「………そうか、何と言うか、弟さんが犠牲にならなくて良かったな」
「そうだな。変態も1つくらい良い所があるな」
「立ち直る切欠を与えた絶倫というのは……1つくらい誰にでも取り得はあるものだな」
確かに弟は引きこもりをやめて、素敵な男性を父に見つけてもらいと嫁いでいった。
弟にとってはとても良かっただろう。
私が原因で弟の人生を崩壊させてしまった事に少なからず、罪悪感を抱いていた。
そのため私がエリオットと結婚した事が弟にとって良い影響を与えたというのなら……私もエリオットに感謝をしないと……いけないのか?
「デニスと一緒でシエラも夫の躾を全くしていないな」
「私だって、そこらじゅうで盛るな! せめてプライベートな空間だけにしろ。仕事ではするなと何度も言い聞かせている。エリオットも理解は出来るが身体の操縦が効かないといわれ……」
「純愛だからな……」
「エリオットも現世で結ばれるとは思っていなかったようだから、そのせいでああも精力絶倫になったんだろうな」
「エリオットも可哀想だから見て見ぬ振りをするか? 対策が思いつかない」
私も同様だった。例えば話が通用しないような頭の持ち主なら、言っても分かってくれないとなるが、エリオットの場合は自分がしている事は理解しているのだ。だが身体が止められないと言った具合で、自分でもどうしようもないそうだ。
この分隊長会議の前も、一緒に会議に出席する、俺がシエラの椅子になるとかほざいていたが、流石に無理! 離れていろ! と言って、ようやくこの会議に出席できた。その言い争いの間もエリオットは俺を迎えあわせで座らせて……合体していました。
やっと独り身になれたと言うのに、エリオットが入っていないほうが違和感を感じるというのは末期状態な気さえして……。だってずっと入りっぱなしだったものが無くなってしまうと、開いたまま閉じないような気がして凄く不安になってしまう。
かといって入れられているのが嬉しいわけじゃない。
「シエラ、確かにお前達夫婦は俺たちの誰よりも妊娠しにくいだろう。しかし人様の10倍くらい多く交わっているんだ。普通だったらお前達夫婦は一生できないか、20年くらいかかってようやくできるレベルだが、それを10分の1に短縮できるだろう。そろそろできないのか?2年たっているし」
グレイシアは2年でイアンの子を身篭った。これは有り得ないくらい早い。グレイシアの言い分では、確かに私たちはその理屈で言えばできても不思議ではないかもしれない。
「無茶言うなよ。いくらシエラは46時中突っ込まれているからって単純に10分の1とかにしちゃ駄目だろ。そもそも10分の1か? 計算おかしくないか? 結婚二年目の平均は週1〜2日らしいぞ。ということは1週間で交わっている時間は5時間ほどだと当たりをつけても良い。その点シエラは24時間×7=168時間交わっていて」
「いや、待てよ! 流石に168時間交わっているわけないだろう! たまに24時間されることはあるが、仕事だって別々にしている事もあるし」
「なら1日あたり5時間くらいは別々の時間もあると計算して・・・・168−5×7=133 133÷平均5時間=26倍だな。人様の26倍も交わっていて何故妊娠しない!? さすがのエリオットも妊娠すれば性欲をセーブするだろう。絶倫が本能なら子どもを保護しようとするはずの父性も本能だ。妊娠したら、絶倫は収まるはずだ」
言い分は分かる。さすがに妊婦になった私に挑んできたりはしないと思う。
「妊娠しないのは、シエラが受身でいるからだと思う。もっと夫に攻めたり、自分から求めたり、妊娠したいと思ったことはあるのか!!!??」
「夫を攻める前に攻められているし、自分から求める暇もなければ求めたいと思ったこともない」
「まあ、そうだろうな。吐きそうになるほどやられていて、自分から積極的になれるはずはないからな」
「それが問題なんだ! 良いか? 夫には躾が必要だ! 愛しているように見せかけろ! 仕事を頑張ってきちんとする夫が素敵だと言え! そんな貴方の子どもを妊娠したいと言えば夫など瞬殺だ! 感じているように見せかけろ! 妊娠すればこっちのものだ!! 素敵なパパになってね、といえば変態行為はしないものだ」
イアンを調教したグレイシアの言葉には真実味がある。
「なら、エリオットの調教方法は、シエラがエリオットを誘惑して淫乱妻になり妊娠する事と……メモメモ」
