僕の名前はイアン。グレイの旦那様だ。
今度念願の隊長に出世するんだ。

僕はずっとグレイのことを好きだったんだけど、恥ずかしくて言えなくて、グレイそっくりの人形を愛でていた。
そしてその子をグレイ人形ちゃんを呼んで可愛がっていた。それを見たらきっとグレイも僕の恋心に気がついてくれるはずだと思って。
でもグレイとはシフトが違うため僕がグレイ人形ちゃんと一緒にいる姿を一度も見られなかった。

こんなに愛していることが分かればグレイも、仕方がないな、結婚してやると、クールにプロポーズしてくれるんじゃないかって期待していたのに。
僕はグレイ人形ちゃんを完璧にグレイとそっくりにするため、秘儀を磨いた。一緒にお風呂に入ることがあれば、勃起しそうになるのを諌めて、グレイの身体を観察して、腰周りやあそこの色や長さ太さまで一生懸命研究をした。パイパン令が出た時にはグレイが捨てたあそこの毛をゴミ箱から回収してグレイ人形ちゃんに使用した。
けど、グレイはやっぱり僕がどれほどグレイを愛しているか気がつかないままだった。

なのに、実際にはグレイ人形ちゃんと愛し合っている秘密の時間を目撃されてしまって軽蔑の眼差しを注がれる羽目になった。

もう僕は服を着る気力もなかった。もう僕のお嫁さんはグレイ人形ちゃんしかいなかった。

でもある切欠でグレイは僕の奥さんになってくれた。

グレイは優しかった。こんな僕に毎日服を着せてくれ、頑張って仕事をして来るんだぞと毎朝キスをしてくれる。
隊長になったら尊敬されるかな? と期待していたけど、隊長になった僕をグレイはとても誇らしいと褒めてくれて、僕の赤ちゃんが欲しいと熱烈に迫ってきたのだ。
勿論僕は喜んで応じた。淫らなグレイは奥様の鑑だ。まさに良妻賢母だと思う。
あんなことやこんなことまでしてくれて、僕は本当に隊長になって良かったと思う。

グレイが僕の赤ちゃんを身篭って副隊長代理をすることができなくなった。僕はグレイに補佐してくれたら凄く嬉しかったけど、大事な身体だ。他の誰かに任せなければならない。

奥様からお前に全てを任せたと言われたので、僕がちゃんと部隊を回せられるようにしっかりしないといけない。だってパパになるんだもんね!!


それにしても集まったメンバー、ジュリア・エリオット・リーセット・ジブリールか。ロレンスは来ていない。

「僕が隊長になるため、組織改革をしなければならない。皆、クライス副隊長から苦情が出ている。副隊長やエミリオ分隊長、グレイが産休から復帰するまでに、なんとしても一見普通の部隊にしないといけない……らしい」

僕は別に仕事に来ないロレンス以外、それなりに仕事をしているので構わないと思うんだけど。でも奥様や副隊長から散々改善しろと指令が出ているので、何とかしないといけないらしい。

「えっと……まず、ジュリア……別に悪いところないよね?」

「ああ、私は真面目に仕事をしている」

「だよね」

ジュリアは何時も真面目に仕事をしている。改善点は必要なしと。

「何か要望は?」

「そうだな。最近パイパンを愛でる会の会員が増えてきた。部費を増やして欲しい」

「分かった。うん、パイパンは大事だよな」

僕も人形を愛している。今でこそグレイ人形ちゃんを手放してしまったが、人形と愛を語る会の会長であることには変わりない。だからジュリアがパイパンを愛する気持ちも理解できる。僕も奥様にたまにやって欲しいと言うと、奥様は恥ずかしがりながらもやってくれた。勿論その時の毛は回収して、いずれ完全体のグレイ人形ちゃんを作る際に有効活用するつもりだ。
ただまだグレイ人形ちゃんを作成には着手できない。だってグレイの身体の探求はまだまだ終わっていないのだから。愛し合うたびにグレイの素晴らしさを再発見する日々なのだ。
素晴らしい締め付けや、可愛らしい嬌声。とてもまだまだ再現できるものではない。時には男らしく僕を翻弄し、上に乗って自ら動いてくれたり。まだまだ僕の腕では不可能だ。
それだけグレイが素晴らしいともいえる。

「じゃあ、エリオット……う〜〜ん、エリオットが一番改善命令がかかっているんだよね。僕もちょっとどうかと思うんだよね」

僕だってグレイとずっといたいのに、グレイが男は仕事をしてこそ一人前、仕事のできる男ってカッコいいと言うので、グレイが恥ずかしいと思うことは出来ない。
だからエリオットみたいに46時中盛る事はしないのに。

「そうだ。お前もTPOと言うものを考えろよ」

「そうですよ、先輩。僕だってデニス奥様とずっと一緒にいたいけど我慢してパンツで我慢しているんです! エリオット先輩も少しは我慢を覚えたらどうです?」

ここにいる分隊長は皆奥方を熱愛しているのに、仕事と私生活は頑張って区別しているんだ! エリオットだけが特別ではいけない!

「……すまん、どうしても身体が言う事を聞かなくて……子どもでもできたらすっぱり止めれそうな気がするんだが」

「ん〜〜じゃあ、本能の問題だから解決は無理っと。子どもができるまでエリオットは人前で盛らない事にしよう。盛り用の部屋を用意して隔離すること。どうしても繋がっていたいのなら繋がりながら仕事をすることで解決としよう。ただし、周りには見せないようにすることっと。これで良いよね?」

「感謝する」

「まあ、それで良いんじゃないか? どうでも良いし……」

「だよな」

うん、反対意見は出ない。基本他人のことなんかどうでも良いからね。

僕って天才だね! あっと言う間に解決していくよ。グレイもきっと褒めてくれる。

「じゃあ、次はリーセットって……何にも問題ないよね?」

一番真面目に仕事しているし、なんか問題あったかな?

「クライス副隊長が、リーセットの噂気にしていたぞ。ライバルを毒殺して奥方を手に入れたって本当なのか?」

ああ、そんな噂あったよね。でも仕方がないよ。本当だったとしても、どうしても欲しかったら毒殺くらいするよね。僕だってグレイが人妻だったら、夫を人形の中に魂を閉じ込めて燃やしてやるからね。別に悪いことをしているとは思わないんだけど。

「リーセット先輩悪くないですよね?」

「気にする必要もないと思うがな」

「私もそう思うな。毒殺されるほうが悪い。自分の身も守れないほうが悪いし、欲しいもののためなら何でもするべきだしな」

問題視するほどの問題でもないけど、一応隊長となる以上詳細を把握しておきたい。

「問題にするつもりないけど、真相だけ教えてくれないかな?」

「……真相か。俺は欲しいもののために動いただけだ。そう、フェレシアが間違った相手を選んでいたので、俺が正してやっただけなんだが」



***
何かが違う夫たちw



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