初めまして。私は第一部隊分隊長をしている、シエラと申します。
ただいま分隊長会議が行われています。現在分隊長は10人いますが、出席しているのは4人だけです。
まず分隊長の中にちょうど夫5人、妻5人がいるので半々に別れて、新隊長就任後の体制について話し合おうということになりました。
こちらがわは妻5人の分隊長と言う事になったのですが、何故4人かというと1人分隊長が消えてしまったからです。どこに行ったのでしょうか。おそらく花嫁の塔に閉じ込められているのじゃないかというのが定説だが、誰も真偽を確かめに行かないし、いなくなった分隊長を補充していません。
ということで出席者は私シエラとグレイシアとフェルナンとデニス(欠席パトリック)4人になります。
「と、いう訳で俺はすぐ産休に入るので、お前達3人で夫たちをどうにかして欲しい」
すると私を含めて盛大なブーイングがグレイシアに起こった。貴様の夫が新隊長になるというのに、自分が補佐をせずに1人だけ産休に逃げるなんてもっての外だと。
「グレイシアの夫のイアンが隊長になるのに、自分だけ逃げるな!!!」
「そうだ、そうだ!!!」
「煩い! 俺は夫の躾はちゃんとしているぞ! お前達が夫の躾がなっていないからと言って、文句言うんじゃない!!」
その言葉に私達3人は押し黙ってしまった。確かに同じ変態の夫を持つ身だというのに、グレイシアはイアンの躾をちゃんとしていた。
イアンは初めは、人形を作っている美少年顔の性格のいい男だった。ただそれだけだったはずなのに、いつの間にか堂々と全裸でグレイ人形ちゃんを抱っこして一緒にお風呂に入り、甲斐甲斐しくグレイ人形ちゃんの服を着せたりし、それを全て全裸で行い、堂々と食堂でまっぱで食事を取り、リラクゼーションルームでも全裸でグレイ人形ちゃんといちゃつき、仕事以外の訓練ですら全裸だった。とにかく裸しか最近見たことがないような駄目な男だった。
顔は可愛いのに肉体は素晴らしくマッチョで、下半身の大きな物をぶらぶらさせて生活している分隊長イアン。だが結婚を期にグレイシアが躾をしだし、普段でもちゃんと服を着るようになり、グレイ人形ちゃんとも縁を切り、夜の生活を充実されているのか何故か夫のほうの喘ぎ声が聞こえてくるのが難点だが、とにかく普段は普通の分隊長をしているようになった。
「とにかく、みんな夫の躾をちゃんとしろ! 普段に変態さを出させるな! 変態なのは官舎の部屋の中にだけにするようにしろ!」
「グレイシアは良いだろうよ……イアンは操縦しやすそうだし。この前だって『やっぱり隊長になると、奥様は尊敬してくれるんだよね! 愛する旦那様のカッコいい隊長姿が見たいな、とか言われちゃった! 頑張らないとね! えへへ。グレイは隊長になった僕に物凄く淫らな事をしてくれるんだよ。やっぱりグレイ人形ちゃんは本物のグレイには適わないんだよね』とか言っていたし。良いな簡単な夫で」
私たちの夫は皆変態だ。
しかし変態には言って改善されるケースと、いくら言っても話し合う余地もない変態の二種類が存在する。
グレイシアの夫イアンは言って、餌をまけば改善されるレアケースなのだ。
「お前達も操縦すればいいだろう。素敵でカッコいい旦那様の赤ちゃんが欲しいとでも言えば、頑張ってカッコいい隊長になって夫として父親として恥ずかしくない男になります! って張り切るぞ」
「……それができれば……こんなことには」
「そうだな……全てがそんなに良い変態ばかりじゃないんだ」
「俺の夫のジュリアは、仕事は真面目にしているんだ。仕事は……だから真面目に仕事をしろとは言えない。あのパイパン信奉をやめてくれと言っても、本人は何が悪いのか分かっていないんだ」
そう、フェルナンの夫のジュリアは良い変態? のほうだとは思う。ただ、物凄くパイパン好きらしく、普段からパイパンをあがめて、宗派を作り上げ、パイパン信奉者たちと日々パイパンのすばらしさを風潮している。
しかも同じように隊長がパイパン好きだったせいで『ふむ、パイパンは素晴らしいものだ。皆熱心で良い』などと言っていたせいで、未来の国王も同じ趣味なんだ何が悪いと、反対するほうが悪いというような始末だ。
ジュリアは仕事は真面目にするだけに始末に終えない。仕事以外はパイパンの素晴らしさを語り伝道に時間を費やしている。
「フェルナン……ジュリアは昔はあんな奴じゃなかった気がするんだが、いつから、ああ、なってしまったんだ?」
グレイシアの疑問は私達の疑問でもあった。昔は皆あんなんじゃなかった気がする。私達の夫も昔はもっとまともだったのだ。
「……そうだな、切欠は隊長が出したパイパン令のせいだった」
フェルナンは遠い目で過去の事を思い出すかのように語った。
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