アクション[誕生日]

『まあ、大木先輩があげるんやから、謙也先輩は何でも喜ぶんちゃいまス?』


そんな、財前くんの言葉が頭でエンドレスループで流れ続けていた。




アクション


今日は日付が変わり3月17日で、この話をし始めたのは3月1日の話だ。
とりあえず、最初は白石くんに相談をしてみたのだが、『あんま悩んだらあかんで。』と他人事のように流された。
次には小春ちゃんと一氏くんに聞けば、『大丈夫や!なんでもいけるわ。』ともう、かなり投げやりに言われた。
銀さんも似たようなことを言われたので、頼みの綱で小石川くんに聞いたら白石くんと同じようなことを言ってきた。
で、そこの財前くんが現れたので聞いてみれば、『謙也なら何でも喜ぶ。』とか言われもう泣きそうになった。
私は謙也のことが好きだ。
だから、すごく悩んでいたのにテニス部員はこの投げやり具合。
お前等、本当に謙也の友達なのか?
仲間の好きなものぐらい1つや2つぐらい知ってるでしょ?!
特に白石!!!!!!!!!!!!!
謙也の誕生日が17日であったことをすごく恨んだ。
9日なら卒業式の帰りでもいけたはず。
謙也を好きになったのは、高校1年生の冬。
一緒のクラスになった謙也は、親しみやすくすぐに仲良くなった。
私はエスカレーター式の謙也とは違い、受験で四天宝寺高校に入ったために知らないことも多く、色々と教えてもらった。
謙也が好きと気がついたのは、謙也がテニスを練習している姿を何気なく目で追っていたりしたのを友人に指摘されて気がついた。
謙也とは良い男友達としか思っていなかった。
それからは、謙也と話すたびにどう態度を取ったらいいのかわからなくなり、いつも通りを通すのが難しくなっていった。
でも、謙也と話が出来なくなるのは嫌なので必死で偽りの良い女友達を演じていた。
だからクリスマスやバレンタイン、誕生日も何もあげることはできなかった。
どんな時期も登校すれば、山の様なプレゼント。
あげることも出来なくていつも眺めることしかできなかった。
そして『人気者は違うね〜。』としか言えなかった自分が今は憎い。
でも、今回は最後だし、どうにかプレゼントぐらい!と思ったのだが甘かった。
卒業式は9日だった。
それまでに色々とリサーチしたがあの投げやり具合…結局何をあげたらいいのか答えは出なかった。
大学はお互い別々に進学先が決定しているため、もう会うことはないであろう。
でも、どうにか謙也にプレゼントを…と思っていたのだが今までアクションが起こせなかったぐらい臆病者だ。
どうしようもない。
だからとりあえず、『誕生日おめでとう』だけ打って送信をした。
すると、深夜にもかかわらず謙也から着信が入った。

「…はい。」

『おう。』

「おめでおう。」

『ありがとう。…あ、明日ってか今日やけど、暇?』

「え?…うん、暇だけど…。」

『ほんまか!』

「嘘言わんわ。」

『ほんなら、明日11時に駅前の時計台な!』

「うん。わかった。」

『よかった…。』

「え?」

『なんでもないわ。独り言や。』

「…謙也…。」

『なんや?』

「堪忍。誕生日プレゼント思いつかんかったから、謙也が明日選んでや。」

『…いらんわ。』

「え?!」

『もう手に入ったでいらへん!!』

「なにゆうて」

『冥子の時間貰ったでいらへんわ〜!』

「えっちょっ」

『なら11時やで!!すっぽかすんやないで!!』

「阿呆…すぽっかすわけないやろ。」

『ほな!おやすみ!』

「おやすみ」


電話を切った私は、放心状態でベットに倒れた。
これは謙也も私のことが好きだったってことでいいのかな?
私の考えていたことは全て水の泡になった。

2014.03.17

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