「エミリオ……僕がエミリオから見て汚れているのは確かだけど。エミリオはそんな僕を何度も受け入れてくれたんだよ?もうエミリオは昨日までみたいに処女じゃないんだ」

昨日までは誰も受け入れたことのない場所にギルフォードはまたその肉塊を埋めていく。

「くっ……死ね」

「夫になる僕にいう言葉じゃないよ?何を言っても可愛いけど、できれば、気持ち良いって喘いで欲しいんだけど」

ギルフォードは顔に似合わない巨大な物を私の奥まで挿入して行った。初めてだった頃よりも容易に入っていくそれに、私は再び絶望を感じた。ギルフォードに段々と自分の身体が飼いならされていると。
しかしそうされても痛みこそ半減したが、自分の身体がギルフォードによって快楽を感じないのは褒めてやりたかった。
強姦されて、身体が裏切ったら、それこそもう国には帰れない。胸を張って任務だったと言えなくなってしまう。

「んっ、エミリオ、君の中はとっても気持ち良いよっ」

「そうか、良かったな」

気持ち良さそうに腰を動かしているギルフォードを冷めた顔で見つめ、枕に顔を横たえながら、勝手にギルフォードが達するのを待っていた。
こんなことが気持ちいいのかと。自分としては巨大なものが自分の中を出し入れしているのに、違和感しか感じない。
足を広げ、男を受け入れているのに、疲労しか感じない。

私の国では、一部の例外を除いて、お互い初夜を初めてで迎えあう。失敗も多いし、なかなか上手くできないという猥談も交わされることもあった。しかしギルフォードはそんなわれわれとは事情が違うだろう。どのくらいの男女を抱いてきたかは知らないが、他国の王族だ。自分の国とは事情が違いすぎるだろう。10人や20人ではきかないはずだ。

頑張って私を感じさせようと、私の性器や乳首を愛撫しているようだったが、私は全然感じる事はなかった。それほど性欲があるわけではなかったが、自分で処理をしたほうが遥かに気持ちが良かった。

「エミリオっ、出すよ!……孕んでねっ」

勿論私は出すなと拒否はしない。拒否はしないが、絶対に孕みたくはない。そのための魔力を使うことも当然しない。孕むんだと言われたが、努力しているとだけ、言われたら言い返そうと思う。実際には努力の欠片もしていないが。

ギルフォードが達して私の中に、私からしてみれば非常に汚らしい精液を吐き出しても、無駄な精液だとしか思えない。受精することはないんだからな。
そもそも魔力阻害症のギルフォードはほぼ男性不妊に等しいのだろう。
魔力阻害症の人間の詳細は知らないが、魔力をすべて無効にする体質だ。怪我をしても魔法で治すことができない厄介な体質だし、自分にかかる魔法を全て無効にしてしまうために、妊娠することは出来ない。だから妊娠させようとするのだろうが、ギルフォードは意識して魔力阻害の範囲を変えることができるようだが。その範囲も半径数百メートルから、ほぼ0、つまり自分の中に抑えることも可能だ。しかし微弱には漏れるかもしれない。つまり、妊娠するほうはかなり魔力が高くなければ、ギルフォードの魔力疎外に対抗しきれず妊娠することは出来ないだろう。

私の国は魔力が高い人間は多いが、リエラはそれほど魔力の高い人間は多くない。おそらくリエラでギルフォードの子を産める男はいないだろう。魔力の高いわが国でさえ、ほんの10数人ほどしかいないかもしれない。
あいにく、私は末端だが王族であり、魔力もかなり高い。理論上はギルフォードの子を孕む可能性もある。

ただ、そんな気がないだけだ。

軽蔑する男に出されて、一人だけ気持ち良さそうにしている男にムカついて、ギルフォードを傷つけたくて堪らなかった。
私はこれほどこの男の行為に打ちのめされいるというのに。汚いという言葉だけでは足りない。

「……下手くそ」

ボソリと言うと、私を抱きしめようとしていた手が止まった。

結婚していた同僚から、妻からの最も傷つく言葉NO,1を言ってみた。
NO,2も言ってみるか。

「早い」

NO.3は何だったか?

「でかいだけで、能がない」

いや?これじゃなかったか?

「……独りよがり?」


私は思い出せる限り、夫を打ちのめさせる用語集を呟いた。

ギルフォードは何故か私に抱きついて泣いていた。



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