「俺たち義理の兄弟になったんですが……クライス様もユーリ隊長も、俺よりも上の身分で、職場でも上司なので、親戚とか義兄弟とか言われても……物凄く緊張します」

「だが、身分としてはエルウィンのほうが上になることは間違いないが?なんせ未来の王妃だ」

「それってもう本決まりなんですか?」

「まあ、公式には発表されていなくても、陛下も公爵もそのつもりでいるんだろう。俺も息子を産んでユーリと籍を入れたときに、王妃になるつもりでと言われたしな」

「ええ??クライス様がですか?じゃあ、ぜひ、クライス様が王妃になって下さいよ!」

「そうはいかんだろ。もともとユーリにその話が回ってきそうだったのは、隊長が独身で結婚する意志の欠片も無かったので、跡継ぎができたユーリにその話が来ただけだ。今はもう立派に妻子がある身なら、長男の隊長の方が優先だと。で、公爵家の跡継ぎはユーリがっていうことになると思う」

「クライス様のほうが名門の出で(侯爵家)、俺はしがない男爵家なんですけどね……」

「身分などどうでも良いだろ?平民だったら駄目だっただろうが、一応貴族の出だしな。立派に跡継ぎもいるので何の問題も無いだろう……というか、身分云々いうわりには、未来の国王候補の隊長には物凄い冷たい態度を取るよな、エルウィンは」

「仕方がありません……甘い態度を取っていたら、俺……何人子ども孕まされるか分かったもんじゃありませんから」

「……まあ、な。隊長の魔力が高すぎるから、普通よりも妊娠しやすいだろうしな」

「クライス様は魔力高いですから、なかなか妊娠しにくいでしょうけど。俺は低くも無いけど、特別高いわけでもないですからね……隊長にかかったら10人くらいの子持ちになりかねません」

「だな……」

「だけど、やっぱり国王には隊長よりもユーリ隊長の方が相応しい気がするんですけど!」

「どうしてだ?隊長も、エルウィンが関わらなければ、優秀で問題なく政治もこなせると思うがな」

「え?そうですか?……なんか、あんな隊長しか最近見ていないんで……あんなのが国王になったら、変態って噂が流れて他国から笑われたりするんじゃないか、心配なんですけど。その点ユーリ隊長はいつもクールで卒なく何事もこなしますし、クライス様を前にしても変態になっている様子は全くありません」

「そうだな……隊長の変態さは部隊の中で有名すぎるほど有名になっているが……ユーリはそんなことはないからな」

*なんとなくクライスの中で、ユーリの株が若干だが上がる。

「俺もどうせ愛のない結婚だったら、ユーリ隊長のようなスマートでクールでかっこいい男を夫にしたかったですよ」

「おい、確かに隊長は変態だが、ユーリの冷酷さに比べれば可愛いものかもしれないぞ?×××〜〜〜〜的なことを俺はされて結婚承諾書にサインをしてしまった。死んでもユーリとは結婚しないつもりだったのに」

「え……それって未婚で子どもを産んで死刑になってもですか?」

「ああ、死刑になって俺を失うユーリをせせら笑ってでも、結婚する気はなかった。まあ、しかしユーリは俺を死刑台に送るようなヘマはしないだろうがな」

「……まあ、そこまで計画的に練っているんだったら、絶対にクライス様のことを死なせようとはしないでしょうね。っていうか怖いです!ユーリ隊長は……なんだか、俺ホラーを聞いているようでした」

「実際ユーリって男はホラーだ。平気で人が本気で嫌がる事を平然とするからな……しかも心が痛むこともなく、自分がよければそれで良いって男だ。隊長のようにHなし!って言ってシクシク泣いて我慢するような男じゃない」

「……どうしてなんでしょう?隊長もユーリ隊長もやっていることはほとんど変りないですよね?無理矢理身体の関係を持って、妊娠させて、結婚。やっていることは同じなのに、こんなにも違うように感じるのは何でなんでしょうか?俺……隊長でよかった?」

「しかし、俺もユーリのほうがまだマシだったと思う瞬間がないでもない。ユーリはエルウィンとの初夜の映像で一人Hをするわけでもないし、パンツの臭いもかがん」

「……確かに、ミルク飲みたいとかで息子に嫉妬したりしないですよね……んーーー…やっぱりユーリ隊長のほうが良いかもしれません!カッコいい旦那様ですよね。一見は」

「ほんとか?俺がされたこと全部されても同じことが言えるか?」

「……うううう〜〜〜ん。やっぱり、駄目です。比べる存在が間違ってますよ!隊長もユーリ隊長も駄目駄目すぎて、どっちを比べて見えもアウトとしか思えません!」

「しかし、エルウィンは隊長に憧れてうちの部隊を志願したんだろ?」

「そうですけど……でもそれは騎士として、かっこいい上司としてです。隊長しか使えない時封魔法を駆使して、伝説級の魔物を退治した時の隊長は物凄く素敵でした!勿論恋愛対象ではなく、ですけどね。それがどうしてあんなふうになってしまったんでしょうか………って、ひょっとして隊長の変貌ぶりはユーリ隊長の精神制御魔法で変態に変えられたとか、ありえませんか!!??」

「え?まさか……」

「だとすると俺の不幸ってユーリ隊長のせいですか?」

「いや、待て……隊長とユーリの魔力は同じくらいだ。ユーリよりも低い魔力の俺でも、通常時はかけれなかったと言っていたくらいだ。妊娠してからも半年くらいかけて段々かかっていったくらいだから……隊長にかけるのは無理だろ?」

「でもクライス様の話を聞いていると、ユーリ隊長ならできないことはない気がします。全てはクライス様に隊長を諦めさせるために、とか」

「…………(確かにユーリなら、やりかねないというか、不可能はない気がしてしまう)」

「隊長を元に戻せるでしょうか?」

「いや、もう止めておこう。パンドラの箱を開けるだけだ。俺は何も知りたくない……もう」

「え?でも……最近困っていることがあるんですよ」

「何だ?」

「隊長がまた駄々を捏ねるんですよ。ユーリ隊長のところは、エッチたくさんしていてずるいって……もし、諸悪の根源がユーリ隊長なら責任を持って、暗示を解いて欲しいんですけど」

「ユーリは俺が嫌がっても、聴く耳は持たん。同じように、もし万が一暗示がかかっていても、解こうとしないだろう。それに、ユーリが何でもできると思うように、隊長もどんなこともできそうだから、ユーリの魔法にかかるとも思えん。あれは生粋の変態で、エルウィンが花を咲かせてしまったんだろう。ユーリのせいじゃない、エルウィンのせいだ」

「そんな!俺はユーリ隊長のせいだって思ったほうが心は楽なんですが……」

「俺たちの使命は息子たちはまともに育てることだ。あんな変態ゲス兄弟にならないようにだ。これから先もっと生まれてきてもな……(男同士のカップルからは男しか生まれません)誰が変態にしたかなど、問題にしても変態の子どもがもう生まれてきてしまっているんだ。卵が先か、うんぬん言っていてもはじまらん」

「男らしいですね……さすが部隊が最も恐れられている副隊長です……俺も見習いたいです」

「いや……エルウィンの隊長の操作もなかなか侮れんような気がするが」

「座談会、終わってみれば、どっちの夫も嫌!でエンドでしたね」

「ああ……」




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