君に宛てたメッセージ[大人/誕生日/世界テニスプレイヤー]

「今はどこにいるの?」

久しぶりに送ったメールは、たった一行で終わった。

幼馴染が、世界でテニスをプレイしている。
それは凄いことで、気がつけば世界でプレイして5年経過していた。
白石蔵ノ介。
今やその名前を聞いて、知らない人は居ないぐらい有名になっていた。
お家は道を挟んだ斜め向い。
「蔵くん」と呼んでいたのは小学生までで、中学からは「白石くん」になっていた。
中学3年生になった頃には、彼は既に手の届かないような存在になっていた。


彼が日本を離れる時に、置いて行ったパソコンのメールアドレスにメールを一行書いて送った。
彼にメールを送るのは、約半年ぶり。
その後は、彼からメールは来るものの返信出来ずにいた。
次の日の朝にはメールが帰ってきていて、アメリカの家にいると書いてあった。
アメリカの住所は知っていたので、その住所にプレゼントを送ることにした。
そう、来たる4月14日は白石の誕生日である。
私は誕生日のメッセージと、「色男は首元も色男であるように!」と書き添えて、シンプルなネックレスを同封した。
プレートが付いていて、そこには「Get The Victory!」と彫って貰ったのだ。
幼馴染がネックレスをあげるのは彼女でもないのに烏滸がましいが、テニスをしている白石を見るたびに首元が寂しかったので送ってみたのだ。
でも、それと同時に飼い犬に首輪をあげたような感覚にもなった。
白石が好きだった事実は、今更隠し様がない事実である。
だから、バレないように気づかれないように自分の気持ちを隠してきた。


逆算して、アメリカに14日に着くように発送した。

それから、しばらく忙しくてパソコンを開く暇もなかった。

グランドスラムが始まり、白石の1戦目が黒星でスタートした。
試合が終わってすぐのインタビューで白石の首には、私があげたネックレスがしてあり、無事届いたことをテレビで確認した。
「あの、白石さん!」
「はい?」
「そのネックレスは…」
「ああ、せや!冥子ありがとう!」
と満面な笑みでネックレスを画面に見せて、プレートにキスをして立ち去っていった。
思わず呑んでいた水を吹き出してしまった。
私が刻んだメッセージとは、別のアルファベットが見えた。
急いでパソコンを立ち上げると、白石から届いていた沢山のメールがあり、最後のメールには

「覚悟しとくんやで?」


と一言書いてあった。


そして、朝のニュースで「白石選手、謎の女性」と大きく報道されていた。
電車に乗ればスポーツ新聞を読んでいるおじさんがいて、そこにはデカデカと「プレートに刻まれたイニシャル」と書いてあり、思わず会社に着く間に白石に連絡をした。

「ねえちょっと!どういうことなん?!」
『うん?どないしてん?』
「プレートや!プレート!」
『ああ、あれな。』


『君に宛てたメッセージ』


『日本に帰ったら言うわ。』

2014.04.14

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