小説 | ナノ

  4


しかし

「しまった……鍵がない」

この学校はどうもカードキーで全て決算する仕組みになっているようで、部屋の鍵とも共通のようだ。外出するときにオートロックだと知らず(初めての外出でしたから)そのまま出てしまった俺は部屋に戻る術がなかった。


どうするんだ?鍵を開けて貰おうにも、俺って失踪人だろうから、マズいよな……

寮の管理者が誰かも知らないし、分かっても生徒会長の部屋のキーを渡すはずないし、お前誰?って言われてしまうだろう。


すると俺が失踪人だとばれるかもしれない。


監禁されていました、助けて下さいというのも1つの手だし、またはこの学園から逃げ出しても良い。


しかし逃亡も助けを求めるのも、1つ難点がある。それはヤツが目覚めたら、間違いなく殺されるという事だ。世界の果てまで追ってくるだろうし、普通のストーカーとは次元が違うからな。諦める事はなく、どこに逃げても追ってくるだろう。

だって時を超えたストーカーだぞ?何百年って心中歴があるんだぞ?

まだヤツが生きているのにそんな危険な事はできないだろ?

俺はとりあえず大人しく部屋に戻りたい。これが一番平和な解決方法だろう。しかし誰にも頼れないときている。

取り合えずヤツを探してみよう。死にそうなら、逃げれるかもしれないし。

寮内の病室ってどこだ?とことこと探してたどり着けた。

まあ、ヤツは寝ているが、無茶苦茶重症って訳じゃないだろう。寮内の病院にいるくらいだから。見る限り外傷は手の骨折くらいか?ギブスがはめられている。

これは死なんな。意識不明の重態って言うから今にも死ぬかと期待したが、とても死ぬようには見えない。


「殺すか?……」

今までの人生全部こいつに殺されてきたからな……今世では俺が殺すのもありかもしれない。

そうすればこのメビウスの輪のようになった、心中サイクルから抜け出せるかもしれない。

俺はヤツの首に手をかけた。


が、そうそう人殺しなんかできるもんではない。ヤツみたいな狂った人間でもない俺は簡単に人を殺す事なんかできないのだ〜……

だって殺した後どうするよ。失踪者になっている俺がのこのこ家に戻ったら怪しまれるし、殺人者としてこの先の人生を生きていきたくはない。それこそ、こいつを殺した後自殺するしかなくなるから、今世では俺が無理心中するほうかよっ!ってなる。

だから、まあ、無難にニート生活するしかないな……逃げたら、起きたあとに殺しに追ってくるだろうしなあ。

ヤツの荷物からカードキーを抜き出して、俺は部屋に戻った。あ、その間に購買で食料は買い込んだよ。


prev / next

[ back to top ]




×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -