「あ、あの今日、お母さん教室の講師をする第一部隊軍医です!よろしくお願いします」

今日の講師である、ある軍医は自らも母親になったため、今日のお母さん教室の講師を任命されていた。

1〜6部隊までには、たくさんの結婚しているカップルがいる。同じ職場と言うことで、職場結婚するカップルは非常に多い。
そのため、このお母さん教室では

・婚前交渉はしない
・結婚したときの、夜の生活の注意点
・子どもの効率的な作り方

などを重点的に解説するのだ。

お互い初めて同士で結婚してしまうので、分からないことも多く間違ったことをしかねないということで。定期的に講習をひらいて、正しい母さんになる方法を実践してもらうようにしているというコンセプトで開かれている。

「まず、皆さんもご存知のように、婚前交渉は絶対にいけません……できちゃった結婚なんてもっての外です。最近、部隊で婚前交渉率とできちゃった結婚率が上がってきているという統計があります。0.5パーセントも昨年度は婚前交渉をして、そのうち半分ができ婚をしてしまっています……非常に恥ずべきことです」

しかも、この軍医が所属する第一部隊が最も高い。

隊長は婚前交渉・副隊長はできちゃった婚・しかもこの軍医もでき婚なのだ。

「私が講師する立場ながら、非常に申し訳ないのですが……私も何時の間にかできちゃった婚をしてしまいました。何故そうなってしまったのか今も分かりません。お酒を飲みすぎてはいけないということだと思います。皆さん注意しましょう。例えばこんなことが起こってしまうかもしれません。朝起きたら幼馴染の友人とベッドで全裸でいたとか……昨日まで同じ職場で働いていた友人に、子どもの作り方がわからないから実践させて欲しいとか頼まれるかもしれません。勃起不全なので治療して欲しいとか言われ、どうやったら治るのだろうとか試行錯誤しているうちに合体してしまうかもしれません……今年度はでき婚率0を目指しましょう」

婚前交渉をしない、のは常識だが、最近率先して上司たちが破っているので部下に示しがつかない結果になっている。

ある副隊長は俯いて顔を上げなかったが、ある兄弟は平然するどころか誇りにでも思っているかのような顔さえしていたらしい。

「夜の生活ですが……こればかりはお見せするわけにもいかないので、本や先輩たちのお話をきいて頑張って欲しいと思います。……が、奥様のほうは過度に夫からの夜の生活を拒まないであげて欲しいと思います。ある夫婦は結婚して一年以上がたつのに、まだ2回しかさせてあげないらしいのです。何がいけないって他人に迷惑がかかるんです。仕事の効率も落ちますので、お互い話し合って夜の生活の回数を決めましょう。せめて週一回ほどは確保してあげて下さい」

ある隊長から、週一回の性交渉は義務化する法律を作るべきではないかという提案があったが、それは国王になった方が法律改正をして欲しいとお願いした。軍医の分際ではそんなことを義務化できないですと。

「そして、結婚したらやっぱり赤ちゃんが欲しいですよね。ここにいる皆さんは色んな試験を通過して配属された、いわばエリートの方たちばかりなので、皆さん魔力があります。理想としては、夫に魔力があって、妻に魔力がない。この状態が一番妊娠しやすいです。ですが、皆さん魔力があるので無理ですから、できるだけお互いに魔力の差があると妊娠しやすいですね。そう、あるカップルですが……夫が非常に魔力が高く、妻は普通でした。夫100、妻30とすると差は70です。このケースは非常に妊娠しやすく、なんと2回目でおめでただったらしいです」

ちなみに、一般市民の魔力は0〜5。魔力のない男も多い。
軍に入るためには20を超えていないといけない。ちなみに部隊内の魔力平均値は30ほど。

「この場合夫の魔力が高すぎるせいで、かなり妊娠しやすいのですが……まあ、皆様はそうはいかないでしょう。夫40、妻30の場合は差が10なので、なかなか難しいですね。こういう場合は妊娠促進剤などを使用すると、もう少し受胎率があがりますので、相談して下さい。処方をします。夫50(なかなかのエリート)と妻20(平)だとかなり相性が良いといえるでしょう。魔力が少ない方は、エリートの旦那様をゲットすると赤ちゃんができやすいです」

つまり職場恋愛しようとするとお互いの魔力値の差(平均30前後にため)がそれほど開かなく、子どもが一般にくらべて出来にくいことも懸念されている。少子化を打開するためにも、部隊内では産後復帰のシステムは整っている。

「少子化にならないように頑張りましょう。ちなみにお互いの魔力が30:30などほぼ同程度の場合は、非常に悲しいですが妊娠は不可能です。まあ、赤ちゃんだけが全てではないですので、二人だけでもいいというカップルはいいでしょうが、もし赤ちゃんが欲しい場合は魔力の値を知らせあってから、結婚のお話を進めましょう」

「しかし注意していただきたいのが、魔力差が20あればそれほど妊娠しづらい訳ではないんですが、例えば夫100:妻80なんて場合は要注意です。一見魔力差が20あるので、大丈夫だ!と思うかもしれません。しかし妻の魔力が大きすぎて、妊娠には適しません。だってこの妻の値はエリート中のエリートですよ?魔力を注ぎこまれると、反発してしまうのです。従って、非常に妊娠しにくい結果になってしまいます。旦那様が頑張って回数をこなせば……一年ほどで身篭ったというアンケート結果がありますが。ちなみに二人目は一年半かかってしまったそうです。かなり旦那様頑張りましたね。え?頑張ったのは奥様のほうですか?……我慢したから?すいません。普通は10年くらいかかるのに、この夫婦は凄いと思います」

「え〜……また、夜の生活で奥様を満足させてあげられない場合も不妊につながりやすいと言われています。こう……なんといいますか、受け取る魔力の許容値が変わってくるのかもしれません。俗説ですが……え?当たっている、ですか?おかげで1年でできましたか……あ、ユーリ隊長大丈夫ですか?何故か攻撃魔法を食らってますが?平気?慣れているからですか?手当てしなくても大丈夫でしょうか?」

医者なので手当てをしようかと悩みましたが、とても自己回復力に秀でている隊長らしく、平然としてらっしゃったので大丈夫でしょうと、医者は講習に戻った。

「え?奥様をその気にさせる方法ですか?……すいません。私の場合、その気にさせなくても盛られるので……分かりません」

医者は変な質問ばかりする講習生に困惑しながらも、最後にまとめた。

「……最後に、作成段階を非常に楽しんでいる夫もいるようですが、その結果できた赤ちゃんを可愛がってください。妻を取られたと嫉妬してはいけません。育児に協力しましょう。母乳プレイなど言語道断です。夫にも育児休暇は認められているので、活用してください」

しかしこの講習は頻繁に行われているが、でき婚がなくならないのをみるとあまり効果がないかもしれないと、今後の継続は不明です。しかし少子化には役立っているという統計もあるそうです。



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