花嫁の塔。公爵家の敷地内にひっそりと立っている、かつて使用されていた公爵妃を閉じ込めるための塔だ。
王家と公爵家は、始祖は兄弟で互いに高い魔力を持っている。だがどちらが上かと言われれば、公爵家の代々の当主のほうが高い。
それは流石に王妃はどこからか浚ってきた、というのは国の対面としてなかなかできないが、公爵なら別だ。国内・外国問わず高い魔力を持つ魅力的な男性を力づくで誘拐し、閉じ込めたのはこの塔の始まりだ。

ここ数代は使用されておらず、また王族も向い入れたことのある公爵家で、当然僕がアンリ様と結婚するとしたらこの塔に閉じ込められるはずはない。普通に公爵夫人として向い入れられただろう。


「ユアリス、本当ならお前をこんな塔に閉じ込めるつもりなどなかった。だが、お前が国王の命令で私以外の男のものになるなどと言うから仕方がないのだ。お前は私だけのもののはずだろう? 違うか?」

いいえ、違いません。アンリ様……でも今のままでは、僕はアンリ様の妃にはなれない。王侯貴族の婚姻には国王の許可が必要なのだ。婚姻の許可が得ないままでは、僕はアンリ様の愛人にしかなれない。そしてこのままではアンリ様のおっしゃるように、見た事のない男の物になるしかない。

僕はアンリ様の妃になりたい。アンリ様の物になりたい。

「アンリ様……僕は愛人にはなりたくなりません」

「そんな物にするつもりはない……私の物にしてしまえば陛下も婚姻の許可を出さざるえまい。この塔で、私無しではいられない身体になってから、私の花嫁になるのだ。愛している、ユアリス」

勿論僕に拒否なんかできるはずもない。アンリ様にずっと守ってきた純潔を捧げる。
僕がずっと願ってきた事だ。

ただ王子の僕は、兄の命令に逆らってアンリ様に僕をアンリ様の物にして欲しいと懇願することはできない。だからこうやって強引に奪ってくれることを期待していた。

「美しい……ユアリス。お前はこの国で一番美しいだろう……初めて見た時から、何故もっと早く出会わなかっただろうと後悔した。もう少し王族の方々に関心を持っていれば、幼い頃のユアリスにも会えただろうに。そしたらもっと早く結婚できただろうに」

「僕はやっと18になったばかりです。これ以上早くアンリ様とは結婚できませんっ……ん」

アンリ様が僕の服を脱がしていく。それは初めてではない。アンリ様と結ばれた事はなかったけれど、きわどいことは何度もあった。
でもやっと僕はアンリ様に征服してもらえるのだと思うと、嬉しくて涙が出そうだった。

「ユアリス泣くな……私が嫌いではないだろう?」

アンリ様は僕が嬉しくて泣いているとは思わないのだろうか?
だけどそんな恥ずかしいことを言えないし、僕が嫌がっていると思っているのなら……余計にアンリ様は僕を欲しがってくれるかもしれない。公爵は手に入らない物などほとんどない。そのほとんどないうちに、手に入らないのが僕だとしたら? きっとどんなことをしても、僕を手に入れようとしてくれるかもしれない。

「アンリ様、僕はアンリ様の花嫁になってから結ばれたかったっ……あ、んっ、駄目ですっ」

これまでアンリ様は僕の後口を弄ることはあった。指を入れて、ここで私を受け入れるんだ、初夜のために慣らしておこうと何度も指を挿入されたことはあった。
けれどそこに口付けされたことは流石になかった。舌で愛されることも当然初めてだ。

「私を受け入れるためだ。私もお前をちゃんと花嫁にしてから処女を散らしたかった。だからこれまで散々我慢してきたんだっ……だが、お前が他の男の物になると言ったから、もう我慢をすることができないっ……」

「あっ、あっ…アンリ様っ」

「これでもうユアリスは処女じゃない……もう私以外と誰とも結婚できないな」

満足そうに微笑むアンリ様に、僕はアンリ様を初めて受け入れた衝撃で返答できなかった。あまりにも大きくて息を吸うのも難しいほどだった。痛みじゃなくて、ただ苦しい。けれどそれがアンリ様のものになった証と思えば、何でも耐えられた。

アンリ様は僕の顔の横に手を突いて、衝撃に耐える僕に何度も口付けてくれた。

「動くぞ、大丈夫か?」

「はっ、い」

アンリ様の巨大な物が僕の中を何度も行き来するのが分かった。埋められたときは物凄く重苦しくて、ただ精神的にはアンリ様の物を受け入れられたという嬉しさで耐えられた。

「あっ、アンリ様っ……駄目ですっ」

「何故だ? お前の物はもう泣き出しそうなほどパンパンになっていると言うのに。何が駄目なんだ?」

「だって……あ、んっ」

僕は初めてだと言うのに、恥ずかしいほど感じていた。閨でのことは既婚者の者から聞いていただけで、実際に見た事もなければ当然体験するのは初めてだ。初夜は痛いし、快感を得るには相当長い経験が必要かもと聞いていたのに、僕はたったの一回目で気持ちよさ以外何も感じていない。

アンリ様が僕の最奥をついてくれる度に、僕は自分の下肢が濡れていくのを感じた。それにアンリ様が気がつくと嬉しそうに触れてくれ、僕が零したものを指で取り舐めて僕をより羞恥させる。

「知らなかった、ユアリスがこれほど淫らだったとは。これでは隣国の王も困った事だろう……貞淑だと思って向いいれた王妃がこれほど淫乱だと分かったら……わが国も王子がこれほど淫らだとは知られたくないだろうから、やはり私以外娶ることなどはできなかったに違いない」

「違いますっ……アンリ様だからっ、僕」

「ユアリス……可愛いことを言うな。そんなことを言われたらもう、もたないっ」

「あ、あぁっアンリ様、アンリ様のがっ」

アンリ様が僕で達してくれたことが分かった。僕の腹の中はアンリ様の精で満たされて、そして散らされた。もう僕はアンリ様以外と結婚できない。



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