「なんだと!? エルウィンは夫が高位魔力者だと若いままだと知らなかったのか」

「まあ、俺たちの階級では余りにも当たり前なために誰も教えなかったんでしょう」

またエルウィンが悪の会である、奥様お茶会をしていたので、私も対策として旦那会を開いた。
参加メンバーは何時も通り親戚ばかりを集めた。ユーリ、ギルフォード、ロベルトの全部で4人だ。

そんな我々は妻たちの会話を監視しながらお茶会をしていた。

「しかし何故ロベルトは妻をお茶会に参加させないのだ? お前の妻は、夫を愛していて夫の夜の要請にとても協力的だと聞く。そんな妻の鏡のような行動を知れば、エルウィンだとて改心するかもしれないと言うのに」

エルウィンの周りには強い妻ばかりだ。いや、夫のほうが魔力が強いが、気が強く独立心旺盛な妻ばかりで、私は出来ればエルウィンの友人がクライスやエミリオよりか、ロベルトの妻のマリウスのような性格だったら……と思わないでもない。

「申し訳ありません。妻は人見知りが激しく、また結婚の切欠が切欠だっただけに本人が外に出たがらないのです。それに今二人目を身篭っておりまして……」

「そうか、残念だな。エルウィンの友人はできれば夫を熱愛している妻が良いのだと思うが……誰か他に心当たりはいないか?」

「残念ですが、俺には思い浮かびません」

「僕も、エミリオから色々聞いていますが、むしろ夫を愛していない妻が大多数かと」

「父上と母上なんかは、見本……にならないらしいって、クライスも言っていたし……世間的にはあの二人、恐怖しか感じないらしいしね」

父上と母上は大恋愛の末に結ばれたという、両思いの見本のような二人だと言うのに……世間的にはアウトらしい。
ご先祖たちはたくさんの国を妻のために潰してきたのだから、何が悪いのかと思うのだが……エルウィンは小市民的な思考だ。エルウィンの感性に合うように事を進めなければならない!

あちらのお茶会では、肉体的に何時までも若かったら子どもは老人になってもできるのかとか、夜の生活もずっと? みたいな疑問が噴出していた。
残念だが外見は何時までも絶頂期のままだが、生殖機能は肉体の年齢ではなく実年齢に伴って衰えていく。魔力のないものでも40過ぎ手出産する女子もいる。従って妊娠すれば肉体は若いのだから60歳でも出産できるが、そもそも妊娠し難くなっていくので現実的ではない。なので陛下は50歳を過ぎた頃からしきりに私に、王子を儲けるのは無理な年齢になってきたから王位を譲りたいというようになってきた。
何故肉体は若いままなのに、生殖機能は衰えるのか、分かっていないが、そもそも寿命は魔力の多い少ないは無関係だ。私達も普通に寿命が来れば死んでいく。80歳にもなって子どもをバンバン作っていたら、物凄い子沢山になってしまい、魔力の多い人間ばかりになってしまう。世の中の均衡を保とうとする本能なのかもしれないと言われているが……ちなみに、性欲も若い頃と比べると落ちるそうだ。しかし私はまだまだエルウィンを思い浮かべるだけで元気ハツラツだ!!!

「しかし、兄さん……今回のこのネタはエル君とエッチをする良い切欠になるんじゃないんですか? 友人や家族が皆加齢しないのに自分だけというのは、やはり嫌でしょうし。上手くやれば定期的にできるようになるんじゃないんですか?」

「やはりそう思うか!? 他国では不老は王侯貴族の夢らしいしな」

何故不老がそんなに夢なのかと疑問だが、他国ではわが国ほど魔力が強い者はいないから仕方がないのかもしれん。私と交わる事によってエルウィンの美貌が保たれるのなら、エルウィンもその気になるだろう!

「いえ、そう簡単に考えてはいけませんよ。王太子妃様は、これまでずっと普通に年をとって老いていくのが常識な世界で生きてきたんです。逆に若いままのほうが抵抗を感じるかもしれませんし、隊長とエッチをするくらいなら老いた方がマシと言い出しかねません」

「それはそうかもね。王太子妃って、普通に年を取って生きたいので隊長とエッチしませんと、逆手を取って言い出しかねません」

「その可能性はあったね。兄さんが若さを保つために、と言い出せば、そんなことをしてまでエッチがしたいんですか? と何時もの冷たい目で却下される可能性を考えるべきでした」

「そ、そんな……せっかく良い切欠になると思ったのに……」

エルウィンのあの蔑んだ目は私の股間を凍りつかせる最強兵器だ。エルウィンは全く強くないはずなのに、私はどうやってもエルウィンに勝てないのだ。
私はそれほど大それたことを望んでいるのだろうか?
ただ普通の夫婦の営みがしないだけなのだ。
この弟も私がエミリオに見繕ってやったギルフォード王子も伯爵家の跡取りも、皆普通の夫婦の営みをしているというのに。
私はこの国で一番偉い人間になるはずなのに!
最下層の人間になったような気がしてならない(つω・。)

私が最後にエルウィンと交わったのはあの新婚旅行の際……
あの時同じように第二子がお中にいたユーリはもう第三子まで儲けている。
それに比べて私は第三子どころかもう2年も……(つω・。)
こんな私が最下層の人間ではなくて何だというのか!

「エッチがしたいを前面に出さなければ、あるいは……」

「あ、そうですね。王太子妃は隊長がエッチしたいを出すと嫌がるので、エッチしたいからではなく、王太子妃のためにどうかと言えば良いのではないでしょうか?」

「俺のクライスも子どもたちの前では、とっても俺に従順だし子どもたちのことを一番に考えていますよ。エル君も子どもたちのことを出したら、考えずにはいられないでしょう。あくまでも兄さんがエッチしたいのではなく、真剣に将来と家族のことを考えてのことと言えば大丈夫だと思います」

「隊長、ここで大事なのでおそらく王太子妃様は若さにあまり興味がありません。なので、老いた姿を見たくないとか、綺麗な妻でいて欲しいからというのは禁句です。あくまで、家族のため、将来のためというところからムードを出してエッチになだれ込むんです」

「うむ! 皆ありがとう! 今夜こそ2年ぶりにエルウィンと合体が出来そうだ!」

私は期待に胸を弾ませた!

今夜こそ、今夜こそできるかもしれない!




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