小説 | ナノ

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「そんなの!……最初にっ!…お前を殺した時から諦めている!だから殺すしかない!お前が俺以外と結ばれる前に、お前を殺すんだ!」


あはん。そういうこと?こいつは毎回俺と何十回と心中してきたのって、殺したのを許してもらえないから、殺し続けて他の人とハッピーエンドになるのを邪魔し続けたっていう訳?

そんなの分からんわ。


「まあまあ……言っておくけど、俺はお前の事嫌いじゃないぞ?」

「嘘だ!……俺はお前を殺したんだぞ!憎まないはずないだろ!」

「うん、まあ、そうなんだけど……」


なんていうかねえ。


「……俺もあの時、酷いこと言ったしな……お前の必死な想いをあざ笑うような態度を取っちゃったしな……」


初めて告白された時にメタメタに言ったからな。まあ、俺もあの時代の同性愛者なんか死ねっていう価値観に染まっていたから。

だから、こいつは死を選択したっていうのもあるかもしれないって今思うと、冷静になって考えてそう思った。


「今生きているから、お前を許しているし……嫌っちゃいない。けど、この時代まで殺したら、もう来世からやり直しなんかできないと思えよ」


今の時代はこうやってニートながらも生きているので何とか許しているが、まあ、これで殺されたらもうアウトだと通告した。


「お前が俺のこと好きだって知って、一番長く一緒にいるだろ?……セックスもしまくっているんだし、もう他のヤツに顔見られたくらいで殺さないでくれ。分かったな?他のやつとセックスもしないし、できるだけ会わないし、閉じこもっているから」


ヤツの首にかかる力が減ってきた。まあ、片手だし、俺も押し返していたんでそれほど苦しかったわけじゃないけどな。


「至……いたる」


泣きながらヤツは俺の名前を読んで、俺の体中を弄ってくる。片手が使えないんでもろ俺に体重をかけて、泣きながら無理矢理挿入してくる。


「ちょ、慣らしもせずに入れるな!」


片手だから難しいので、入れようとしているけど挿入できないようだけど、慣らしもせずに突っ込む気かよ。心中の時は何時もそうだったけど、この621日間は違っただろ。


「ほら、片手でもジェルで指で慣らすくらいできるだろ!ほら、つけてやるから!」


流石に俺も自分で自分の穴解すのは嫌だからな。こいつにやらせる。片手ではジェルも搾り出せないと思って、俺がわざわざジェルを出してやったし、あいつの性器にも大量につけてやった。

どっちかにでもついていれば、何も無いよりはかましだろ。

っていうか、俺がここまでやってやっているのに、何だコイツは。何時までも泣いていて。泣いているだけならともかく、泣きながら勃起はしているんだから、どうしようもない男だな。


「そもそも何で泣いているんだ?おい……」

質問にも答えずに、ジェルで穴の中を簡単に濡らすと、再び強引に挿入してこようとするので、俺は上手く入れれるように大股開きになってやって、誘導までしてやった。

犯されるためにこれだけ協力してやっているのに、泣きながら腰を動かしているヤツは無言で俺を貫くだけだ。

何して欲しいんだよ……

ほとんど慣らしていないって言うか、ジェルぬっただけなので痛いけど、切れていないかな?まあ、俺も621日(ずっとじゃないけど)現世ではコイツとセックスしているし、受け入れるのも慣れたもんだ。

前立腺を乱暴に突き上げられるだけでイケる体になっているから、前を弄られなくても快楽を拾えるようにはなっているけど。ほとんど突っ込まれるだけのセックスではあんまりイキたくないなあ、と犯しているほうが泣いているセックスを他人事のように見ていた。

10回くらい出し入れしただけで、俺の中に精液を放ってぎゅっとまた体重をかけて抱きついてきた。早漏かよと思ったのは内緒だ。

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