「わっ、海って凄くきれい! 早く海に入ろう!」

南国の美しい海辺に到着した。勿論大枚をはたいてプライベートビーチを借り上げた。
大衆がいる浜辺で愛しい妻を泳がせるわけにはいかない。
勿論、ここにいる四人は誰よりも強い。一番魔力の低いマリウスだとて一応は騎士だったのだ。外国ならマリウスよりも強い人間を見つけることは難しい。
だが、愛しい妻が男の目に触れることは絶対に許せない。だからプライベートビーチなのである。しかも結界までつけて遠目でも覗けないようにという徹底振りだ。

「待てマリウス! 日焼け止めをぬらないと、マリウスの肌は白いから」

「じゃあ俺がぬってあげますよ」

「クライスも俺がぬってあげる」

兄弟仲良くぬりあいっこをしているのを、悔しそうに見ているユーリがいたとか。勿論、ユーリは俺がぬると言いだしたが無視をされ、ロベルトに兄弟仲良くさせてあげてくださいと諭され、相手は兄だから他の男じゃない、兄だからと自分に言い聞かせ何とか心の平穏を保った。

二人で楽しそうに水で戯れるのを見ている夫たち二人だった。勿論夫たち二人では遊ばない。お互い腹黒い同士、気が合わないからだ。

「こうしてみると、やっぱり兄弟ですね。良く似ている」

「俺のクライスのほうが美しい」

「俺のマリウスのほうが可愛い」

「俺のクライスのほうが高潔で清らかだ」

「俺のマリウスのほうが儚げで清楚で、色っぽいです」

「……」

確かにエロさではマリウスのほうに軍配が上がってしまう。ユーリは全くマリウスに興味はないが、かもし出す雰囲気がエロいのは疑いようも無い。クライスはそういうことに興味がありませんといった、処女のようなオーラを出している。
そこが何時見ても神々しくて、何時でも無理矢理処女を奪っている気分にさせるのだが。

言わないでいるが、何でコイツだけこんなに妻に愛されるんだと、ユーリは出席していないが一族の会議でロベルトも死刑にさせたい気分で一杯だった。

「ロベルトも一緒に泳ごう!」

「ユーリも……来るか?」

優しい妻クライスはあまりユーリをハブるとそのうちどんな仕返しをされるか分からないため、少し構ってやる事にしたのだった。
一応新婚旅行だし、マリウスも夫といちゃつきたいだろうし、ユーリも構ってやればそれなりに機嫌は良いだろう、と。

「海の中でエッチなことする?」

「アホか!!!」

「あっちはしているみたいだけど」

そして夜、揉めたのは部屋分けだった。


「クライスは俺と寝るからユーリ隊長はあっちの部屋!」

「新婚旅行なのになんで妻と別れないといけないんだ。マリウスとロベルトがあっちの部屋を使え」

「ユーリ隊長がロベルトと一緒に寝ればいいんです! 新婚旅行兼兄弟旅行ですから!」

ロベルトとユーリにしてみれば、何で妻と旅行に来てこいつと一緒に寝ないといけないんだ!!!と拒絶の意思しかない。

「マリウス、この前も言っただろう? いくら弟だからといって、俺以外と一緒に寝るのは許可しないって」

「だって! クライスと兄弟なのに一緒に寝たことないんだ……だから、これが最初で最後かもしれないのに……」

思いつめた様な泣きそうな顔に弱いロベルトである。

「じゃあ……四人で寝るか……」

マリウスとクライスが真ん中でその横を夫たちが陣取った。

ロベルト・マリウス・クライス・ユーリという配置である。ベッドはロイヤルスイートの天蓋ベッドなので男四人で寝ても問題ないと言えば問題ない。

夫たちは不本意であるが、妻を喜ばせたいから譲歩したのである。

「初めてだよな、一緒に寝るの」

「兄さんが俺を避けてましたからね」

ちょっと責めるようにクライスがそう言う。勿論冗談だしマリウスもそのくらいは分かっている。

「クライスが羨ましくて妬ましかったんだ……何でも出来て綺麗で……自慢の弟だったけど……弟だって友達にも言えなかった。あんな凄い弟がいて、何で俺はって思われるのが嫌で……」

「俺のほうが少しだけ魔力に恵まれて生まれてきただけです。俺は兄さんが良ければ補佐をして役に立ちたかったし……嫌いなら婿に行こうと思っていました。でも、兄さんにとってそんな未来よりも、ロベルトさんに貰ってもらえたほうが良かったですから……あんな両親でも、最後の最後には役立ちましたね」

「うん……勘当してくれたからロベルトと結婚できたんだ……俺、今本当に幸せだよ。だからクライスにも幸せになってもらいたかったのに……」

「良いんです。それなりに幸せですよ……」

「ユーリ隊長!!! クライスを離さないんだったら、できる最大の努力をして、クライスを幸せにしようとしてください!!! そうじゃないと、俺っ……」

泣き出してしまったマリウスをクライスは胸に抱きしめて、慰めた。
流石に空気を読んでユーリもクライスに兄とはいえ抱きしめるな、とまでは言えない。言ったら、呆れられて、また嫌われるのループだからだ。大事にしている兄が相手だから、我慢しないといけない、いけない、と最大限の自制心を働かせていた。

泣きつかれて眠るマリウスに、ユーリは何も言わなかった。クライスを幸せにすると嘘をつくこともしなかった。
ユーリは自分がクライスを幸せに出来な男だと誰よりも分かっているからだ。どんなに幸せにしたくても、自分では無理だと。
だから誠意という意味で、できない約束はあえてしなかった。

「お前はさあ……嘘でも幸せにするって兄さんに言えよ」

「できない約束はしないのが俺なりの誠意だ。それにそろそろマリウスを放してロベルトに渡そうね」

マリウスとクライスは抱き合って眠るつもりだったが、それぞれの夫に引き取られて、ベッドこそ一緒だったが定位置は夫の腕の中だった。

海を堪能すると砂漠やカーニバル、観光地などを周った。

その度に、美しすぎる兄弟が注目の的で、国にいる時はマリウスは引きこもっており、クライスもその美貌を見慣れた人たちばかりと接していたので、夫たちはそれほど焼きもちを焼く機会はなかった。

だが外国では見たこともないほどの美しい兄弟たちに見惚れる男が続出で、ロベルトやユーリが厳重に警戒しているので勿論指一本触れることはなかったが、見られているというだけで物凄いストレスが溜まったのだった。

「クライスが美しすぎて、他の男に見られるのが我慢できない。早く帰ろう」

「マリウス、そろそろ帰らないか? クライスがいるせいで欲求不満なんだ。早く抱き潰したい」

そう言う夫たちの懇願も無視し(マリウスは心惹かれたが)キャピキャピと楽しそうに兄弟で仲良く観光をし、夫たちは妻に触れられないストレスもあって、ようやく旅行を終えた時には、妻達二人ともは帰宅後2〜3日起き上がれなかったという。


END
仲良くマリクラ+ぎゃふんユーリたんのつもり
美人兄弟でお送りしました!



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