「エルウィンたちが奥様会を開いていて、悪の情報を仕入れて来ている! 対抗手段を講じないといけない。なので、旦那会を開催する!」

隊長(王太子:次期王様)とその弟のユーリ隊長と隣国ギルフォード王子(婿に入りわが国民になった)と第3部隊分隊長ロベルトが参加される旦那会というお茶会が開催されております。

初めまして、俺は第一部隊の分隊長をしている名も無き者です。エミリオ分隊長と同僚だが、いちおうあっちのほうが筆頭分隊長なので上司だったりします。今回この開催に当たって、護衛という名の……外部にはこの会話内容が流出しないようにする役目を貰いました!

わが国のTOPたちがアホな会話をしていることが絶対に外部に流出するな!とエミリオ分隊長とクライス副隊長より厳命を受けております!
クライス副隊長に言わせると、俺とエミリオ分隊長以外、アホばかりの分隊長しかいない! とのことで……俺は、隊長の『隊長に頑張ってカッコ良くなってもらってエルウィンとエッチをしてもらうための大作戦』に参加していなかったのに、他の分隊長と連帯責任にされて、一緒に媚薬を飲まされ部屋に閉じ込められ……あとで、エミリオ分隊長に悪かった、妊娠中で善悪の判断が鈍っていたと謝罪は受けたが……後の祭りで、同じ分隊長を務めている同僚と……まあ、どうでも良い事だな。

「俺はここに無関係な気がしますけど……なんだか一人だけ身分違いで、居心地が悪いです」

とロベルト分隊長が。まあ、気持ちは分からなくもない。彼は伯爵家の嫡子で身分も高いが、未だその爵位は継いでいない。あとの方々は次期国王・公爵・元王子のメンバーだ。

「ロベルトは俺の義兄だし、両思いで円満に夫婦関係を築いているから、兄さんの良い助言になるかと思って。エルウィンも元下級貴族だからどっちかっていうとロベルトの感覚に近いと思うよ」

「うむ、そうだな。エルウィンは王妃になるというのに庶民的な感覚が未だに抜けないといっているしな。それに、親戚となったのだ。遠慮することなどない」

そう皆様親戚です。隊長たちと王子の妻が又従兄弟同士。ユーリ隊長の奥様とロベルトの奥様が兄弟。というわけで、親戚仲良くお茶会(旦那会)という訳らしいですが……何故、俺が護衛をしないといけないかと言うと……隊長は素晴らしい方ですが、王妃様のことになると暴走して手が付けられなくなるからです。

「それで隊長が相談されたいこととは何ですか?」

「うむ、ギルフォード王子、実は……エルウィンがもう二度と子どもを産みたくないから、私と二度と性交渉をしないと言い出したのだ!!!(つω・。) どうしたら、エルウィンが私に答えてくれるか、私の子どもを産んでくれるか、考えて欲しい」

最近、隊長とギルフォード王子は仲が良い。同じ変態だから……いえ、だってあの作戦を仲良く一緒にやっていたもんな…と思い返す。俺はあの作戦を聞いたときに、絶対に失敗すると思った。だから俺はとばっちりを受けないように作戦には参加しなかった。
他の分隊長(全員で11人 エミリオ分隊長と俺を抜く9人)が暴走しているのを横目で見ていたが、あえなく一緒にとばっちりを受けて、嫁が欲しかったのに夫を貰うはめになった。

いや、俺のことは置いておこう。

「そうですか……俺の場合は、エミリオにオネダリしつつ強引に押し倒しますが、隊長はそうするわけにはいきませんか? あきらかに隊長のほうが強いでしょうに」

「それができれば、苦労はしない」

「俺もクライスが嫌だろうと、強引にやっていますよ。兄さんには強引さが足りないんです」

「そうですね。俺もマリウスが自分を卑下して、妻に相応しくないんじゃないかと言おうものなら、三日くらいベッドに沈めて頭がおかしくなるくらい抱いてやりますよ。初めは弱弱しく嫌だといっていますが、最後には可愛くなります」

