小説 | ナノ

  3


「会長……あんなに、俺のことを好きだって言ったくせに…簡単に忘れちゃうんだ」

俺はベッドに横たわると、会長との一年間を思い出して涙に暮れた。

「絶対に思い出すなよ!!!」

これまでの一年間、会長の束縛に涙した俺にとっては、会長の記憶喪失は一生のプレゼントくらい嬉しいものだった。

本当に俺のこと忘れたの?って万歳三唱したい衝動を抑えるのに、一生分の忍耐力を使い果たしたほどだった。

このままマリモ星人とくっついてくれ。

俺は可愛いチワワちゃんたちと幸せになります★

「会計様、大丈夫ですか?」


喜びの涙を流す俺を心配そうに見る可愛いチワワ。

俺の親衛隊の副会長です。もろ、俺の好みの顔でキュンときちゃう。会長の俺様イケメン鬼畜顔じゃあ、こんな気持ちにはならないなあ。

正直、会長に尻でいける身体にされた時には、もう一生ネコの覚悟していただけど、こうしてちゃんとチワワちゃんといけないこともできたし、もう会長に開発された過去は俺も記憶から抹消しよう。

「会長様があんなことになって、さぞ会計様もお辛いと思います。でも、会長様がいるのに、僕と」

僕とにゃんにゃんしちゃ駄目?

え〜今更じゃん。

「だって会長、俺のこと忘れてマリモのことを恋人だって思ってるんだよ〜俺なんて知らないって、出てけって。マリモ星人と異世界に旅だっちゃったんだよ〜俺ちょう悲しいの。だから、慰めて」

「会計様……なんてお可愛そうに。僕でよろしければ……」

ああ、可愛い〜〜。やっぱり俺ってカワイ子ちゃん抱いているほうが性に合っているよ。もう一生ネコなんてしないね。

とか、副隊長といちゃこらしていると、突然ドアが開いて、副隊長が宙に舞った。

いや、本当、人間ってお空を飛べるんだね……一瞬現実逃避しちゃったよ。

俺の部屋を勝手にあけられる人って……1人しかいないんだよね。


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