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少しライルに悪いかな、とはユインも思った。ライルの真剣な想いに答えられないに、身体だけ与えようとしている。しかもまだたった12歳のライル相手だ。これでは物慣れない少年に手解きをするのを楽しみにしている、社交界の悪趣味な貴婦人と同レベルだ。
「……来たか……ライル」
窓も寝室の扉も開いていないのは、皇族しか知らない隠し通路を通ってきたからだろう。
「おいで……そんなところで立っていないで」
ユインはもう寝るだけになっていた薄い夜着を少しはだけさせて、自分では自覚しないまま誘うようにライルを真っ直ぐにみた。
その視線を浴びせられただけでライルは震えた。それは勿論恐怖ではなく、間違いなく興奮からくるものだった。
自分にライルは欲情しているのだとはっきりと分かる。傍目にも可哀想なほど、ライルはその身に宿った情熱をどう対処したらいいか分からず、うろたえているのだ。相手がユインでさえなければ、こうもうろたえないだろう。ライルよりも身分の高い相手はそうはいない。
「どうした?ほら、ここに来てお前の好きにすれば良い……お前の好きに抱いて良いんだよ。お前のものだ、全部……ライル」
「陛下!……本当に俺のものにしても良いのですか?」
そう問い掛けておきながら、ライルはユインの答えを待たなかった。
「陛下っ!!……陛下……夢みたいですっ。貴方をこの手に抱けるなんてっ」
「大丈夫、夢じゃないから」
だからそんなに力を入れて抱き締めなくても大丈夫だと諭そうとしたが、その前に降りて来た唇に呼吸を乱された。息もつけない。そのまま豪華な夜着を破るようにライルは引き裂いていった。余りのライルの余裕の無さに、ユインは一抹の不安を感じた。
「ライル……お前やり方分かっているのか?」
女は知らないと言っていたが、まさかやり方も知らないまま勢いだけでやろうとしているのではないかと危惧した。
「……一応、話だけは聞いてきました……でも実践は初めてです。上手く出来なかった、申し訳ありません……」
「いや、俺も男相手は初めてだし……気にするな」
これはもう明日立てないことも覚悟してユインはライルの自由にさせた。女とのやり方を知っているユインがリードしてやれば良いかもしれないが、生憎そんな高等テクニックも持っていない。ライルの好きにさせておくのが一番楽だった。少なくても精神的には。
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