小説(両性) | ナノ

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ライルにユインがあった日は、まだライルが3歳ほどの時だった。ユインははじめてみた黒髪の丸い頬をした小さな小さな少年を一目で気に入ったのだ。それからライルはユインの特別となった。公爵家側もいずれは皇帝になるユインの側近にでもという狙いもあったのだろう。ライルを頻繁に城に連れくるようになった。

「……少し勘違いしているんじゃないか?一緒にいすぎたせいできっと勘違いしている」

「そんなことありませんっ!!ずっとずっと……叶わない想いだと思って諦めてきました!……でも、でもほんの1%でも陛下が俺を見てくれるならって……ごめんなさい。気持ち悪いですよね……」

「いや…別に気持ち悪いとは思わないけど」

むしろ驚きのほうがずっと大きい。今床で転がっている元老院からの押し付け軍人の絵姿よりは余程ライルのほうがマシに違いない。可愛いし、ユインより小さいし、清潔感に溢れている。

「女に興味が出て来たのか?そういう年頃だよな」

ユインにではなく思春期特有のものだろうと検討をつけてみたが。

「違います……女ではなく陛下に興味があるんです」

「それは……」

「本当なんです!……何時一人でする時思い浮かべるのは陛下のことばかりで……不敬だと分かっていても止められませんでした」

赤裸々に語るライルの言葉に流石にユインもライルの本気さを認めないわけにもいかなかった。

「女を抱いたことは?」

まだ12では早いが社交界で早熟な少年なら経験していても珍しいことではない。

「いいえっ!陛下以外となんて!……勿論陛下とは無理だってちゃんと分かっていました。だから一生独身でいるつもりでした」

思わず溜め息をついた。こんな少年がこんな幼い顔で、こんな決意をしているなんて。いずれ成長するにしたがって消えていく幼さ故の潔さだろうが、ユインはライルの願いを今この時だけでもかなえてやりたかった。

「俺の寝室は何処にあるか覚えているか?」

「えっ?……」

「昔は良く一緒に寝ただろう」

まだユインも皇太子時代には自由がきいたのでよくライルと一緒に眠った。皇帝に即位したのちもライルは良く警備の目を掻い潜って会いにきたものだった。

そのライルをユインは苦笑して迎え入れて寝かしつけてやったのだ。ここ数年はそんなこともなかったけれど。

「へ、陛下」

「お前の想いを適えたいなら……おいで?」

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