僕は19歳になる、下っ端隊員です。あの伝説のエルウィンと同期です。
エルウィンは同じく下っ端の隊員だったはずなのに、遠くの頂にまで行ってしまいました。なんと未来の王妃さまなのです。
まあ、これはどうでもいいことでしょう。どうでもいい事です……目も前のものにしてみれば。
「た、隊長……そ、それどうしたんですか?」
皆の視線が痛いです。そんなこと聞くアホがいるか!死ねという視線です!僕も驚愕のあまりに、思わず下っ端なのに隊長に問いかけてしまって、混乱しています。
目の前の隊長は全裸です。僕も全裸です。別にエロいことをしようというわけではありません!
隊長は一番偉い人なのに、訓練の後の風呂場では下っ端の僕たちと同じ浴場を使用しています。部下たちと仲良く交友を深めようというつもりなのでしょうか?
それ自体はすばらしいと思います。
隊長の股間のものも素晴らしいと思います!
でも、でも、それは何なんでしょうか?
「ああ、これは?これはエルウィンが……」
また、エルウィンですか!?
エルウィンのせいで、どこまで隊長はおかしくなるんですか!
*****
私はよく我慢していたと思う。エルウィンに妊娠中の性行為を断られ、産後は育児が大変だからと断られ、私はひもじい思いをしながら、ずっと待っていた。
その間は、エルウィンとの初夜の映像で自家発電に勤しんでいたのだ。私の魔法で保存した映像なので、どんなことがあってもエルウィンはこの映像を奪うことはできない!
私が死ぬときでしか、この映像は破棄されない!私の大事な宝物だ。
それにエルウィンが入った風呂の湯も大事に採っておき、城のプールに大事に保管し、泳いでいた(私以外は立ち入り禁止)のだが、副隊長の告げ口でエルウィンにプールの水を流されてしまったのだ!
エルウィン曰く『泳ぐのに使用していただけじゃないでしょう!』と怒りの声があったが、確かに別のことにも使用してしまっていた。だが、しかし、すべてエルウィンが私の相手をしてくれないのが悪いのではないか!
私が初夜の映像で自家発電しているのも、入浴後の水で楽しむしかなかったのも、皆エルウィンがエッチさせてくれないからではないか!!
夜寝ているときにエルウィンの寝顔を見ながらしようとしたら、冷たく『このベッドでそんなことをしたら、もう一緒に寝てあげません』と言われてしまい、寝顔をネタにすることも許されないというのに!
子育ても夜泣きもしない良い息子なので、子育てや妊娠をネタに夜の拒否はもうできないだろうと今日は強気で私はエルウィンに迫った。
「エルウィン、流石の私ももう限界だ!エルウィンコネクションも捨てられ、エルウィンの願いも却下され、エルウィン不足で死にそうなのだ!今夜こそ、3回目の儀式をっ!」
「え?……いえ、その、コレクションも許可しますし、寝顔でしても良いので……」
「もう限界だといっている!コレクションなど所詮エルウィンの身代わり以下だ!……なぜ目の前に愛する妻がいるのに、そんなもので我慢しないといけないのだ!どうあっても、どう拒否をしても、今夜こそ私はエルウィンを抱くぞ!」
そう、弟も強気に行けと言ったではないか!強気に流せ!押し倒すしかない!
「た、隊長っ…そのっ」
「愛しているエルウィン!」
「や、やめて下さい!そ、その!俺の話を聞いてください!」
「何だ!そう簡単に止めれない。もうこんなにしてしまっているのだ!」
エルウィンに私の高ぶったものを服の上から握らせると、ビクリと恥ずかしそうにうつむく。可愛すぎるぞ!
子どもがいるとはいえ、まだお互い2回しかしたことがないのだ。初々しいエルウィンも分かる!
「……隊長、俺、昔からコンプレックスがあったんです」
なんだと!こんなに愛らしくて、美貌の持ち主であるエルウィンに何のコンプレックスがある!体もいやらしくて最高なのに!
「…俺、その、下、何も生えていないでしょう?いずれずっと生えてくるんだって期待していたけどだめでした。誰にも見せられないし、見せたくないし、自分でも触れませんでした」
「何を言っているんだ!エルウィンのパイパンは最高だ!」
初めて見た瞬間、この世でこんなに愛らしくて美しいものがあるとは思えなかった。
「私なぞ、初めて見た瞬間に鼻血を出してしまい、欲望が抑えられなかった!エルウィンにはパイパンが良く似合う!最高だ!私はなんて愛らしくて淫らで清楚な嫁をもらえたのかと神に感謝したほどだ!」
「で、でも……俺はコンプレックスで恥ずかしいんです。一生誰にも見られたくないんです……だから、隊長とも恥ずかしくてエッチできません」
なんだと!あんな最高のもののせいで、エルウィンはこれまで私とのエッチを断っていたというのか!
