにその薬を塗りこまれていく。

そしてその効果がすぐに出てくるとは知識としてはしっていたが、初めてその薬の効能を自分の身体で思いする羽目になる。

「エミリオ……僕を感じて、僕の性器がなければイケない体にしてあげるから。僕の子を孕みたい、早く抱いてって言わせてみせるよ」


*ギルたんはヘタレと調教を交互にするようですw




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