なんか余計な言葉が入っているような気がするが……
「ジュリアとジブリールとエリオットは片付いたが、リーセットとロレンスはどうなるんだ?」
リーセットとロレンスの妻はここにはいない。
リーセットの妻は元第二部隊に所属していた人で面識はない。
ロレンスの妻かもしれないパトリックは行方不明。
「リーセットは……暗黒な噂があるが、もう放っておいてもいいだろ。あいつは真面目に仕事に来ている」
「まあ、そうだな」
「余計な口を挟むと、大事になりかねないしな」
「奥方も子どもが生まれたと聞いたし、ちゃんと生きているので問題はないだろう」
誰もリーセットの妻が部隊を除隊してから姿を見ていないが、子どもも生まれているのなら生きているので、ここでも皆見て見ぬ振りをすることにしたようだ。
「パトリックはどうするんだ。今の所パトリックの補佐役が部隊を見ているが、何時までも分隊長が行方不明のままではまずいだろう」
「生きているのか?」
「死んではないだろうが……花嫁の塔で、快楽人形になってはいるかもな」
「怖いこと言うなよ」
「あの一族はそういう一族だろう?……隊長を見ろよ。変態誘拐魔の一族と大陸中で名高いんだぞ。今でもいろんな国で、いい子にしないと公爵が花嫁として誘拐していくぞ、と子どもを言い聞かせる怪談として言い伝えられているっていうのに」
昔いろんな国から有力者を浚ってきたわが国だが、花嫁として誘拐してきたため営利目的ではない。そのため身代金を払うので返してくださいと泣きついてこられても、そんな人はいません。とすげなく追い返して、跡継ぎがいなくなってしまい国が滅んでしまいますと、また泣きついてくると、じゃあ、その国貰いますよと併合されてしまうのだ。併合した国は浚ってきた花嫁が産んだ子ども達が領地として統治するわけだが。
という訳で、泣き付いても良いことが全くなかったため、しだいに他の国は泣きつく事を止め、どうかうちの国じゃなくて他の国から花嫁を浚って欲しいと神頼み始末。最近は浚う事は少なくなったのだが、それでも国策として誘拐は違法ではなく、法律で認められているのだ。花嫁として大事にするためなら誘拐は合法と。
そんな国はうちだけだろうが。ちなみにもし他国がうちの国から花嫁として誘拐をしていったら、勿論違法。コテンパンにしてやるわけだ。
そんな誘拐魔の血を色濃く受け継いでいるロレンスは……
「ロレンスは花嫁の塔に閉じこもって余り仕事をしてはいないが……たぶん変態行為は塔の中だけだろうから、ここから先は夫たちに頼んで、生活態度を変えさせるしかないな」
「そうだな。後はイアンたちに任せよう……これにて分隊長会議は終了。解決事項がたくさん決まって、これで俺は正式に産休に入る。あとのことは頼んだぞ!」
そう清清しそうに第一部隊を去っていくグレイシアを一同は羨ましそうに見送ったとか……
END
「分隊長たち、本当にこれで第一部隊がまともになると思っているんでしょうか? あれでロレンス分隊長やリーセット分隊長以外解決したと真剣に思っているんですか?」
「それを言っては可哀想だろう。あいつらは、あれでも真剣に考えた結果、ああなったんだから」
「エミリオ分隊長……色んな人を不幸にして、色んな変態を作成してしまいましたね」
「 (´Д`|||) ちょっと、最近反省はしているんだ。妊娠中で精神が錯乱していたんだと思う」
「変態を大量生産したのはエミリオ分隊長ですよね……」
「しかし、遅かれ早かれどの道ああなっていたと思うぞ。大部分はお前の夫の影響が深刻なためにな」
「うっ……それは否定できません。なんかあの人たち隊長の分身のような気がしてなりません」
「やっぱりユーリに任せたほうが良いんじゃないのか?」
「駄目だ! あんな変態の巣窟にユーリを放り込んだら、さすがのユーリも忙しくなるだろう。一緒にいてくれる時間が少なくなったら、寂しいから無理だ」
「いえ、ユーリ隊長なら精神制御魔法を使えば一発じゃないかと……というか、第三子ともなるとクライス様のデレ振りが早すぎますね。イチャイチャ振りを録画でもしておいて、正気になった時に見せましょうか?」
「エルウィン……お前、鬼嫁ぶりが親戚にまで及んできたぞ」
あとがき
やりすぎてすいません!登場人物一気に増えすぎてすいません(><)
変態祭り・・・を楽しんでいただければ。
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