苦痛の日

「冥子ちゃん!」
「…」
「シカト?!」


苦痛の日


今日も暑い。
それも、この温度と横で騒ぐ男、千石清純のせいだろうか。
何故か千石清純に慕われている。
そう。それも、もう3ヶ月も経とうとしていた。
同じクラスになり、すぐに行われた席替えから隣になり、やたらと話しかけられる。
最初は普通に話をしていたが、だんだん鬱陶しくなってきて、最近ではシカトが通常運転だ。
ただ、話すだけなら良い。
だが、千石清純と言う男は、それだけでは済まない。
一緒にお昼を食べようと言い、部活がない日は一緒に帰ろうと言う。
そして、一緒に登校しようと言うのだ。なんなら、テニス部のマネージャーになって欲しいと言う。
私は、千石清純の彼女ではない。断じて彼女ではない。
ただの隣の席女Aである。


「俺、冥子ちゃんがマネージャーやってくれれば、ちょー頑張るよ!」

千石は笑顔でこちらを見ている。

『やらないから。』

「やって!」

『やらない!』

押し問答。
これが毎日続いている。

『千石は、なんでそんなに私にマネージャーやってもらいたいの?』

「冥子ちゃんがいたら頑張れるから!」

『別に千石は女の子なら、私じゃなくても良いでしょ?』

「あっちゃー。冥子ちゃんなんで知ってるのさー。」

千石は机に項垂れた。
有名な話だ。
千石清純は女の子が大好きだと言う話。
それは、山吹中学の時から有名な話。
高校生になっても変わりはしない。
千石は身体を持ち上げて
「でもそれは昔の話だよ!」
と強く言ってきた。

『よく言うわ。だから、他の子紹介してあげるから勘弁して。』

「えー!やだ!」

『ほら、もうチャイムなるから!』

朝の千石とのお喋りタイムは終了。
今日も長い一日が始まる。

2015/05/13

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