と、あんなに昨夜は幸せだったというのに、エルウィンは何も覚えていないと言い張って逃げていってしまった。
何故だ?
意識ははっきりしていたし、あんなにお嫁さんになりたい、隊長の赤ちゃんが欲しいと喘ぎまくっていたというのに。

証拠の品だってある。これをエルウィンに見せようかと、魔法でエルウィンとの情熱的な一夜を全て記録しておいた魔力球を握り締めていた。

「おそらく、媚薬の副作用かもしれません。閣下は通常よりも効き目の強いのをお求めになりましたので、急いで調合した結果、記憶が欠落してしまったのかもしれません」

と公爵家の使用人に言われた。

ちなみに副隊長は昨夜は弟に足止めをしてもらっていて、そのおかげで邪魔が入らなかったが、すでに部隊中に私の手足となるものたちに昨夜無事結ばれたことと、部隊中からエルウィンに結婚するようにプレッシャーをかけるように手配した。

「可哀想に……エルウィンは村八分にされて、意気消沈していますよ。あれほど無理強いするなと言ったのに聞いていなかったんですか?」

と副隊長に怒られてしばかれたが、同意はあったとあの夜の映像を見せて身の潔白を証明しようとしたが、いりませんと怒られた。

「何故、エルウィンは結婚に同意してくれないんだ?こうして身も心も結ばれたからには、結婚しないわけにはいかないはずなのに」

「確かにそれがわが国での常識ですが……身は結ばれても心は結ばれていないことが最大の原因でしょう!要するにエルウィンは隊長のことが全く好きじゃないので、結婚したくないだけです!簡単なことでしょう!」

「いや、しかし!エルウィンは私の腕の中でよがり狂って、愛しているし、お嫁さんになりたいと言ってくれたんだぞ?!いくら媚薬だからと言って、好きでもない相手にそんなことは言えない筈だ!」

「あ……ーーーー…まあ、尊敬はしていたかもしれないですね。騎士としては……ですけど、その夜の話を聞く限り、俺はただの変態としか思えません、隊長のこと。逆にその夜の記憶がなくなっていて助かったかもしれないですよ?騎士としてだけ尊敬されていた男が、ただの変態の犯罪者だったと思わずに済んで」

「お前は!私を非難することじゃなくて、どうしたらエルウィンが私と結婚する気になるかを考えろ!このままではエルウィンは堕落した男だという烙印をおされてしまうんだぞ!」

「いえ、それが隊長のお望みなのでは?もうエルウィンは一生結婚することはできないでしょう。隊長以外の男や女とは。良かったですね?もうエルウィンは絶対に他の男のものにもならないですよ」

愛するエルウィンをそんな立場に置きたい訳ではない。勿論私以外の男や女と結婚することや交わることはありえないが、だからと言ってエルウィンが後ろ指を刺されるような境遇に置きたい訳ではないのだ。今そんな立場に置いているのは、エルウィンが私を頼りにしてきて『やっぱり隊長のお嫁さんにして下さい』と言って欲しいだけなのだ。
そして、隊長が欲しいと強請り、またお互いドロドロになるまで抱き合いたい。今すぐ結婚したいだけなんだ!

と悩んでいたら、親愛なる弟がアドバイスをくれた。弟はあの毒舌で嫌味ったらしい副隊長の夫だ。あの副隊長と口説き落とし結婚した腕前を持つ弟のアドバイスは。

「もう一度襲って、孕ませちゃえば良いんだよ」

という素敵なものだった。

「エルウィン君は見るからに気弱そうだから、流石に孕んじゃえば兄さんと結婚する気になるよ」

弟も嫁にしばかれていたが、そうか。ここに良い見本がいたじゃないか。弟はできちゃった結婚だ。副隊長もそれで大人しく結婚をしていた。
妊娠してしまったら、エルウィンももう私に頼るほかないだろう。

「いや、もう妊娠している可能性も5%くらいはあると思う。最近体調を崩しているようだし、5%どころか上手く命中していたかもしれない。これは方々に手を回しておかないと」

勿論わが子を身篭っていてくれたら言うことない。もし妊娠していなかったら……もう一度媚薬を使うのも一つの手だが、また記憶がないと可哀想だし。今度は媚薬なしでぜひ行きたい。従って私はこの近辺とう近辺の医者に、エルウィンがやってきたら妊娠しているしていないに関わらず、懐妊したと言えという指令を下した。そして残念ながら妊娠はしていなかった。残念だ。
しかしエルウィンは私の子を孕んでいると思い込んでいた。
しかも、ちゃんと謝罪したら結婚してくれるというのだ!
謝罪くらい簡単だ。エルウィンが私と結婚してくれるなら、土下座だって安いものだ!
やっとプロポーズにYESと言ってくれた。私のエルウィン!絶対に幸せにしよう!

そして結婚式の正真正銘の初夜。もう初夜は済ませてしまっていたが、エルウィンにとって記憶のあるのは初めての日だ。勿論私は用意周到だった。
睡眠薬も媚薬も使わないが……受精促進剤!これは必要だろう!
私の子がいれば、私の事を子どもの父親として尊敬し愛してくれるに違いない!

偽装妊娠がばれてしまい、最低男の名称を頂いてしまったが、それでも幸せだった。エルウィンが妊娠したからだ!

しかし、睡眠薬&媚薬&受精促進剤の薬三連発使用に激怒したエルウィンに禁欲を命じられ、私はまだ2回しかエルウィンと交われていない。
妊娠中なのでエルウィンを労わらなければならないので仕方がないかもしれないが、出産が終わっても指一本触れるなと言われてしまい。

私は仕方がなく部下の薬剤師に、記憶障害の起こらない強烈な媚薬の作成を命じて……わが子が生まれるのを、股間を鎮めながら今か今かと待っているのであった。

END



終わった!!!! 隊長サイドいかがでしたでしょうか?何故か物凄く愛される男になった隊長でした★子沢山になりそうな、隊長×エルふうふです〜
何か感想があると喜びます♪




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