私は大好きだ!!!!!!
今も見たくて仕方がないというのに!
「男の夢だぞ!もし、パイパンではなかったら、土下座してでも、エルウィンにやってもらったかもしれん!何も恥ずかしがることなどないのに……」
いや、しかし、エルウィンは古風だし、慎み深い。恥ずかしくて仕方がなくってエッチを拒むなんて、子どもまで産んでくれたのに、初心で処女同然だな。
「待っていろ!エルウィン!」
そこまで恥ずかしいというのなら!
「た、隊長?」
10分ほどかかったが準備はできた。
「エルウィン、これで恥ずかしくないだろう?」
私は全裸になると、エルウィンにもう爆発寸前な下半身を見せた。
「た、た、隊長……それ」
「エルウィンはあまりにも恥ずかしがるので、私もおそろいのパイパンにしてきた!!!ちょっとスースーするが、エルウィンとおそろいだと思えば、またそれも快感だ!……これでもう恥ずかしくないだろう?」
恥ずかしいのなら、私も同じパイパンになれば、エルウィンも自分だけ……と思わずにすむだろう!
「さあ、3回目の」
「こ、こ、こ、この変態があああああああああああ!!!29歳パイパンを相手にエッチできるわけないでしょうが!!!!!!」
*****
「こういうことがあって、だな。結局エルウィンに断固として拒否されて、エッチはできなかった………」
しょんぼりと、パイパンのまま隊長は股間を晒しながらそう言った。
……だからと言って、エルウィンとおそろいのパイパンになって、堂々と浴場に出入りしないでください!少しは隠そうとしてください!
しかも、隊長はまったく恥じていない様子で、堂々とまっぱで歩いているので、まるで見せびらかすようにすら見える。
隊長は28歳でエルウィンに出会うまで、恋愛にまったく興味を持たず、ひらすら勉学や武術、魔法や政務に励んできたのだろう。しかし28歳にして拗らせた恋の病は治るどころか、回りに迷惑をかけ続け突き進んでいる。
僕たち隊員も話を聞きながら思うんですよ。隊長はがんばっていると!頑張って頑張って……エルウィンの気に障ることをし続けて、嫌われているのだと。
好かれよう好かれようと努力をしているのも分かるんです。しかし、全部努力が空回りして、墓穴を掘りまくっているようにしか思えません。
同じご兄弟でも、弟君のほうがあのツンデレ恐怖政治をしている副隊長とも上手くやっているようですのに、弟君を見習ってはいかがでしょうが?(一番真似してはいけない人です)
どう考えてもエルウィンのパイパンだからエッチしたくないって、体よく断るための断り文句でしょうに。
しかし、隊長のパイパンって………
いえ、物凄くご立派な持ち物なのは勿論分かっています!土下座したいほどに!流石隊長ですね!
分隊長のエミリオ様が、どんな政略結婚を持ちかけられても隊長とだけは結婚したくないといっていたのが、よく理解できます。
パイパンになると、余計にあの一物って大きく見えるそうなんですよね……ほら、毛に隠れないから。
凶悪なものが物凄く主張をしていて……しかし29歳にして、まだ2回しか使用できていないそうなので……綺麗な色をしていますよね?あ、それでも子持ちでいらっしゃるんで、あの一物は命中度が高いんですかね?
え?現実逃避しているって?僕はまだ一回も使用できていません!でもこの国では普通です!
皆から、余計なこと言いやがって言う目線が痛い!
『エルウィンがパイパンだなんて知りたくもなかったわ!!!』という、この場の全員の憎悪が感じられて、辛いです!
僕は、僕は、こんな話を聞いてしまって、なんて隊長にお返事したら良いんでしょうか?
「そ、その……パイパンって、ちょっと伸びてくるとかゆいんで、もう止めておいたほうが良いですよ」
「そうか……やはり、生粋のパイパンのエルウィンとは事情が違うか。お揃いはやめておくしかないか」
お揃いとか!
隊長はカッコいいんですから!もっとスマートに迫ればエルウィンもやらせてくれるかもしれないのに……
っていうか、本当に僕たちの未来の国王陛下って隊長になるんですか!?
だってパイパンですよ!パイパン陛下って……
その後、その場で同じく隊長のパイパンを目撃してしまった分隊長により、パイパン禁止令が出され、他部隊には一切の口外を禁止されました。
って、禁止されなくなってしゃべりたくないです……
理知的で素敵だった、隊長、戻ってきてください。
*見たくもないものを見せられた隊員たちの悲劇・・・
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