どちらかと言うと、君フェチ[高校生/同級生/激甘]


土曜日、朝起きたら目が痛くて、コンタクトが着けれなかった。

とりあえず、ダッシュで眼科に行ったら結膜炎だそうだ。

眼科の先生からコンタクト使用禁止令が出たので、眼鏡で過ごすことを余儀無くされた。

日曜日はバイトだったのでいいが、問題は月曜日からの学校だ。

眼鏡かけるぐらいなら正直、学校にも行きたくない。
だが目が見えないのでは黒板を板書できないので、しょうがなく眼鏡をして登校した。

出来れば、結膜炎が治るまで誰も眼鏡には触れないで欲しい。

ただのインテリにしか見えないし、だいぶ昔に買った眼鏡をつけているから、黒縁とかそんなオシャレな眼鏡じゃない。

今時には珍しい銀フレームの眼鏡。


「おはようさん。」

1番最初に声をかけたのは、朝練終わりで来た忍足くんだった。

「ああ。忍足くんおはよう。」

忍足くんの声がする方に顔を向けた。

「うわっ!眼鏡かけとる!」

ああそや眼鏡かけてるんだった。

「うっさいわ。」


「どないしたん?!」


「結膜炎でなー。コンタクト禁止やねん。」


「なんや自分、裸眼ちゃうんかい。」


「私は忍足くんみたいに野生人ちゃうからなー。」


「誰が野生人や!阿呆!」

忍足くんとはいつもこんな感じで、これ以上眼鏡のことは弄らないで欲しい。

お願いだから今日限りにして。

「謙也、女の子に阿呆とか言ったらあかんで。」

後ろから更に聞こえてきた、謙也を呼ぶ声。

今日一番会いたくない人と言っても過言ではない。

出来ることなら、眼鏡の間は会いたくない相手。

「おはようさん。」

「…白石くんおはよう。」

白石蔵ノ介

「なんや、眼鏡よー似合っとるで。」

「気使わんでええわ。」

「気なんて使うてへん。」

そういいながら、彼は前の席に座った。

白石くんは四天宝寺の人気者で、男子にも女子にも人気がある。

中学ではテニス部を全国大会に導いた部長様。

それは高校生になった今でも、その強さと部長ぷりが発揮されている。

彼と縁があったのは中学3年生の時で、クラスが一緒になった。

その時は、「まさか、あの白石くんと同じクラス?!」と、まるでアイドルを崇めるような気持ちであったが、それが次第に彼と話すようになり、恋心に変わっていった。

気がつけば高校生になり、一緒の学校に進んだ。

1年生は同じクラスで、2年生では離れてしまったものの、3年生でまた同じクラスになった。

白石くんは荷物を机の横に掛けて、身体をこちらに向かせた。

あんまり見ないで欲しい。

「どないしたん?眼鏡なんて初めて見たわ。」

「結膜炎になってしまったんや。」

「そらあかんわ。にしても、ほんま眼鏡姿もかわええな。」

白石くんは私の机に肘をついて、私を見つめてきた。

「えっちょ、あんま見んでや!」

私は眼鏡を外した。
きっと彼は眼鏡を見てるだけ。

「眼鏡かけてる冥子ちゃん、めっちゃかわええから脳内保存させてもらたわ。」

「し、白石くん?」

「どないしたん?」

「眼鏡フェチなん?」

白石くんにそう聞くと、彼はフッと笑って答えた。


「どちらかと言うと、君フェチやな。」

眼鏡じゃなくて、冥子ちゃんフェチ


2014.05.30


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