今日はエミリオ宅でお茶会だった。

エルウィンは王城にいてお茶会をきっかけにお出かけしたいらしく、うちの公爵家の城で開催する事が一番多かったが、今日はエミリオ宅にお邪魔することになった。
その際、エルウィンと俺の義理の母である公爵夫人もエミリオの息子のギルバードを見たいと言い出して、お茶会に参加することになった。

「もうね、息子二人とも堅物で、ユーリなんか母上の決めた子と結婚しますよとか、そういうこと言うの。僕はね、恋愛結婚して欲しかったから、婚約者とか作りたくなかったんだ。それとなく、候補は潜り込ませたけど……でも、二人とも愛する人を見つけて、結婚してくれたから嬉しいよ」

「僕とアンリ様の子たちだもの。いい旦那様たちでしょ? 結婚して良かったでしょ?」

俺とエルウィンは、いいえ……とは口が裂けてもいえない雰囲気だった。

だって義母上の馴れ初めを聞いてしまったからだ。それは、それとなく聞いていた。一国を半壊にしかけた義父上の話は。どうして一国を半壊?と思ったことはあったが、詳しくは聞いていなかった。というか聞きたくなかった。だってあのユーリの父親だ。ろくなことはしないだろう。
しかし俺が見る限り義両親とも、とても穏やかで良識的で、俺たち嫁にも優しい。とても可愛がってくれていて、そんな変なことをする人たちとは思っていなかった。
好意的に見て、きっとこの美しい義母ユアリス様はその美しさのために誘拐でもされて、義父アンリ様が助けに行き、一国を半壊し仕掛けたのだろう、くらいに思っていた。
だがユアリス様はとても美しいが、とても強い。とても誘拐などさせてくれないだろう。妊娠中ならそれもありだろうが。

しかし実際に話を聞くと、その破壊力に驚く……ユーリは精神を操る系で俺を奪ったから、義父ほどの派手さはない。そのため、誰も(一部を除いて)ユーリのしでかしていることを知らない。一見地味だが、ユーリは狡猾で精神を絡めとるように掴んで離さない非道ぶりだ。
義父上とユーリとどちらがマシなのだろうと、恒例の駄目な男と夫を比較をしてしまう。どうしてだろう。何時もユーリが最後には勝ってしまう。

しかしやはりユアリス様たちにもドン引きだ。この両親あって息子がありと納得してしまう。

しかも息子への教育がなってなさ過ぎる。
どこの親が幼い息子へのプレゼントに花嫁の毒薬など渡すんだ!
超強力媚薬だぞ!
俺も何度使用されたか……(遠い目)

「……はい、ユーリと結婚できて良かったです」

「……俺も、隊長と結婚できて……できて……光栄です」

エルウィン、上手く逃げたな。王妃になるんだ。光栄ですと社交辞令で逃げた。

「だよね? エミリオもごめんね、お嫁さんにって考えていたんだけど、エルウィンがお嫁さんに来てくれたから。でもいいお婿さん見つかって良かったね。僕の息子には劣るだろうけど」

「…はい、隊長には劣りますが、いい婿が来てくれました」

エミリオ、お前、棒読みだぞ。
最近、エミリオとギルフォード王子は円満にいっている様なので、隊長よりもいい夫だろうとエミリオ的には思っているだろう。
隊長のような変態さもないようだしな(大いなる間違え)

「エミリオ! 遊びに来たよ!」

ん? 突然部屋に乱入してきたのは……ギルフォード王子に良く似た顔の青年だった。腕に赤ん坊を抱いている。

「義母上っ! ……あの、すいません。今お茶会でお客様を招いているんです」

エミリオは言外に出て行けと、おそらくギルフォード王子の母親に言っているが、彼は物凄く気にしない性格なのか「お邪魔します」と言って、あいている椅子に座ってしまった。

この人が噂に聞くリエラ国王なのだろう。

「皆でお茶会なんだね〜ママさん会? 僕も入れてよ。22年ぶりだけど、僕も子ども生まれたばっかりだし」

42歳にして二人目を産んだ兵らしい。そんな年には全く見えないが。

「君たちがユーリと隊長の奥さんなたちなの? 聞いているよ、夫たちの変態ぶり……世の中にはそんな変態で、幼児化した夫がいるんだってびっくりしたもん。夫ならもっと頼もしくって、信頼できるような人じゃないと嫌だよね。パンツ収集するんだって? エミリオは良かったね、そんな人の奥さんにならないでってよく話しているんだ。ギルは頭はいいし、常識的だし、変態じゃないし、ちょっと早漏らしいけど、でも隊長って人よりかはマシだよね」

エルウィンをこき下ろし過ぎだ!!この国王……か、可哀想だろう。
俺の夫もパンツ採集はしない……しないけど、俺の夫だって相当な物だし。

「それにユーリって子、物凄い陰険なんだって? 妻を平気で騙したり、操ったりで、人間の風上にもおけないような男なんだって? この国の人、リエラをハーレムのある国とかって馬鹿にするけど、こっちの国のほうがよっぽど魔法を使って無茶苦茶しているし。本当に可哀想な奥さんだね。その点僕のギルは」

いえ、貴方の息子も平気で人を騙しますよ。
とはいえ……ユーリよりは……ユーリ、ユーリ……産後、俺の精神が戻っていない間にどれだけ破廉恥なことをされたか……思い出したくもないほどだ。

――息子にだけじゃなくって、俺にもミルク欲しいな。
今の俺だったら魔法でぶっ放すが、あの頃の俺は……恥ずかし気に、飲んでと……

――クライスの綺麗な裸を光の中で見たいな。
青姦要求をされ、俺は恥ずかし気にユーリが望むならって……庭で……

――この可憐な口で俺のを可愛がって欲しいな。
死ね!!! ユーリ!!!! 
なのに、あの頃の俺は……

本当に、悪行の数々を思い出すにつれ……涙が出てきそうだ。




クライス様おこ
ユアリス様もおこ



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