眠っていたのかと、だるい身体を起こして周りを見渡した。
先ほどまでギルフォードに抱かれていた部屋ではない。そして自分の身体を見ると、ギルフォードにつけられた鬱血と全裸のまま布団をかけられていたようだった。
足に違和感を感じて布団をはぐと、左足に拘束具がはまっていた。奴隷や罪人に使われるような物ではなく、宝石を使ったいわゆる性奴隷に使うものだろう。わが国には奴隷も性奴隷もいないためよくは分からないが。

「エミリオ、起きたんだね?体調は大丈夫かな?……ごめんね、なるべく酷くしないように注意したつもりだけど……」

あれでか?……この男は私の中に挿入すると、気を使ったと言い張っているが、何度やられたかもう覚えていない。ギルフォードが達する度に、胎内を濡らされる感触に怖気がたった。

「ここは何処だ?移動をしたのか?」

これでも騎士だ。状況確認をすればここは先ほどまで居た場所と違うことが分かる。先ほどまで居た場所は気温が低く、高度が高かった。今は、かなり暑くなっている。

「ああ、さっきまでいたのは僕の領地の城なんだけど……エミリオを閉じ込めておくには不向きな場所だったから、王都まで連れてきちゃった。ここは王都の離宮だから、警備は物凄く厳重だよ?逃げようと思っても無理だから」

勿論逃げることを考えないわけではない。常に考えている。このままギルフォードに好き勝手されるなんて絶えられないし、あの二人をこのままにしておけるはずはない。

「逃げようと思っても、貴様がいる限り魔力も使えないし、こんな拘束具まで付けられてどうしろと?」

「一応保険だよ。ふふ……この拘束具ちゃんと鎖で伸びるようになっているから、この部屋くらいは自由に動けるよ。これね……王家に伝わる秘宝なんだ」

拘束具が秘宝か。リエラはギルフォードを見ると分かる。そうとうモラルがない王家なのだろう。

「この拘束具はね、逃げようとした王妃を閉じ込めておくために過去の王が使ったらしいよ。宝石がたくさん使われているから、エミリオに良く似合うよ」

どうしてこんなものが私に似合うというんだ。ギルフォードの思考回路はよく分からない。先ほど私を抱いている最中も、散々可愛いと耳が馬鹿になるほど聞かされていたし。私は軍人として鍛えているし、背もそれなりにある。顔も凛々しいとは言われるがかわいいなどと言われた事など一回もない。
男同士の夫婦は、どちらが妻か夫になるかは、魔力で決まる。魔力の高いほうが夫になる。顔で決まらない。だから私の顔が凛々しく、ギルフォードの顔が美しかろうと関係はないと言えばない。ただ、魔力が高いほうと言えば当然私だ。ギルフォードは魔力が0だから、有り得ないがギルフォードと結婚をしたら当然私が夫になる立場のはずなのに。

「……エルウィンとルカ王子も、王都に連れてきたのか?」

「いいや……3人ともバラバラになるように移動させたよ。一箇所にまとめて人質を置いておくと奪還されやすくなるしね。だからね……エミリオは王太子妃にも王子にも会えないけど、僕の言うことを聞かないと」

「脅しは一度で分かっている!ゲスが!……私が言うことを聞いている限り、あの二人に怪我一つさせることは許さないぞ?」

ここにいないのか。いても今の私ではどうにもならないかもしれないが、少なくても時間稼ぎはできるはずだ。あれほど愛している妻を誘拐されて黙っている隊長ではないだろう。あの男は変態でアホだが、騎士として指揮官としては超一流だ。必ずエルウィンたちを救い出すだろう。
だから私がすべき事は、あの2人が無事な時間を作り出すことだ。いやそれしか今はできない。

「服くらいくれないか。いくら過ごしやすい暑さとはいえ、裸は心もとない」

「駄目だよ……エミリオはね、大人しくしているようでも好きあらば逃げようと考えるはずだから、ずっと裸でいようね。今はちょうど暖かいしリエラで一番過ごしやすい季節なんだ。だから裸でも風邪引かないよ」

「ふざけるな!」

「あ、じゃあこれを身に付けて?」

じゃらじゃらとギルフォードは大きな宝石のついた首飾りと指輪を持ってくると、私の首と指にそれをつけた。

「貴様……」

全裸に宝石だけか?どこのハーレムなんだ!?リエラでは複数の妻が許されているだろうが、ギルフォードが私を同じように扱うとしたら、余計にプライドが許せない。ギルフォードには何の興味もわかないが、侮辱されているとしたら許せない。

「僕はエミリオだけだよ。疑わないで!これは僕のお母様の形見なんだ。僕の愛する人に渡しなさいって、残してくれた物だから……エミリオにつけて貰いたいんだ。僕の妻になるエミリオにしか渡したくない」

ギルフォードの母親は亡くなっていたのか。それは可哀想だが、ギルフォードの母親もまさか息子が他国から誘拐して来て全裸で監禁した男に付けられるとは夢にも思っていなかっただろう。というか、息子がこんな変態で犯罪者になるとも思っていなかっただろう。
つけたくなかったが、形見といわれると粗略に扱うのもどうかと思って、放り出せれない。

「お母様も凄く喜んでいると思う。これで、孫もできたらもっと喜ぶと思うんだ。エミリオ、さっき僕が抱いたのでできたかな?ってまだ分からないよね」

先ほどの行為でギルフォードの魔力が私よりも高かったら出来た可能性はあるだろう。しかしギルフォードは魔力阻害症でり、彼の意思で子どもを作ることは出来ない。

「……出来るはずないだろう」

「僕が魔力阻害症だから?僕が何も知らないとでも思っているの?……こんな体質だから、昔から言われていたんだよ。僕が産むほうだとね、魔力を注ぎ込まれる時に無効化しちゃうから子どもはできないって。でも、産ませるほうだったら妻のほうが魔力を持っていれば問題ないんだよ。エミリオは魔力が大きいから、きっと普通より出来やすいよ?」

お互いの魔力の差があればあるほど子どもはできやすい。だが、普通は夫のほうが魔力が高い。これは性交時に射精の際に魔力を相手に注ぎ込むのに適しているためだ。
妻のほうが魔力が高い場合はほとんどないのは、そのコントロールが非常に難しいためといわれている。抱かれる際に魔力を上手くコントロールして着床させるのは至難の業らしい。

私は今回何もしなかった。魔力を意識して孕みたいなど思うはずもないからだ。だから妊娠しているはずはない。

「エミリオなら魔力をコントロールして僕の子を妊娠できるはずだよ?できないとは言わせない」

「やりたくない!」

出来ないとはいわないが、死んでもしたくない。

「やりたくないんじゃなくて、やるんだよ!」

ギルフォードは私を押さえつけると、無理矢理両足を開かせた。

「ここ、僕のをずっと咥え込んでいたんだよ?移動中の馬車の中でも、エミリオ疲れて眠っていたんだけど、その間もずっと入れていたんだよ。だってエミリオ痛いって言っていたもんね。少しでも慣れてもらおうと思って、僕のをずっと入れていたから、今度は痛くないよ……きっと」

「人が寝ている間になんてことを!……貴様の汚い性器から出る精液で妊娠なんて、絶対にするつもりはない!貴様の汚らしい物を見るだけでもうんざりなのに、我慢して入れさせてやったのに!」

私の国の人間では一生体験することのないだろう、非道な行いの数々をさせてもう我慢も限界に来ていた。


*エミリオさん、汚い言い過ぎww



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