小説 | ナノ

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「お前誰だ!?お前みたいな美形まだいたのか?!名前なんて言うんだ!答えろよ、失礼じゃないか!」

は?何なの一体?

後ろにちょっと美形集団をはべらしたマリモっぽい不潔な生き物が、唾を飛ばしながら物凄い勢いで突進してきた。

俺のご飯に唾が……もう食べられないなと、スプーンを置いた。

「なに、あの不潔な生き物?」

隣の可愛い子に聞いてみた。

「あのマリモは編入生で何が良いのか、生徒会長様以外の生徒会役員や風紀委員を虜にしてしまって、この学園を半私物化しています。趣味は美形の方々をはべらす事のようで、たぶん貴方も狙われています」

「会長はどうしたの?」

「会長様は、マリモに振り向かなかったため、マリモが逆上して階段から突き落として今意識不明の重態なんです」

どっかで聞いた話だな。

ということは、ヤツが死ねば俺は晴れて自由の身?

「万里が話しかけてやっているのに無視とはいい度胸ですね」

「っていうかこんなやつ学園にいたか?」

「気に入らない」

「お前、俺の恋人にしてやる!」

ええ???ヤツっていう自称運命の恋人で生まれ変わってもストーカーしてくる男がいるんで遠慮します。っていか、マリモとヤツだったらヤツのほうがまだマシだろ?
っていうか、気持ち悪いから近づかないで欲しいんだけど。

「気にしないで下さい。あの人たちは生徒会長様のオマケのようなものです。ちょっと美形だからと思っていきがっている何の実力もない生徒会役員(その他)です。貴方の美貌に嫉妬しているんですよ」

まあ、ヤツのほうが美形なのは確かだ。
マリモの周りは多少美形かな?という感じでコレクションには多少物足りない感じだろう。

だからヤツに振られて階段から突き落としたのか?

「っていうか、何で生徒会長を階段から突き落としておいて、停学にも退学にもなっていないんだ?」

「うるさい!遼が悪いんだ!俺が恋人にしてやるって言ったのに、いらないって言うから!」

「いやあ〜普通、君みたいな汚らしいマリモ相手にしないでしょ。俺も君なんか恋人にするくらいだったら、会長さまに尻掘られたほうがマシだと思うの」

いや、しょっちゅう掘られているけどね。だけどねえ、美形を見つけては俺の恋人にしてやるって言う、なんというか死ね★って思うようなマリモよりもヤツのほうがまだマシだね。

ヤツは頭がおかしいし、俺の何十回って言う人生、ヤツのせいで台無しになっているんだけど、不思議と憎しみは感じないんだよね。

親友だった頃、きっと死ぬほど悩んでいたんだろうなあと思うし。

あの頃は、同性愛者なんて見つかったら火あぶりの刑だし、石投げつけられて人間っていう扱いされなかった時代だからなあ。きっと死ぬほど悩んで悩んで、心中するしかないって思ったんだろうな。

でもそれからの行動はいただけないけど。少なくても現代はそんなにホモ迫害されていないんだから、心中なんかする必要ないし、ここまで堂々と同性愛が蔓延っている学校なら、俺通わせて貰ってもよかったんじゃない?

まあ、ヤツは俺を一目でも他のやつに見せたくないらしいから仕方がないけど。

毎回生きている間はヤツのことは思い出さずに死ぬ寸前に思い出すから、まあ、憎む時間もそんなにないのが現実なんだけどね。


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