他の旦那様たちはかなり強引に奥様たちに攻めているようですが、この奥様たちの中で最弱なはずのエルウィンは鬼嫁と名高く、隊長は強いのに強気に出れず、いつも泣いているのだ。
俺たち部下一同も隊長の股間の我慢のほどをよく知っているので、とても可哀想だとは思います。

「まあ、強気に出ろと言っても兄さんが強気になれないのは分かりきっているので、言っても無駄でしょう。他の対策を考えましょう」

「僕が思うに、王妃が拒否する根拠は子どもがこれ以上できると、淫らな体になるから嫌だという理由からですよね」

「うむ、ただの都市伝説なのに」

「まあ、ガセ半分らしいけど、エルウィン君は真剣に嫌がっているしね。ただ、過去の花嫁は自分の魔力が高かったせいで自己中毒(*造語:魔力弊害の一種)を起こしてそうなったらしいので、実はエルウィン君のようにそう高くない魔力の持ち主なら特に問題はないんですけどね。クライスのほうが余程危険でしょう」

クライス副隊長……(合唱)

「ならそうエルウィンに言って!」

「いえ、たぶん無駄だと思いますよ。危険性が少ない、ではきっと王妃は納得しないと思います。石橋を叩いて渡りたい王妃は例え確率が1%でも拒絶理由にすると思います」

「隊長、思うんですがもう2人王子がいらっしゃるので、3人目に拘らず…エッチできるほうに重点を置いてはいかがでしょうか?」

「エルウィン似の子も欲しいのだが……」

「ですがエッチをするだけにするなら解決方法があります。ようは妊娠しなければ拒絶理由にならない訳です。避妊されてはどうですか?」

「避妊……あれは難しい。意識してやろうにも、どうしてもエルウィンと合体をすると……快楽に抵抗できず、妊娠させてしまうのだ!」

避妊方法は、ようは夫側でしか支配できない仕組みになっています。夫が妻を妊娠させようと思わず射精の際魔力を一緒にのせなければ、妊娠はしないのですが、そういう瞬間です。どうしても本能でやってしまうらしいんです。これは一般的な男性の反応です。
隊長は命中率が良すぎるのと、おそらくこらえ性がないタイプなんでしょうね。ようは快楽に弱いんでしょう。
段々、経験を重ねていくうちにコントロールができるようになってくるらしいですが……可哀想に隊長は経験を積ませてもらえないので、避妊をコントロールするすべがないみたいです。
普通は数年たって、子どもが2人程度いれば男性側で避妊できるようになるらしいんですが、隊長はその条件をどちらも満たしているはずなのに、回数が余りにも少ないせいで無理なようです。
ようは早漏……あああああああああ、申し訳ありません。次期国王様にこんなことを思うなんて。うちの変態人形師と一緒にしてはいけません! 

「避妊具を使えばいいんですよ」

「避妊具とは何だ?」

「何でしょう?」

「知らないな」

ギルフォード王子の提案に皆さん知らない様子だ。それはそうでしょう。この方々は本来とても高貴な生まれで、下世話なことなど何も知りませんな、世界な人だ。その割には変態も生息するが……それに魔力の高い子は歓迎されるのだ。避妊の必要など本来はない。

俺が避妊具の存在を知っているのは、俺の部隊は、他国から入ってくる有害なものを取り締まる役割をしているからだ。避妊具なんてものが流行ったら、婚前交渉率が上がってしまう。だからそういったものを排除しないといけないことになっている。

上の方達が聞いた事も見た事もないのも無理はない。

「ゴムですよ。魔力遮断具の。こう性器につけてですね、挿入する魔具なんです。それをつければ、避妊できます」

「なんだと! そんな不気味な物をエルウィンの中に入れることなどできるはずがないだろう!」

「そうですね、俺もやりたくないな」

「俺もです。別に必要ないですしね」

「そうだな。たくさんクライスに産んで欲しいのに、そんな物使う必要性がない」

「そうですよね。俺もマリウスにたくさん産んで貰うつもりです。そうすれば子どもがたくさんいて、変な事を考える余裕もないでしょうし」

「私だって、エルウィンが子どもを産みたくないので何とか避妊の方法を考えてみたが! (つω・。) そんな物など使いたくないし! 子どもももっと欲しいのだ!」

だから、本来だったら2人くらい作っていれば避妊できるようになるはずなんです。隊長は圧倒的に経験地が少なすぎるせいで……

「他に避妊方法はないのだろうか?……100歩譲って、このままでは子どもができないどころがエルウィンの触れる事もできないから、せめてエッチだけでも解禁にしたいというのに」

「ご先祖様、秘薬だけじゃなくって兄さんのために避妊薬を発明してくれれば良かったのにね」

公爵家の花嫁の秘薬は悪名高い媚薬だ。他国にまで恐れられている。何故なら、過去の公爵たち(一族も含め)が魔力の高い魅力的な花嫁を誘拐して、媚薬を飲ませ妊娠させ……それだけなら不幸は花嫁だけだが、要するに魔力が高いということはその国での防衛の要だったり、王族だったり時には王様だったりする場合もある。魔力の高い花嫁を浚って子どもを産ませ、わが国は潤うが、他国はたまったものではなかっただろう。

「避妊薬など今まで必要なかったから開発されなかったのでしょうね。今からでも開発してはいかがですか?」

ちまたには効くか効かないか分からない避妊薬も売っている。ただし、ほとんど効果はないらしい。バッタものだ。

「それができればっ!」

「そういう方面で、俺たちって才能ないんですよね。媚薬は作れても、避妊薬とかって本能が拒否するのか、全然作れるレシピ思いつかない」

何でもできる魔力の持ち主のご兄弟でも、嫌な事をする才能には恵まれなかったというわけですね。
媚薬を開発できる才能って、いったいと思わないでもないですが。だいたい何で媚薬を使うんでしょう。

「そういえば何で媚薬を使うんですか? それこそ今の時代花嫁さらって来ないので必要ないんじゃないですか?」

「……エルウィンが処女だったからだ」

「……俺もクライスが痛くないようにって」

「……僕も、エミリオが感じないから、気持ち良くさせてあげたくって」

あ、なんというか……分かった気がします!

皆さん、童貞でしたもんね!(ギルフォード王子は除くが)
童貞だからテクに自信がないんですよね!
だから、奥さんたちに媚薬盛るんですね!

俺の夫も初めは……いや、俺の夫はここでは関係ないだろう!

「俺のマリウスは初めてでも感じまくっていましたよ。もう搾り取られるかと思うくらいでした」

ロベルト! お前は空気読める人間のはずだろう! 何故余計なことを言うんだ!
マリウスはお前にべた惚れだから、感じまくるだろうが、エルウィンもエミリオ分隊長も夫に惚れていなかったんだ。あれ? クライス副隊長もユーリ隊長にべた惚れのはずなのに、おかしいな………いや、いくらべた惚れだったとしても、やはりユーリ隊長も最初は下手だったのだろうか?

「特に初めてが騎乗位だったせいか、今でもその体位をすると」

「ロベルト……お前、マリウスにばらすぞ」

ポツリとユーリ隊長が。
何だか物凄く今殺伐としています。ユーリ隊長、自発的に騎乗位してもらっていないんですか? 俺もしていませんけど。

結局殺伐とした雰囲気のまま、避妊具を使用してみるという案しか出ないまま、お茶会は終わってしまいました。って、皆様お茶飲んでいませんでしたよね。


その後俺は最後まで隊長の護衛をしました。ええ、夜の騒動がばれたら困りますからね。


「何てグロイもの持って来るんですか! こんな物を使ってまでエッチしたいんですか? 動物ですか? いえ、動物のほうがしつけができる分、隊長よりはマシかもしれませんね! 隊長はエッチしたいだけの、性衝動の持ち主なんですから! それ持って、寝室から出て行ってください!!!!」

(つω・。)(つω・。)(つω・。)

その夜、隊長が寝室の前で恒例のように泣いているのを目撃しました。
隊長(つω・。) 俺も隊長の部下として涙が出てきます。


END
昨日の隊長の人気がすごくて、続きを書いてしまった。
安定の隊長でした。エルたんにエルたん似の子を産んでもらえる日は来るのでしょうか・・・



- 118 -
  back  






×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -