それからエリオットは本当に独身を貫き通すようだった。どんな縁談にも頷かず、一生結婚するつもりがないと公言をしていた。
そのせいか、周囲の者はエリオットは昔の隊長のように恋愛には興味がなく、堅物だと思っていた。勿論私とエリオットの複雑な関係を知るものはいなかった。

ある時、エリオットの父親が私を訪ねて来た時があった。

エリオットが私以外と結婚するつもりはないので、家の跡継ぎは親戚から取って欲しいと宣言をされたと。
もし私とエリオットに子どもが恵まれたら、うちの跡継ぎにして良いので、どうかエリオットと結婚してあげて欲しいとお願いをされた。一生私を思って一人で過ごさせるのは余りにも寂しすぎる人生だからと、懇願された。

確かにエリオットにとってそれはとても寂しい人生になるだろう。彼にとっては生まれ変わって私と結ばれるという、とてつもなく確率の低すぎる、来世を夢見て過ごすだけだ。だからといって、私がエリオットのために犠牲になるほど優しい性格はしていない。

私もいくつか縁談を父から貰って見合いをしようとしたが、その度にエリオットは何も言わないが悲しそうな顔をして俺を見ているのを発見してしまう。結果、結局エリオットが気になって見合いに集中できず話は流れてしまう。しかし、別にエリオットにそういう感情があるわけではないのだ。ただ哀れなだけで、道端に捨てられた犬がいたとする。家で飼うことは出来ないが、なんとなく気になっていい家に迎えられるといいなと思う感情と似ている。

だが、家のことを考えると何時までもエリオットのことを気にしている場合ではなく、結婚をしなければならない。
エリオットに婚約破棄をされた弟は、相変わらず沈んでいて結婚はしないといって家に閉じこもっている。
可哀想だがこれと言って才能のなかった弟は学校にも通わず、領地経営や商売の勉強もしていない。嫁ぐ花嫁修業だけしかしていないので、できればエリオットを忘れて良い人に嫁いでくれれば良いと思うのだが。

そして運命の日がやってきた。



「止めろ!! っ、私に触るな!!」

エミリオ分隊長に盛られた媚薬は容赦なく私の身を巣食ったが、それでも簡単には屈したくはなかった。しかも相手がエリオットでは、間違いでしたでは済まない。

エリオットは部屋に閉じ込められると真っ先に私の前に陣取った。そしてその目は明らかに私を狙っていた。

「シエラ、シエラっ……これはご褒美だろう? ずっとシエラを思っていた俺への、最初で最後の運命の神からのプレゼントだっ」

「いやだっ」

「シエラ、離したくないっ……お願いだ、俺を受け入れてくれ!」

貴様のお願いは一生に何度あるんだ。拒否したくて実際に口では何度も拒絶の言葉を口にした。けれど身体はそうはいかなかった。
エリオットに縫いとめられ、無理矢理入り込んでくるのを止める術はなかった。

エリオットも自制が効かないのだろうが、乱暴に揺さぶってきて、痛みと快感の狭間で何度も悲鳴を上げたが、ここにいる全ての人間が同じような状況だったので、誰も気にも留めなかった。

エリオットはごめん、すまないと言いながらも、24時間休む事もなく私を抱き続けた。

途中私は気を失ってしまい、何度か目を覚ましたが、それでもエリオットが私の上に乗っているのは変わらなかった。


「ちょっと、そこの二人……っていうかエリオット分隊長のほうですか。皆さん、もう媚薬切れて退散していますよ……何時まで一人で盛っているんですか?」

ほとんど意識のなかった私がその声が目を覚まし、周りを見渡すともう誰もいなかった。ただエリオットだけが未だに私を抱き続けているようだった。まだ繋がったままの下半身から恐ろしいまでにエリオットの吐き出した精が溢れ出て、粗相をしたのかと心配するほどだった。

「まだ満足できない! シエラの中が心地よすぎて……ああ、シエラ。愛している……シエラを抱いているかと思うと、どうやっても萎えないんだ」

「分隊長……まだ盛りたい気持ちは分かりましたが……これ、皆様に配布している婚姻届とペンです。陛下から特別の配慮で婚姻許可証も配布されています。サインしていただければ、この事件は円満に解決しますので、サインしてからまた盛ってください」

「婚姻届、準備が良いな」

私は知らなかったが、陛下はこの事件を非常に鎮痛の面持ちで憂慮なさったそうだ。甥の作戦の被害者が起こした事件ということもあり、結婚させて事件をなかったことにしようという判断らしかった。

「サインをしよう、シエラもするな?」

「あっ」

繋がったままエリオットに抱き起こされ、彼を跨ぐ様な体勢にされた。全裸なのが恥ずかしくて俯くと、脱ぎ捨てた制服からマントを寄せかけてくれた。紳士的な態度といえば態度だったが、何故繋がったままにするんだ。服を着せてくれ。

「服を……」

「駄目だ、まだ満足していない」

エリオットは私を抱きしめたまま床に書類を置いてサインをした。そして私の手にペンを握らせた。

「さあ、シエラもサインをして俺の妻になってくれ」

「でもっ」

「こうやって一心同体になっているんだ。今更何を躊躇する? もはやシエラは純潔ではないんだぞ! 俺と結婚する以外に術はないはずだ」

正論だった。正論過ぎるけど、エリオットと結婚?
24時間過ぎても、気絶している俺を抱き続けて、未だに体内ででかくしているような、有り得ないような性欲の持ち主と?

「でも、ちょっと……考えたいような……」

「シエラ……サインするまで、離さない」

エリオットは私を繋がったままうつ伏せにすると、後ろから獣のように腰を使ってきた。マントで私の身体を隠してくれているが、婚姻届を持って待っている部下には何をしているか丸分かりだ。

「いやっ…無理っ、もう死んじゃうからっ」

「シエラ、死ぬときは一緒だっ」

嫌だ! エリオットと繋がって死んだりしたら両親に顔向けできない!

「ほら、シエラってサインをするんだ。シ   エ   ラ   だ」

エリオットは俺を貫き際に、文字描くように腰を使ってきた。

「あ、もう…サインするからっ」

サインをしている間中も、その文字を書く順番通りについてきた。もうサインはボロボロだった。



「もう無理……離してくれ」

「シエラ無理だ、一生離したくないんだ」

サインした後もエリオットの性欲はとどまることは知らなかった。
官舎に戻った後もエリオットの部屋に連れ込まれて、そのまま数えきれないほど抱かれた。疲れて眠らせてくれと頼むと、後ろから抱きしめられたまま、エリオットの性器を入れられたまま眠りを強制される。
むろん起きたときもエリオットの物が入ったままで、起き抜けにもシエラと何度も名前を呼ばれ、ヒートされ。

風呂に入りたいといえば、一緒に入れられ、中を洗ってやると、エリオットの……で中まで洗われ。

ご飯を言えば、何故か2席あった椅子が一つだけになっており、エリオットはその1つだけの席に座ると、シエラの指定席はここだと自分の股間を示して……合体しながらのご飯は美味しくなかった。

「いい加減にしてくれ! 寝ても覚めても、ずっと交わっているってどういうことだ!? 私には寝ている間も風呂の間もご飯も間も仕事の間も自由はないのか?!」

「シエラ、どうしても離れていたくないんだ」

「別に夜の生活を拒否するつもりはない。ただ、限度というものがあるだろう……仕事中にも人を浚って発情するし……分隊長という立場なら公私の区別はつけるべきだろう?」

「分かっているんだ。頭では分かっていても、身体が理解できない。シエラを見ると、どうしても抱きたくて我慢が出来なくなってしまうんだ」

恥ずかしい、どうしてこう性欲魔人なのだろうか。分隊長の中には恥ずかしい夫はたくさんいるので、エリオットはその中でもマシ……なわけはない。まだパンツを被るか、パイパンと叫ばれていたほうがマシだ。
現にこの話し合いの最中も、後ろから抱きしめられて、突っ込まれている……

「それにシエラの家では跡継ぎが必要だろう? 出来にくいのなら人の10倍交われば、子沢山になれるかもしれない」

そうか……そうか! と納得できるか!!!!!

「エリオット、もうなんか人が変わったとしか思えない。真面目な人間だったのに……しかも、君は私のこと諦めるといったよな。生まれ変わったらと約束したのに」

「あの日、俺は生まれ変わったんだ! 今生では手に入れれないと思っていたシエラを抱けて、生まれ変わったんだ。だから約束どおり結婚してシエラの全部は俺のものだ」

生まれ変わりすぎだ!

生まれ変わったら職場で24時間耐久交わりレースですか?


同僚からも白い目で見られて辛い。


結婚がいきなりになってしまったので実家にあいさつに行き、報告にいった。弟は相変わらず引きこもりだ。

流石に実家では盛らなかったが、私がエリオットとしなかった日はこの実家でのお泊りの日だけだった。

そして何時もどおり官舎で盛られていたある日。

「やっ、もう……無理っ」

「シエラ、シエラ、愛している。一杯愛するから、きっと孕めるぞ」

ガタとどこかで音がしたが、気にせずエリオットは盛り続けた。

そして晩御飯を食べようとテーブルまでまた繋がったまま……移動させられ、そこに一通の手紙があった。



兄様へ

エリオット様と結婚おめでとうございます。
今までお祝いを言えなくてごめんなさい。
でも今日は本当に心から二人を祝福できます。

僕とエリオット様を結婚させてくれなくて、本当に、本当にありがとうございました。
兄様は凄いです。最高交わり時間48時間を越えたそうですね。さっき、同僚の方が親切に教えてくれました。嘘かと思って、勝手ですが部屋に入らせてもらい観察していましたが、12時間経っても部屋から出てこず、連ちゃんしていて物凄い体力だな、流石兄様だと思いました。
僕には到底無理です。今日はエリオット様と結婚できなくて本当に良かったと神に感謝しました。もう兄様もエリオット様も恨んではいません。
こんな僕ですが、エリオット様みたいに勢力絶大の方ではなくて、もう少し淡白な方にお嫁に貰ってもらうようにお父様にお願いしてみたいと思います。

兄様、身代わりになってくれてありがとうございました。


「………」

「良かったな、シエラ。弟君も立ち直って」

絶倫が弟を立ち直らせた……変態が身を助けるなら……私の身体も助けてくれ。




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